トップ頁へ>>>
技術マネジメント論 [14]  2006年9月19日
「研究開発」の目次へ>>>
 


組織能力を活かせる人材の重要性…

 緊張感の話をしすぎたかも知れぬ。
   →  技術マネジメント論 [13]  「非分析型思考には緊張感が不可欠」  (2006年9月12日)

 成功している企業に接すると、組織に緊張感が漲っている。素直に考えれば、この緊張感をいかにつくるかで勝負が決まるということ。どうしても、この感覚を知って欲しくなる。

 こんな話をすると、組織成員の問題と、組織全体の課題がまぜこぜになっている感じを受けるかも知れぬ。
 しかし、ここが肝心である。ことのはじめは、一人のプロフェッショナルの感覚でしかなかったにもかかわらず、そのたった一人の緊張感が組織に蔓延する。どうして、そんなことがおきるのか考えて欲しい。

 考えるに当たっては、そんな組織になるように、人の採用・育成をしているか、自省する必要があろう。
 と言っても、雲をつかむような話に近いかもしれない。どのような人材を集めてきたか、変遷を簡単に描いてみた。自分達が、どの段階か考えて見るとよい。

 70年代は、大企業は、院卒、大卒、高専卒、高卒といった層毎に目標数の量的確保に忙しかった頃である。それぞれの層毎に、協調的で頑張って働きそうな若者のリクルートに励んだ。数さえ確保できれば、企業内での切磋琢磨でプロフェッショナルが育つと踏んでいた訳である。

 ところが、技術の動きが早くなると、これではとても対応できなくなるから、専門性が必要となってきた。ようやく、大企業にも外部の血が入り始めたのが80年代だ。もっとも、人事に関する話なので、企業の姿勢の差は大きかったが。

 ところが、新規事業どころでなくなったのが、90年代。このままでは、長期低迷の道を歩むのではないかと、不安感が蔓延してきた。そこで、その沈滞ムードを一掃できそうなコア人材の強化に励む。要するに、リーダー育成ができていないと感じたということである。

 ここまで発展してきた訳だが、それでは、選抜強化でリーダーを育成すれば“緊張感が漲った組織”になるものだろうか。
 ここが鍵である。Yes と自信を持って言えないのなら、たいした成果は期待できないということである。

 何故、Yes と言えないかといえば、“当社では”、どのようなリーダーがよいのか、又、そのリーダーの回りにどのような人材が集まるとよいのか、わからないからだ。
 これでは、“緊張感が漲った組織”を作りあげるどころの話ではあるまい。

 それでは、なにから始めるべきか。

 単純な話である。自社の組織能力を活かせるリーダーとは、どのような人材か、明らかにすればよいのである。

 当たり前の話だが、これが難しい。“組織能力”がはっきりしていないからである。

 例えば、保有技術を整理分類し、他社と比較して優劣を判定することはできる。強い技術もあれば、弱い技術もあろう。
 問題は、「それで?」。

 勝負は、この特徴を生かして力を発揮できるかで決まる。強い技術があるとか、弱い技術があるという話ではない。考えに、考え抜いて、戦い方を決めるから、“緊張感が漲った組織”になるのであり、徹底した戦いもできるのである。
 これこそが組織能力である。この組織能力を発揮できる人材の育成が急務なのである。

  →続く 技術マネジメント論 [15]  (2006年9月26日予定)


 「研究開発」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2006 RandDManagement.com