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技術マネジメント論 [1] 2006年7月18日 |
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コミュニティの時代…2006年6月、Warren Buffett がBill & Melinda Gates Foundation に310億ドルを寄付したニュースが世界を駆け回った。(1)巨額である。6兆円を軽く超える資産を持つ財団が貧国に対して援助を行うことになる。 キャノンの連結売上高が3兆7,542億円で、純利益が3,841億円である。 こちらは企業だが、少なくとも純利益の1%程度は、なんらかの形で社会に還元しているのではないかと思う。 両者を比較したいのではない。 今や、グローバルに活躍する企業経営者が、援助の分野でも、世界を動かすようになってきた、と言いたいだけの話である。 国家の庇護など受けず、自力でビジネスを育てて来た人達が、これからの世界では大きな影響力を行使することになる。 実際、インドネシア・スマトラ沖地震後の津波の被害に対する開発・緊急援助の約4割が民間・個人の寄付だという。(2) 不透明で、政治や利権が絡むODA(税金)より、個人や組織の意志がはっきり示せる民間援助の方がすっきりしていて気持ちが良い。 Corporate Social Responsibility 対応で、やれ社会奉仕だ、ボランティア活動だ、と騒がなくとも、こうした流れは確実に進んでいる。 CSRの例 → 要するに、企業経営者がリーダーシップを発揮し、世界を動かす時代が到来したのである。 → 「Palmisano の思想 」 (2006年7月10日) これこそ、21世紀の本格的な幕開けと言えよう。 こうした流れを、ボ〜ッと眺めず、技術マネジメントの立場から、歴史的な意味をとらえかえしてみよう。 歴史的に眺めて見ようと言うと、たいていの人は古典的な発想に戻ってしまうようである。 国民経済的な発想での教育を受けてきたから当然かもしれない。 社会の発展に沿って、貧しい時代はともかくモノが欲しいから、それに応える時代から出発した、と振り返ることになる。 次第に社会が富んでくると、モノ余りになる。それに、どう応えるか考える時代に入る訳だ。 もちろん、これはこれで正しいが、それでは現在はどういう状況なのか考えると、結構複雑である。 発展途上国と先進国の2つの市場が存在するからである。 需要と供給を云々するのは、グローバル経済ではなく、国民経済的なミクロの発想と見ることもできそうである。 そこで、視点をちょっと変えてみよう。 先ず、古い世界だが、これは、良い商品を流せば売れる時代と見てよいだろう。 こんな時代なら、組織運営に長けていれば十分だったと言えよう。企業経営から見れば、Administration が最重要だった。 しかし、社会が成熟すれば、様々な要求がでてくる。個々の顧客に、できる限り対応できるビジネスが必要となる。 経営上、Strategic Management が不可欠になってくる訳だ。 しかし、そんな無機質の経営では企業の基盤は崩れてくる。 そんな状況が21世紀と言えるのではないか。 グローバル化が進めば、企業の果たす役割は増大し、モノやサービスと売るだけの組織として勝手に動く訳にはいかなくなってきたのである。 中堅の先進国並みの経済力を持つ企業が、身勝手なビジネス方針をとれる訳がない。 そうなると、企業は社会の一員として動くことになる。と言うより、社会変革の牽引車の役割を果たす必要がでてきたと言えよう。 コミュニティに感動を与え、より豊かな社会を作るために、リーダーシップを発揮することが求められているということだろう。 --- 参照 --- (1-1) Buffett's Gift: "A Brilliant Choice" BusinessWeek[2006.6.26] http://www.businessweek.com/investor/content/jun2006/pi20060626_906515.htm?campaign_id=search (1-2) Rick Lyman Video-REPORT: 「Buffett Says Gift “Makes Sense”」New York Times[2006.6.26] http://video.on.nytimes.com/ifr_main.jsp?nsid=b- 7e6b368b:10c45f961ff:16d1&st=1152231005172&mp=FLV&cpf=true&fr= 070606_075644_3f1beb18x10c460658e0xw2188&rdm=562451.8319551302 (2) http://www.unforum.org/field_essays/6.html 「研究開発」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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