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■■■ 「古事記」解釈 [2023.5.30] ■■■
[704] 「古事記」仮名 梵語音 佐邪志士須受勢是曽蘇敍
さザしジすズせゼそsoゾラ行音は相当に発音しずらいとの話をした。📖(無禮音)しかし、それは前文字末尾の母音と、子音に繋がる母音に挟まれている状況だから、他の言語の様に子音を剥き出しで発音することがなかったせいで、渡来のラ行音的な音の模倣に適していないせいが大きい。渡来音のrやlの音は倭語にはなかったから、致し方ない。
ところが、この難しさとは性格が全く異なる難しさを抱えるのがサ行音。太安万侶も難儀したに違いないが、割り切ったようである。そのお蔭でというか、現代日本語の発音はゴチャゴチャ支離滅裂になっているが、もともと曖昧性容認の雑炊言語なのでどうにか対面を取り繕っているというところ。
ただ、そんな状況に諾々と従って育って来た大人はそう感じることはほぼ無いと言ってよいだろう。多分、言語学者も、様々な言語を知っているから、混乱など当たり前としか感じられず、その経緯を考えることに頭をつかうことになる。
倭語は雑炊言語であると見ていれば、流石に、サ行の異常さに気付く筈だと思うが、そうとも言えないかも知れない。一言書いておこうか。・・・

S行のローマ字表記はsa・shi・su・se・soと書く事が多く、統一性を欠くことがわかる。実態的には、[sa]・[su]・[se]・[so](s:無声歯茎摩擦音)+[ɕi](ɕ:歯茎硬口蓋摩擦音)となっているかららしい。(シャ拗音行sha・_・shu・she・shoとの混沌。[ヘボン式h→訓令式y])
濁音化すると、この程度で収まらず、T行音との混淆まで発生し、現実的にはゴチャゴチャ支離滅裂に近いが、常識人なら、それを直視した発言は避けることになっている。ジとヂ、ズとヅは区別してしかるべきだが、現実に差がわかるように発音できる人などいないにもかかわらず。
それこそ、shi的な表記を真似するなら、この様な行が出来上がっていることを意味しよう。滅多なことでは見かけない表記だが。
  tsa si tsu se tso (ɕa…)
  dza zi dzu ze dzo (d͡ʑa…)
もともと、サ行は欠陥のある発音であり、民衆がそうしたとの解説をすることになっているが、そのような言葉が生き続ける訳がなく全くの逆であろう。
今でも、ココら周辺の発音は極めて難しく、社会的圧力があるため、無理矢理幼児に沁み込ませることになっているが、それに抵抗して育って来たような小学1年生も存在するようだ。(その様な児童がどの様に扱われて来たのかは定かではない。「舌足らず」はどう見ても差別用語の類だから。)

そこで、ふと気付いたのだが📖言語比較、悉曇で五十音を規定すれば、k--t-n/m-h-y-r/l-v-[ṣ-s-ś]とならざるを得ない。つまり、ワ行で終わらせるには、cにṣ-s-śを組み入れるしかなかったことになる。もともとが、無理矢理詰め込んだ概念ということになろう。空海が五十音図的に倭語を整理しなかったのもここらを踏まえていたとも言えるのかも。

それに、破裂音なら日本語の清濁概念で対応できるだろうが、この最後の無声摩擦音群ではそう簡単にはいくまい。
ただ、強引にその方向に進めることになったのは、清濁の音の分別を重視しなくなったからだろう。別仮名文字を設けずに付属記号の<゛>で済ましたことに象徴される訳だが。・・・要するに、濁音と清音を間違えたところで大勢に変化なしとの判断ということ。「古事記」の如く、口誦叙事を伝えるための表記ではないから、それで十分ということ。

ーーー

と言うことで、「古事記」仮名を眺めてみたが、かなりしっかりした思想性のもとに文字を選定している印象を受けたものの、その一方で、その見方が間違いである可能性もかなり高そうなので、ここで云々するのは残念ながらできかねる。(「古事記」語彙について辞書的に使えるレベルのインターネットリソーシスが無い以上、素人が手掛ければ途方もない時間を費やすことになる。結構、特定固有名詞用漢字を設定しているように見受けられるが、それがどこまで専用化されているのか、どうしてその文字が特定固有名詞のみに用いられるのか、等々は、「古事記」全体観のもとに眺めない限り見えてこないから致し方ない。)

(散の初画)(左) [萬]…佐
佐 左 沙 紗  狭
  [+萬]…作者柴草散 嗟猿猨積令所也棹羅方麻小酢旦

ザ [+萬]…邪
邪 奢 弉
  [+萬]…(佐)(狭)社射謝䠶蔵 坐座残麻蹔不

(之の変形)(〃) [萬]…志
志 子 斯 為 師 紫 新 芝  科 令 士 色 所 史 始
  [+萬]…之水四司詞思偲信歌詩旨次此死事准礒 僧為使石知指令時足磯至資賜祗巳氏寺柿姿寒殺在刺屍支私糸紙歯式慈侍示清矢有試貲嗤肆屣

ジ [萬]…士 @呉音
士 自  字 不 事 辞 下 師 志 勿
  [+萬]…寺侍 仕司時尽慈耳餌児弐爾 示次緇

(湏/須の終画)(寸) [萬]…須 @呉音
須 周 酒 巣 所 州 酢  主 簀 為 臼
  [+萬]…寸洲珠数栖渚 令春簾食住種

ズ [萬]…受 @呉音
受  勿 巣 非 未 不
  [+萬]…授殊儒 須従酢豆靡聚

(世の終画変形)(〃) [萬]…勢 @呉音
勢 瀬 世 迫  兄 為 所 令 夫
  [+萬]…西斉背施脊 湍旋狭作士柵弟

ゼ [萬]…是 @呉音

  [+萬]…湍 瀬世

(丷:曽の初画)(〃) [萬]…曽【乙】 @呉音
曽 其 衣  彼
  [+萬]…僧増所則背苑 也藻焉行具

so [萬]…蘇【甲】 @漢音
蘇 十/拾 宗 素
  [+萬]…祖 礒麻石

ゾ [萬]…敍【乙】
叙 存  也 曽 敍 矣
  [+萬]…序賊茹如鋤

(zo) [萬]…n.a.【甲】
  [only萬]…俗  日乎可俗閇都々:日を数へつつ[巻五#890]

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