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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.9.27] ■■■
[455] 金粟仏土
維摩経は在家の維摩居士の教えであるが[→]、震旦では写経の功徳が知られているとの譚が収録されている。
  【震旦部】巻六震旦 付仏法(仏教渡来〜流布)📖「三寶感應要略」引用集
  <31-48 経>
  《38維摩経》…維摩居士/維摩詰菩薩=金栗如來@"金粟仏土"
  [巻六#38] 震旦会稽山陰県書生書写維摩経生浄土
  ⇒「三寶感應要略」中20會稽山陰書生寫維摩經除疾救亡親感應
○會稽山陰縣有一書生。失姓及名。
○身有少疾。
 發願寫維摩經。始立題夜。
 夢有天女。摩書生身夢覺。即身疾即無。
○更發信心。畢一部文。
 又發願爲亡親寫一部。至問疾品。
 夢忽有乘雲天。來到住室云。
 吾是汝父。以惡業故。墮黒暗地獄。
 汝爲我等造經。光明照身。苦息生天。以歡喜故。
 來告所因。于復問。不審母在何處。
 答母依貪財墮餓鬼中。汝寫佛國品。離苦即生無動國。
 吾又不久當生彼。慇懃寫畢。
 夢覺流涙。
○畢一部又而供養。
 又夢有異服官人。
  捧旗來告曰。閻魔法王召牒中。
  有汝名。寫維摩經故。可生金粟佛土。
  王賜汝命二十年。努力莫怠。
 春秋七十有九而卒。身金色。
○反人皆謂生金粟佛土表示也而已。


「今昔物語集」はママ翻訳。
しかし、題名から見ると、重点は最後の往生にある。
病気治癒と冥土の父母譚とする原典にあえて逆らっている。つまり、概略、以下のように読めということになる。
○会稽山陰県の姓名不詳の書生のこと。
○罹病し治癒を祈願すべく
 維摩経を書写。そして成就。
○その後、維摩経の霊験あらたかということで、
 亡き父母の苦を救うために、書写したところ、
 夢で、父母から、救われたと告げられた。
○そこで、さらに、信仰が深まり
 夢に、幡捧を持った官人が登場。
 閻魔王の牒に名前が記載されており、
 維摩経写経の功徳で寿命20年、と。
 金粟仏土転生とのお告げも。
 79才の臨終時、その身体は、金色に輝いた。
○人々は、確かに転生した、と貴んだ。


金粟仏土とは、維摩居士の前身金粟如来の地である。つまり、如来が衆生を救うために娑婆の居士に転生したということ。
  →「酉陽雑俎」の面白さ[金粟如来](2017.2.5)

維摩経と言えば本朝では「維摩会」で知られる。問疾品読誦で病が回復したことから始まったのである。[→法会一瞥]
しかし、それを想起させる箇所は注目するなと言っているようなもの。

言い換えれば、「今昔物語集」編纂者は維摩居士を尊崇していたということでは。
小生の想像に過ぎぬが。

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