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■■■ ジャータカを知る [2019.4.22] ■■■
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嘴と脚が長いから、鷺と鶴を同類と見なす人が少なくないようだ。この手の鳥の観察ができる環境が失せたので、どうしてもそうなる。

よく見れば飛ぶ姿も違うし、そもそも餌獲りの様子やその環境要件も全く異なっているのに、そう感じてしまうのは寂しい限り。

小生が参照したジャータカの英訳は、そのような状況に至るずっと以前の著作のようだが、どうも鶴と鷺が一緒にされているように見える。小生には、青鷺としか考えられないが、鶴(Crane)の一種と記載している。
パーリ語の原典上そうなるということなのだろうか。

鷺は、熱帯〜亜熱帯棲息種が多く、温帯域で見かけるのは渡りが多い。寒い方には滅多に行かない鳥なのである。そんなこともあって、日本で見られる種とインドとはたいして変わらないようだ。
  ●青鷺Grey heron/蒼鷺 or 灰鷺
  ●五位鷺Black-crowned night heron/夜鷺
  ●葦五位Yellow bittern/黄葦
  ●大鷺Great Egret/大白鷺…@インドではヒマラヤ山脈沿いのみ
  ●中鷺Intermediate egret/中白鷺
  ●小鷺Little egret/白鷺
  ●飴鷺Cattle egret/牛背鷺

さて、先ず、蟹の項で書いたモノ[#38]の再録から。[→]
そのうち水が枯れる池に棲む魚に、青鷺が、その心配なき池に運んでやると騙し食べてしまう。同じ手を蟹にも使ったが、もともと疑っていた蟹は首につかまっており、実態がバレた途端に鋏で首を切られてしまう。
池の魚と対話するかのような姿を見せるのは鷺であり、鶴ではない。

従って、次も青鷺である。
[#236]平穏そのものの池に魚が棲んでいた。一羽の青鷺は近くの木の枝に留まり様子を窺がっていた。魚達はおよそ不用心。それならまとめて頂戴しようと、物静かな立ち振る舞いチャンスを狙った。羽も広げてみせたり、と。その姿を見た魚達は、危険な目にあったことのないため、これは修行者だろうと考え、称える詩を詠んだりする始末。そんな風潮が生まれてしまったので、魚王は、すぐに、うわべの姿で信ずるなかれと諭した。

木の枝といっても、池の側の岩の上と同じような場所と見るべき。魚蔭を待って水辺でじっと長時間にわたって一羽で立ち尽くしている鷺の姿そのものでは。
それに、翼を広げて水面に蔭を作って小魚をおびき寄せたりもする。
擬似餌を放り投げるという釣り師まがいの手まで駆使する位で、魚を騙す名手なのだ。

ところで、鶴はすでに取り上げた。[→]森的雰囲気を感じさせる話なので、これも鶴の生態とは合わない感じがする。啄木鳥系の鳥ではないかと思うが、五位鷺の可能性もあるのでは。
(鷺の仲間は、湖沼河川や水田等が活動域で、せいぜいが葦原程度の湿原迄だが、五位鷺系だけは林に居たりする。)

「古事記」では、鷺は葬儀の掃持(箒)とされており、霊魂を運ぶに当たってのお浄め役なのだろうから、神秘感も与える鳥だったのかも。
インドではそのような見方はしそうにない。日がな一日魚喰いだけに生きる鳥ということで。

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