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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.10.25] ■■■
[482] 藤原実方の歌
「今昔物語集」編纂者撰和歌集の7番は藤原実方3首。📖和歌集
  [巻二十四#37]藤原実方朝臣於陸奥国読和歌語
「今昔物語集」では、宮中で実方が行成の冠を落とした話の収載を見送っている。📖系図@藤原公任の歌
その顛末かは定かではないが、📖落冠嘲笑思いがけず、陸奥守拝命。

無二の親友との別れがつらい。

〇源宣方[n.a.-998年 源重信子]へは歌を送った。
 やすらはで 思ひたちにし 東路に
  ありけるものを 憚りの関

東山道(=奥州街道)の"関"だが、「枕草子」でも記載されている。"な来その関"ほど多用されてはいないが、人気の名前だったようだ。そこを、実際に、通ったのだヨ、と伝えた訳だ。

〇道信とは、紅葉の頃の約束があったが、思いもかけず逝去。
 道信の朝臣、もろともに紅葉見むなど契りて侍りけるに、かの人身まかりての秋、よみ侍りける
 見むといひし 人ははかなく 消えにしを
  ひとり露けき 秋の花かな
 [後拾遺#570]

幼い愛児にも先立たれた。
 子におくれて侍りける頃 夢にみてよみ侍りける。
 うたた寝の このよの夢の 儚きに
  醒めぬ頓ての 命ともがな
 [後拾遺#564]

そして、赴任3年目にして、逝去。
子の朝元も歌が上手だった。

「小倉百人一首」#51所収はもちろん恋歌で、上記の流れには合わない。
 女に初めてつかはしける。
 かくとだに えやはいぶきの さしも草
  さしも知らじな 燃ゆる思ひを
 [後拾遺#612]
     (さしも草=伊吹山名産艾)
お相手は不明だが、源宣方のご紹介で清少納言と結ばれた切欠にも見える。
 元輔が婿になりて、あしたに
 時のまも 心は空に なるものを
  いかで過ぐしし 昔なるらむ
 [拾遺#850]
朝廷で角突き合わせずに、歌才を磨いて頭を冷やして来いと言われての陸奥守任命との話があるのも頷ける。

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