→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2021.1.25] ■■■ [24] 少名毘古那神の位置付け 神としての役割が多岐に渡っているからだ。 🤝大国主神の国家樹立協力神 💊医薬・医療神 ♨温泉の神 🍶酒造(モチ粟"黒酒")の神 📖黒酒とは粟酒では 🌾穀(粟) ⛏開墾の神 ⛬(土着石の神)…各地の神社[後世] ⛰造丘/山あるいは命名神 Д常世の神 しかも、大国主神の無二のパートナーとされているにもかかわらず、大国主神を祀る主要神社で並んで祀られている訳ではない。「出雲風土記」には399もの神社が記載されているが、ご祭神とされていそうな社も少ない。そんな状態だから、参考になりそうな神社縁起を欠く。全国的にはそれなりの祀られている神社があるものの、多くは後世創建のようで、地理的信仰の広がりも今一歩よくわからないのだ。 大国主神は多数の御子を持ったが、少名毘古那神には妻子はいなかったようで、神産巣日~の子という以外に系譜も残っていないのも、不可思議である。 名称的にも、侏儒/小人で、男神の彦あるいは日子(太陽神の子)というに過ぎないので存在意義もとらえにくい。ただ、人々に愛された神であるらしく、名/根/奈/那との接尾語が付いている。 と言っても、表記は様々である。 一般には、"大"穴牟遅神との対比で"小"[=少]名牟遅とされたと見られているが、侏儒が棲息環境の違いを意味している可能性も否定できまい。(大陸北方では身体が巨大化するし、島嶼では矮小化するとの法則がある。) 初登場の態度もよくわからぬところがある。出雲の地には、漢字表記圏地域語や朝鮮半島口頭言語を理解できる人々が揃っていた筈で、コミュニケーションできないとも思えない。にもかかわらず、名乗ることもしない。貴種に対し無礼な質問ということかも知れぬが、言語的に余りに異質で、通じなかったと見る方が自然では。船も衣服も、異文化の国からの渡来者であることを示しているのだから。その一方で、大穴牟遅神と同じく、神産巣日~の系譜に連なるというのだから、東アジアの女系社会で生まれ放逐された貴種であることを示唆していそう。 そうなると、南方島嶼域からの渡来者かも。候補地としては、ほとんど話に登場しない済州島とか、さらに遠い先島(八重山諸島黒島)といった島嶼人の可能性が高かろう。そこでは、東南アジア由来の極めて古層の島嶼文化とこれまた古層の江南文化が融合し、山野薬物採取が繁栄の決め手となる社会が生まれていてもおかしくないからだ。孤立志向が高い独自文化の島毎の国家が成立していたと考える訳である。(済州島も先島も、古代は、まず間違いなく儒教圏とは水と油。しかし、儒教的統治が入ってしまったので、古代文化の残渣は見つかるまい。特に、前者の自称伝承は観光用であり、参考にすべきでない。現在の住民も半島人かもしれないし。) <「古事記」上巻>🤝Д 大國主~が、出雲御大之御前[美保岬]の時。 波頭の間から、天之羅摩船に乗り、鵝を剥いだ衣服の神が帰って来た。 その名を問うても答えないし、[言語が全く異なる可能性。]神々も皆知らない、と言う。 多邇具久[蟇蛙]が久延毘古/山田之曾富騰(足雖不行 盡知天下之事~)が知ると言うので、 召すと、神産巣日~の御子少名毗古那~との答。 御祖命に確かめると、自分の指間から漏れ落ちた子であり、 葦原色許男命は兄弟となり堅國を作れ、と。 と言うことで、二柱の~は相い並びて堅き國を作ったが、 その後、少名毘古那~は常世國に渡ってしまった。 (神産巣日~はすでに五穀種を収集している。)🌾 <「古事記」中巻>🍶 御祖 息長帶日賣命が美酒を醸し献上し、天皇を迎接し歌を詠んだ。・・・📖會同嗜酒 此の御酒[美岐]は 吾が御酒ならず 神酒[久志]の司/神[加美] 常世に坐す いはたたす 少名御神[須久那美迦微]の 神祝き[加牟菩岐] 寿き狂ほし[本岐玖琉本斯] 豊寿き[登余本岐] 寿き廻ほし[本岐母登本斯] 奉り来し御酒そ[麻都理許斯美岐叙] 浅ず飲せ ささ(囃子) ということで、獻大御酒。 建内宿祢命は、御子の為に返歌。・・・ この神酒を醸みけむ人は その鼓臼に立てて 歌ひつつ醸みけれかも 舞ひつつ醸みけれかも この御酒のあやに歌愉し ささ これは酒楽之歌。 <「出雲國風土記」> ○飯石郡多禰郷🤝🌾 天の下所造らしし大神、 大穴持命と須(湏)久奈比古命と、天の下を巡り行でましし時、 稻種此處に堕したまいき。故、種と云ふ。 ⛩[風土記非記載]多根神社@雲南(御祭神:大己貴命+少彦名命) ○楯縫郡佐香郷🍶 郡家の正東四里一百六十歩所なり。 佐香の河内に百八十神等集ひまして、御厨を立て給ひて、 酒を醸させ給ひき。 卽ち、百八十日喜燕きてして解散けましき。 故、佐香と云ふ。 ⛩佐香(佐加)神社+松尾神社@小境(御祭神:久斯神=少名毘古那神+大山咋命) ○意宇郡 ⛩揖夜神社(=伊布夜/揖屋)@東出雲(御祭神:伊弉冉命+[大巳貴命、事代主命、少彦名命]) ⛩玉作湯神社@松江玉湯町玉造(御祭神:櫛明玉神 大名持神 少毘古那神 五十猛神) ○嶋根郡 ⛩阿羅波比神社@松江(御祭神:大己貴命、少彦名命、天照大御神、高御産巣日神) ○大原郡🌾 ⛩加多神社@雲南大東(御祭神:少彦名命)…開墾された"神田" ○仁多郡 ⛩阿羅波比神社@奥出雲(御祭神:大己貴命、少彦名命、天照大御神、高御産巣) ⛩湯野神社@奥出雲亀嵩(御祭神:大己貴命、少彦名命、邇々藝命、事代主命) <「伯耆国風土記(逸文)」>粟嶋🌾Д 粟嶋あり、少日子命、粟を蒔きたまひしに、莠實りて離々りき。 卽ち、粟に載りて、常世の國に彈かれ渡りましき。 故、粟嶋@米子 彦名 粟嶋と云う。 ⛩粟嶋神社@米子彦名(御祭神:少彦名命、大己貴命、神功皇后) <「播磨國風土記」> ○~前郡堲(埴)岡里🤝⛰ 昔、大汝命と小比古尼命と相い爭ひて、のりたまひしく、 「堲の荷を擔ひて、遠く行くと、屎下らずして遠く行くと、 此の二つの事、何れか能く為む。」・・・ (便意我慢と埴の荷を背負って歩く我慢競争。) ○餝(飾)磨郡枚野里@姫路🤝🌾 筥の丘と稱ふ所以は、 大汝少日子根命、日女道の丘の神と期り會ひましし時、 日女道の神、此の丘に、食物、及、筥の器等の具を備へき。 故、筥の丘と號く。 ○揖保郡稻積山🤝🌾 大汝の命と少日子根命と二柱の神、 神前の郡堲岡の里の生野の岑に在して、 此の山を望み見て、のりたまひしく、 「彼の山は、稻種を置くべし」とのりたまひて、 卽ち、稻種を遣りて、この山に積みましき。 山の形も稻積に似たり。 故、號けて稻積山といふ。 ○〃荻原里🍶 萩原と名づくる所以は、息長帯日売命、・・・ 爾ち、酒殿を造りき。故、酒田と云ふ。・・・ 故、萩原と云ふ。爾に祭れる神は、少足命にます。 ⛩日吉神社@神前神河比延(御祭神:大山咋命、大汝命、少彦名命) <「伊豫國風土記(逸文)」>温泉🤝♨ 伊豫の國の風土記に曰はく、 湯の郡、大穴持命、見て悔い恥ぢて、 宿奈毗古那命を活かさまく欲して、 大分の速見の湯[別府温泉]を、下樋より持ち度り來て、 宿奈毗古那命を漬し浴ししかば、暫が間に活起りまして、 居然しく詠して、「眞蹔、寢ねつるかも」と曰りたまひて、 踐み健びましし跡處、今も湯の中の石の上にあり。 凡て、湯の貴く奇しきことは、神世の時のみにはあらず、 今の世に疹痾に染める萬生、病を除やし、身を存つ要藥と為せり。 ⛩湯神社@松山道後(御祭神:大己貴命 少彦名命) ⛩少彦名神社@大洲菅田(肱川瀬) ⛩少彦名神社@大洲菅田大竹乙(梁瀬山壺谷) ⛩大湏伎神社@越智郡[今治高橋乙](御祭神:少那毘古那命、阿遅鋤高日子根命、 伊邪那美命、熊野忍隅命、品陀和気命、息長帯姫命) <「伊豆国風土記(逸文)」>溫泉🤝♨ 准后親房の記に、伊豆國の風土記を引きて日はく、 溫泉を稽ふるに、玄古、天孫未だ降りまさず、 大己貴と少彦名と、我が秋津洲に民の夭折ぬることを憫み、 始めて禁藥と 溫泉の術を制めたまひき。 伊津の神の湯も又其の數にして、箱根の元湯是なり。 走湯は然らず。 人皇四十四代養老年中に開基きき。尋常の出湯にあらず。 一晝夕に二度、山岸の窟の中に火焔隆りに發りて溫泉を出し、 甚く橉烈く。 沸湯を鈍くし、樋を以ちて湯船に盛る。 身を浸せば諸の病、悉く治ゆ。 ⛩湯前神社@熱海上宿(御祭神:少彦名命) <「尾張国風土記(逸文)」>登々川🤝 又尾張國に登々川と云ふ河あり。 菅C公記云、大己貴、小彦命、巡國之時、往還足跡なる故日跡々。 注云、俗、跡謂之賭々と云へり。 ⛩少彦名神社(名古屋市中区) "紀伊" ⛩淡嶋神社@和歌山加太(御祭神:少彦名命、大己貴命、息長足姫命) 深根輔仁:「本草和名」918年巻六草上"石斛"💊 山精・石精、[別名]林蘭、[和名]須久奈比古久須祢/波久須利 "医薬の神様"(12本の蓬)💊 ⛩十二所神社@姫路(御祭神:少彦名大神)928年創建 "くすりの道修町"薬祖講💊 ⛩少彦名神社(御祭神:少彦名命、神農炎帝)1780年創建 "主神"🤝 ⛩酒列磯前神社@常陸那珂湊磯前[ひたちなか]+大洗磯前神社 "開拓神"⛏ ⛩北海道神宮、等々 [「万葉集」巻七#1247]⛰ 覊旅作 大汝 小御神 作らしし 妹背の山を 見らくしよしも [「万葉集」巻十八#4106]🤝 教喩史生尾張少咋歌一首并短歌・・・ 大汝 少彦名[須久奈比古奈]の 神代より 言ひ継ぎけらく 父母を 見れば貴く 妻子見れば かなしくめぐし うつせみの 世のことわりと かくさまに 言ひけるものを 世の人の 立つる言立て ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の子と 朝夕に 笑みみ笑まずも うち嘆き 語りけまくは とこしへに かくしもあらめや 天地の 神言寄せて 春花の 盛りもあらむと 待たしけむ 時の盛りぞ 離れ居て 嘆かす妹が いつしかも 使の来むと 待たすらむ 心寂しく 南風吹き 雪消溢りて 射水川 流る水沫の 寄る辺なみ 左夫流その子に 紐の緒の いつがり合ひて にほ鳥の ふたり並び居 奈呉の海の 奥を深めて さどはせる 君が心の すべもすべなさ (C) 2021 RandDManagement.com →HOME |