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■■■ 「古事記」解釈 [2022.7.29] ■■■
[574]倭人の国の表記方法考
魏志倭人伝の記載事項については、一応触れてきたが、謎として扱うべきでなく、議論などどうでもよい話として気にしないのがベストと違うか。

重要なのは、中華帝国の後継王朝は<邪馬壹國>表記になんらの疑問も覚えず倭国のこととしている点。そして倭国はその後の日本国とみなしている。
ただ、国王継承ルールが全く異なるので、実に面白くない国であるということで、倭という文字を俀で代替したりしていることはあるが、それについて云々している訳ではない。
<俀[=人+妥]≠倭[=人+委]
  [意味]軟弱  [呉音]   [漢音]タイ  [訓]よわい

<邪馬壹國>の正確な発音がわかる訳がないが、当たるとも遠からずで推定することはできる。
  邪馬壹yámǎyī
壹は「古事記」で1ヶ所用いられているが、国名とは無縁である。
  天皇坐高臺
邪馬壹の意味はどう考えても意味的にはヤマトを指していることになろうが、この3文字でヤマトと呼ぶことはありえない。
文字的には、その類縁を含め、上記以外に、「古事記」及び「萬葉集」では使用されていないし。
<台[=厶(鋤)+口(呪的祭器)]/臺/䑓>
  [意味]土を高く積んで人が来るのを見張るための物見台[標木]⇒貴人敬称
  [呉音]ダイ [漢音]タイ
  [訓]うてな しもべ つかさ ゆろこぶ われ
 <颱> [呉音・漢音]タイ[訓]たいふう
 <檯/儓> [呉音] ダイ [漢音] タイ [訓]つくえ
 <邰> [呉音・漢音]タイ [訓]n.a.
 <怡> [呉音・漢音]イ [訓]よろこ-ぶ

このヤマトだが、「古事記」では不使用だが、「萬葉集」には以下の表記が見られる。
  [義訓]日本ヤマト
  [借訓]山跡ヤマト
「萬葉集」のヤマト表記・・・【巻一】山跡乃國 山常庭 八間跡能國者 倭乎置而 倭乎置 倭尓四手者 日本能不所見 日本乃 早日本邊 倭之所念 倭尓者 倭戀 倭有  【巻二】山跡有 倭邊遺登  【巻三】倭嶋所見 倭部早 山跡嶋根者 山跡國乃 日本師所念 日本嶋根乎 日本思櫃 日本戀久 大日本  【巻四】山跡道之 山跡邊  【巻五】倭國者 倭  【巻六】倭邊上 倭部越 日本毛此間毛 倭道者 日本道乃 日本國者  【巻七】日本之所念 自山跡 山跡之  【巻九】山跡庭 日本國乃  【巻十】山跡庭 山跡部越  【巻十一】日本之  【巻十二】倭路  【巻十三】倭國 山跡乃土丹 倭之國者 倭國者 日本之 日本國尓 倭雄過而  【巻十四】夜麻登敝夜利弖 (夜麻登女乃) 夜麻等思麻見由  【巻十五】夜麻登思麻見無 也麻等乎毛  【巻十九】山跡乃國 山跡國乎 山跡乃國波  【巻二十】夜萬登能久尓乃 夜末等能久尓々 夜麻登之麻祢波

もちろん<大和>という表記は両書にまだ登場していない。<和>は厳然たる音素表記文字であり、呉音"ワ"とされる。・・・<倭>の同音好文字として用いられるようになったということがよくわかる。
<和>
  [呉音]
  [漢音]
  [唐音]
  [訓]なご-む/なご-やか やわ-らぐ/やわ-らげる
  [正音]
  [正訓]ヤハ
  [正訓]ヤマト
  [借訓]和豆肝ワヅキモ
<倭>
  意味]従順
  [呉音・漢音]ヰ ワ
  [唐音]ヱ ヲ
  [訓]したが-う やす やまと まさ
  [正訓]ヤマト
  [正訓]倭文シツ
部≫@「万葉用字格」
  [正音]
  [略音]
  [正訓]  
こうして眺めてみると、qwaiという様な発音だったようにも思えてくる。読み方によっては、国でもあり、こちらの音の方が古いということになる。📖中華帝国が倭国=ヰ国を認定 📖"倭"考
そうなると、邪馬壹=ヤマ-"ト-"と違うか。

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