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技術マネジメント論 [3]  2006年7月26日
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知恵で競争する時代…

 前回は、歴史的な大転換となった、グローバル化の話をした。
   → 技術マネジメント論 [2]  「グローバル化を振り返る」  (2006年7月25日)

 これを技術マネジメントの視点で見るためには、先ず、企業経営がどうかわったかを考える必要がある。

 グローバル化の「前」と「後」の2つだと、余りに簡単すぎる。そこで、10年毎の変化で見てみよう。

 70年代は貿易は盛んだったとはいえ、それは、政治が認めた枠内での話。
 各国政府は、外国資本に国内市場を荒らされないように、国内産業を守り育てる必要があった時代である。
 強くなりそうな産業や、将来発展が約束されていそうな産業の強化と海外展開の後押しは、国策でもあった。

 早い話、産業構造の安定は、社会安定の必須条件と考えられていたのである。
 冷戦構造のなかで、米国の枠組みに組み込まれている日本は、米国から繁栄のお墨付きをもらって活動していたと言える。

 こうした構造を上手く利用したので、日本は飛躍的な経済発展を遂げたと言える。そのことを米国側からみれば、古い基幹産業は軒並み疲弊することを意味した。
 80年代は、このため、産業の盛衰が激しくなった。

 そして、グローバル化の90年代に入る。
 突然、産業構造が動揺し始めた。安定した産業構造の時代は終わり、変化の時代に移ったからである。
 その動きを加速したのが、インターネットの登場である。
 “インターネット革命”と語る人が多かったが、それは、この動きを後押しする革新技術だったからだ。まさに、時代の象徴と言える技術である。

 その後の21世紀。どうなるかは自明だろう。
 産業構造が抜本的に変わっていくことになろう。

 こんな、10年毎の変化を頭に入れておくと、これからの技術マネジメントはどうあるべきか、考え易くなる。

 全体の流れを眺めれば、マネジメントの焦点が変化した理由がよくわかる。

 安定した産業構造とは、今後どのように産業が変わっていくか、ほぼ決まっているのと同義である。その流れに合わせて、投資すれば十分な見返りがあるということだ。
 自由主義経済と言っても、現実の経営で考えれば、結構、計画経済的な見方に近かったと言えそうである。

 新しい産業構造が勃興する時代に入ると、そんな発想で経営を進めたら。没落間違いなしだ。

 競争力を発揮できる新しいビジネスの仕組みが登場すれば、従来型で謳歌してきた企業は駆逐される運命にある。
 従って、生き延びようと思うなら、変化を抑えて延命を画策するか、新しいことに挑戦するか、2つに1つと言えよう。
 こうなると、新しいことに挑戦できる能力があるかどうかで勝負がつくことになる。

 要するに、知恵で戦うしかないのだ。
 知恵を生みだす組織をどう構築するかが、最重要経営課題になったのである。

  →続く 技術マネジメント論 [4]  (2006年8月1日予定)


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