→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2022.3.23] ■■■ [446]オノマトペ補足 📖オノマトペは倭の体制故の産物 📖日本語の一大特徴はオノマトペ オノマトペの音に"-ク"を付けて動詞化する造語方法が存在していたそうである。[大野晋:「日本語をさかのぼる」岩波新書1974年]と云うか、語尾用法は違うだけで動詞化はごく自然なことであるから、あってしかるべきと考えてよかろう。それに、形容動詞に"-グ"が付けば自動詞化するから、造語方法としては似たようなものと云えそうだし。 指下其沼矛 …其の沼矛を 以畫者 … 鹽"許袁呂許袁呂邇"畫鳴["那志"] 而 … 引上時 …引き上げる時 自其矛末垂落之鹽…其の矛の末より垂れ落ち(し)鹽 累積成嶋 … 是"淤能碁呂"嶋 …是れ(が)オノゴロ嶋 燭一火 …一つ火を 入見之時 …入り見し時 "宇士多加禮斗呂呂岐弖" … ころろ-く=ころころと鳴る(擬声語「ころろ」の動詞化) [嘶咽附]食療経云食熱膩物勿飲酢漿失声嘶咽 師説失声比古恵嘶咽"古路々久"[@「和名類聚抄」] ≪嘶[=口+斯]≫…馬叫⇒幽咽的 [呉音]サイ [漢音]セイ シ [訓]いなな-く (いば-ふ) 【擬声的表現】馬叫;嘶嘶 牛叫:哞哞 羊叫:日刀@狗叫:汪汪 蛆の音と云っても想像がつかぬが、出蛆脱繭時に微小孔を穿つ筈だから微かな音がするだろうし、袋状の内部に居た大量の蛆が破れた箇所から這い出る際にも音は出る。それが、馬叫に近いというのだろうか。 ・・・先ずはそんなことを考えてしまうが、そうするとオノマトペの本質からそれることに気付いた。"コヲロコヲロ"は、はたして、擬態語なのか擬声語か考える方が有意義なのである。換言すれば、この概念は現代に生み出されたものであり、両者を峻別する意味など無いのかもしれないのである。" このことは、態様変化に音を感じていたことを意味するとしか思えない。 考えてみれば、現代にも生きている"コロコロ"転がるという言葉も、頭では擬態語として仮名文字を連想することになるが、実際はそれは音として感じ取っていることになる。心象風景ならぬ心象音ということになろう。 おそらく、そうした表現はの場の雰囲気に合わせて場当たり的に生まれたもの。たいていは、その場限りであろうが、その音が人々の琴線に触れるものだったりすることもあろう。音を耳にするだけでしみじみするという人が多ければ、後々まで使われ続けることになるし、そうでなければ自然消滅して行くことになろう。 以下の歌は、宴席で詠われたからいかにもその場での作歌に映るが、多少の手は加わることはあり得るが、おそらく古くから存在していたもの。・・・ 美豆多麻宇岐 爾 …瑞珠盞に 宇岐志阿夫良 … 浮きし脂 淤知那豆佐比 …落ちなづさひ 美那"許袁呂許袁呂爾" …水コヲロコヲロに (C) 2022 RandDManagement.com →HOME |