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■■■ 「古事記」解釈 [2023.5.19] ■■■
[695] 「古事記」仮名無声母音 布夫
ふブ仮名の話を続けており、いかにも音韻論的に見える話にはなっているが、無知な素人のWiki情報聞き齧りによる馬鹿話なので十分にご注意されたし。そこで一言。

「古事記」とは王朝に伝承されて来た口誦叙事の文字表記化の書。従って、文字を通して、どの様な音かを読み取れるように工夫されている筈。従って、太安万侶式音韻論のもとに表記されているのは明々白々。しかし、現代の音韻論とはギリシア文明の系譜の上に立っている代物であり、その眼鏡を通して見ない方がよかろう、と言うのが小生の考え方。
こんな風に考えるので、現代の5母音とは、以下の構造から出発していると見なした訳だ。📖(長短音)
この手の見方こそ、母音数をできる限り増やしたくない、雑炊言語の規律のポイントとがあると考えたからである。

________
__イ___宇___
_____|__オ
______|
______阿__オ
________

[祖音][a̱]⇔[≒ɯ̟ᵝ ]>&[i]>
  + [追加音][≒o̞ ]> …2音に分岐( e.g. ɒ系 & ɔ系)
    + [渡来導入音][≒e̞ ]> 

どの道、専門家がいくら注力しても、辺境吹き溜まりに倭語古代母音の残滓を見つけることはできないだろう。どうして5母音しかないのか、そうだとしたらどのように峻別したか想定するしかなかろう。母音が溢れかえる語族での、音韻規則で類似性を見て考える方法論は素人からすればはなはだ疑問。

長々と書いているのは、モノの見方こそが、読んでの面白さであり、そこから新たな発想が生まれたりすると考えているから。しかし、残念ながら、そのラインで書いているサイトには滅多に出会えなくなってしまった。マ、目新しいデザインで顧客を集めようと頑張る人だらけの社会だから、致し方ないのはわかるものの。

そんな愚痴をついつい漏らしたくなるのは、子音に関して、ハヒフへホ音の変遷についての解説だらけだったから。ところが、山のようなサイトはあれど、Wiki以上の情報があるのでもなさそう。コリャ、一体何ナノという気文にさせられてしまった。

ともあれ、内容は薄っぺら。・・・例えばフが語頭音の場合、<[古代無声音/非有声音/非濁音]p→ɸ (or f)>との変遷が見て取れるというだけ。何時、どの様な経緯で変化したのか、議論が続いているのだろう。(尚、fは唇齒摩擦音@漢語で、ɸは両唇摩擦音@非漢語。)📖宋朝韻圖

しかし、ここで、脳味噌が刺激を受けた。
文字表記化が<p⇒ɸ>の引き金かも、と。

現代日本語では、無声子音[p]は<パピプぺポ>の破裂音になる。これを濁音化すれば[b]<バビブベボ>であり、どちらにしてもかなり強烈な印象を与える。
大陸の儒教圏では、小声でヒソヒソ語り合うのは危険だから、それでよいだろうが、雑炊型話語の倭語には似つかわしくない。おそらく、[p]は弱音。
相対口頭会話ならそれでよいが、文字化して読み音で伝達を図るとなると、弱音は敬遠したくなるのでは。

そんなことを夢想すると、倭語の<p>音とは、もともとは母音系かも知れないという気にもさせられる。母音は有声音だが、無声子音に繋がった音だと、語末、あるいは無声子音の音が来ると無声化してしまう現象を想い起させるからだ。
この現象がどうして発生するのかは知らないが、大胆に類推すれば、<弱音母音ゥ⇒無声化&非声帯音化⇒子音p>プロセスが存在した様にも受け取れないこともなかろう。そうなれば、弱音を止めて、爆発的破裂音化も避けたいとなれば、"フ"音が、<pゥ̟⇒ɸːɯ̟ᵝ >と変化することもありそうな気がしてくる。

・・・と言う馬鹿話が一段落したところで、<ふブ>表記文字を眺めておこう。文字使用には慎重姿勢。

(丆:不の初画)(〃) [萬]…布 @呉音
布  由布佐礼婆:ゆふされば
賦  伊賦夜坂:いふやさか
上  1例のみ(白梼上:かしのふ)
部  1例のみ(物部:もののふ)
[漢文@序]府  府無空月
[漢文@序]浮  浮沈海水

ブ [萬]…夫
夫  知波夜夫流:ちはやぶる
生  1例のみ(壬生:みぶ)
服  1例のみ(伊服岐能山:いぶきのやま)
[漢文@序]符  乾符
[漢文@序]儛詠

:以下の様な体系で考えない方が良いと思う。
________
________о
_____ӕ__ɑ

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