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■■■ 「古事記」解釈 [2022.8.21] ■■■
[597]「古事記」は母にこだわる
助詞と云えば<てにをは+の>が代表的と考えていたが、このなかに<も>も入れる必要がありそう。
「萬葉集」の実質的編纂者に近そうな歌人の文字遊戯歌に、助詞用語に使用しそうな文字を使わない作品があるからだ。・・・
[巻十九#4175/4176]詠霍公鳥二首 天平勝宝二年 大伴家持
霍公鳥 ほととぎす
今来喧曽无 今来鳴きそむ
菖蒲 あやめぐさ
可都良久麻泥尓 かづらくまでに
加流々日安良米也 離るる日あらめや

…<><><>三箇辞闕之
我門従 我が門ゆ
喧過度 鳴き過ぎ渡る
霍公鳥 ほととぎす
伊夜奈都可之久 いやなつかしく
雖聞飽不足 聞けど飽き足らず

…<><><><><><>六箇辞闕之

助詞表記をしない書法を揶揄しているようにもとれるが📖助詞=倭語土台とは流石慧眼、それより気になるのは「古事記」の<も>用法とは異なる点。
現代日本語に繋がる<毛> v.s. 消えた母音系の<母>が見て取れるから。📖"阿〜和"全87音素設定
(毛の省画変形)(毛) [萬]【甲】 @呉音
mo [萬]…母【乙】 @呉音

漢字<>の仮名的な音の<モ/も>は、現代音としてはmōのようだし、千分の一の意味だとmawで発音する人が多そうなので、助詞としての音とはかなり違う気がする。強引に仮名化を図ったような印象も受ける。
<母>は、伝来の呉音が、mu〜mo/mou/mow辺りの音だったとすれば、意味も限られていて誤伝達される恐れも低いので、倭語の助詞<モ/も>に最適な文字と見なされたように見えるし。

<毛>[甲] [略音]     [正訓]
【八雲】夜久毛【出雲】伊豆毛 【雲】久毛/玖毛 具毛
【妹】伊毛 【吾妹】和藝毛
【股長に】毛毛那賀邇
【鴨】加毛
【守らひ】麻毛良比
【燃ゆ】毛由
【百】毛毛
【穂積り】本都毛理
【我がもこに来む】和賀毛古邇許牟
【肝】岐毛
【燃ゆる】毛由流
【下】斯毛
迦毛大御神 多遅麻毛理/多遅摩毛理 (伊豆毛多祁流) 山代之玖玖麻毛理比賣 宇毛理王
毛受之耳原 毛受 毛受野
------
取毛麁物毛柔物
御毛沼命 若御毛沼命 豐御毛沼命 上毛野君 下毛野君 若沼毛二俣王 若野毛二俣王


「古事記」では助詞表記は<母>文字を用いる。
<母>[乙] [正音]     [正訓]オモ[借訓]母蘇ハヽソ
【助詞】〜母 〜加母/〜迦母 〜登母 〜杼母 〜母賀 〜母賀母/〜母加母
【思】淤母波・淤母比/意母比・意母布・意母閇 母布・母閇
【持】母多・母知
【以】母知
【乏】登母志
【本】母登
【薦】許母 碁母
【隠】許母理・碁母礼
【衣】許呂母
【等】杼母
【共】等母
【友】登母
【者】母能
【黄泉】予母
【−】母由良迩/母由良尓 母登本斯 母登富理 母登富呂
天之久比奢母智神 於母陀流神 国之久比奢母智神 許呂母之別 多遅摩母呂須玖 布波能母遅久奴須奴神
【御諸】美母呂

地文では音素表示しない。
<妹>     [正訓]イモ
問-其-伊呂妹-日:
那迩妹
<雲>     [略音][借訓]クモ
到於出雲
出雲建

「古事記」での<モ>は他はこんなところか。・・・
<裳> [正訓][借訓]
抜取御裳之糸
<喪> [借訓]
載其喪船 喪山
<方> [正訓][借訓]    [略音]
駅使班于四方
<木> [略音]     [正訓]
風木津別之忍男神
<藻>…非使用 [正訓]

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