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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.8.18] ■■■
[415] 人面魚の警告
河伯の話をしたら、人面魚登場譚に触れておく必要があろう。[→河伯供犠撲滅]
なんとなれば、両者は呼び名が違うだけだから。
  河伯,人面,乘兩龍。
  一曰冰夷,
  一曰馮夷。
  又曰人面魚身。
 [「酉陽雑俎」卷十四 諾記上] [→ゴチャゴチャの河伯]

震旦では、人面魚登場は奇談として扱われるものの、珍しい事ではないことがわかろう。
[→酉陽雑俎的に山海経を読む---全体像:その5 魚信仰]

「今昔物語集」収載の話も特段注目を浴びるようなモノでもないのである。ただ、どういう訳か国史の国王譚の部類として収載している。

このことは、「山海経」を読んだことがあり、震旦の古代人の観念がどのようなものだったか、理解していたということかも。しかし、ママで突拍子もない話を引用もしがたいので、国王譚の形で取り上げようとしたのでは。
もちろん。時代、場所、国王名不詳として。
  【震旦部】巻十震旦 付国史(奇異譚[史書・小説])
  《28-35 国王》
  [巻十#28] 震旦国王行江鈎魚見大魚怖返語
 国王が大臣・公卿・百官を率いて大河の江へ魚釣りの行幸。
 逍遥し、立派で美麗な休憩用行在所へと。
 素晴らしい大豊漁で
 膾にし、様々な調理が行われ、御馳走が並んだ。
 食事を始めようとする頃には日も暮れてしまった。
 まさに、食べ始めようとする時、
 江の水面が、恐ろし気な雰囲気になって来た。
 皆、怪しみ、恐れていると、
 水中から、長さ一丈余りの
 恐ろしい形相の人面魚が浮かび上がって来た。
 そして、国王に向かって、
 恐ろしい声を挙げたのである。
 「悲哉。
  今日、国王、此の江に来り給て、多の魚を殺し給へり。
  君、此より後、殺生し給ふ事無れ。」
 そこで、残っていた魚だけでなく、膾にした魚も、
 すべて水中に投げ棄てた。
 すると、魚は江の中で皆生き返えり、
 大魚も水中に戻って見えなくなった。
 国王は益々怖れ、即刻、皆を引き連れ宮殿に帰還。


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