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■■■ 「古事記」解釈 [2022.5.31] ■■■
[515]"を/ヲ"の補遺
ɰo<を>の現代用法は助詞表記のみである。標準語では、その音は<お>と違いはない。但し、地方によっては違いが聞き取れる場合があるとの見方もある。しかし、それは歴史的残渣ではなく、ローマ字表記wo/五十音図に従った結果と考えるべき現象だろう。
(発音的に両者を区別するのは面倒であると感じるところを見ると、<「古事記」を>は、発音上は、<現代wo>ではなく、<現代お>に繋がっているのではあるまいか。)
ともあれ、現代、発音上は<お>=<を>であるが、「古事記」や「萬葉集」では、音が違っていたため、表記上区別されているというのが学者の見解である。

「萬葉集」でもっぱら使われる助詞<を>には定番文字が設定されている。
≪乎≫ [呉音]ヲ [漢音]
  [巻一#2]國見乎為者[国見をすれば]
現代は助詞以外に使わない仮名になっているから、<を>の漢字は乎ということになるが、本来的には助詞用文字を音素表記文字としての仮名と一緒にするのは避けるべきだろう。
太安万侶の考え方からすれば、遠・袁を選ぶことになる。・・・
📖[安万侶文法]ヲを"遠"表記にする理由 📖[安万侶文法]ヲは袁にしたかったか
≪袁⇒遠 怨≫ [呉音]ヲン [漢音]ヱン
  [巻五#819]奈良麻之勿能怨[ならましものを]
   ヲン系漢字:園 薗 轅 猿
乎⇒呼≫ [呉音]ク [漢音]
  [巻一#1]家呼毛名雄母[家をも名をも]
  [巻二#155]哭耳呼[哭のみを]
≪烏⇔塢 嗚≫ [呉音]ウ [漢音]
≪惋≫ [呉音][呉音・漢音]ワン 
   ワン系漢字:宛 苑 椀 蜿 鋺
≪越≫ [呉音]ヲチ [漢音]ヱチ
  [巻五#807]用流能伊昧仁越[夜の夢にを]
   ヲチ系漢字:戉 鉞

「萬葉集」での助詞用法は以下もある。
≪雄≫ [巻一#1]家呼毛名雄母[家をも名をも]
≪尾≫ [巻二#120]花尓有猿尾[花にあらましを]
≪矣≫ [巻三#249]浪矣恐[波を畏み]
≪緒≫ [巻三#321]田菜引物緒[たなびくものを]
≪麻≫ [巻九#1796]遊礒麻[遊びし礒を]

使いたければ、他にも色々ある。
訓読みで<を>が入ってくる漢字があるし、・・・。
   乙女・少女をとめ をんなをぐな
  あを うを をさ 岡・をか を-す etc.…
音でも使える文字は少なくない。
   ヲン系漢字:爰 媛 援  冤 寃
   ヲン系漢字:温 榲 鰮/鰛 膃 瘟 薀 (チ/慍 褞)
   ヲク系漢字:屋
   [漢音]ヲウ系漢字:翁 蓊 鶲

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