→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.10.6] ■■■ [827] 太安万侶:「漢倭辞典」呼応・係結 係助詞と陳述副詞に関してのことだが、その文法用語としては、呼応/responseや係結/relationship-knotより、聯繋/connectionあるいは連携/linkageが望ましいと思う、・・・という程度の素人話。 "其呼應聲曰噫噫 如然諾矣"@「太平御覽」倭 ≪呼≫__2 呼謂大穴牟遲~曰:「・・・」 女呼猨女君之事是也 ≪応/應≫_13 其后以爲不應爭 自今以後應稱倭建御子 御子者所遣之政遂應覆奏 凡茲天下者汝非應知國 明日之旦應幸於濱 塗其船中之簀椅設蹈應仆而 凡吾者非應爲汝妻之女 自當岐麻道廻應越幸 故應愼亦宜堅御身 莫殺吾身有應白事 ≪係≫ 非使用 ≪結≫__7 手草結天香山之小竹葉而 毎門結八佐受岐 其室毎椽結著而 然解結椽髮之間 其御髮結額也 梳垂其結御髮 卽結友 倭語の文章は一直線構造。📖 ┼┼┼┼┼○┼○┼○┼○┼[V-v] ┼┼┼┼┼│┼│┼│┼│┼↑ ┼┼┼┼┼│┼│┼│┼└─┤ ┼┼┼┼┼│┼│┼└───┤ ┼┼┼┼┼│┼└─────┤ ┼┼┼┼┼└───────┘ 極めてシンプルであり、名詞句配列には常識的な前後逆転不可ルールもあるものの、基本はこの文の口誦者の気分で決めることになる。印象としては、文頭ほど句のイメージは強そうだが、題意をつたえる好位置であるというに過ぎず、聴き手はその感覚で順に聴いていくから、特段に注意を払うべき句は生まれようがない。 ところが、ここに呼応と係結と呼ばれる表現技法が乗ってくる。なんらかのハイライト⚠を与えようとする、言語での常套手段である。倭語の場合は2種類存在する。📖 陳述の"呼応"文型 "係り"方式の疑似的構文上の変化 驚くことに、文内部に手を入れるにもかかわらず、一直線構造はくずれない。外側だろうが内側だろうが、交叉して複雑化することはなく、名詞句群が叙述部に順次係る構造は維持される。その変わり、叙述部の内部の変化が発生したりすることはあるものの。 したがって、この手法で発生する文の変化は極めてマイナーであるが、ここだけ取り出してしまうと、極めて解り難い例外的現象に映ってしまう。従って、現代人にとっては訳もわからずに丸暗記するしか手がなく、苦痛を覚える箇所と化す。 もともと、副詞的名詞句はそうした連繋を生み出しやすいのは当たり前。精緻な文法的説明などなくとも、"昨晩に"とあれば、叙述部を"〜する。"では無く、"〜した。"に変えないですます人がいるとは思えない訳で。 つまり、ハイライトを与えるための語彙追加スキームの考え方はこうなろう。・・・ ┼┼┼□┼○┼○┼○┼○┼[V-v] ┼┼┼│┼│┼│┼│┼│┼↑┼↑ ┼┼┼│┼│┼│┼│┼└─┤┼│ ┼┼┼│┼│┼│┼└───┤┼│ ┼┼┼│┼│┼└─────┤┼│ ┼┼┼│┼└───────┘┼│ ┼┼┼└───────────┘ 荒っぽい話にしているが、 普通に考えれば活用語尾は直に後続する語彙で形が決まるのであるから、この係結表現とは疑似倒置として、名詞句の語尾に移された結果だろう。 ("係り結び"は本居宣長が初めて見つけたらしいが、助詞であるから、どうしても表現したいという気になる人が僅少になれば忘れられてしまうのは自然な流れと言えそう。) 山_-高し…<S-V[含形容詞]>直結文には助詞不要(離れていても適用可能) 山は 高し [区別]⇐疑似倒置 山高し-は・・・・。 山も 高し [並列・添加・強意]⇐疑似倒置 山高し-も・・・。 山こそ 高けれ [強意]⇐疑似倒置 山高けれ-ば-こそ。 山ぞ 高き [強意]⇐疑似倒置 山高き-ぞ! 山なむ 高き [強意]⇐疑似倒置 山高き-と-なむ! 山か 高き [疑問・(反語)]⇐疑似倒置 山高き-か! 山や 高き [(疑問)・反語・詠嘆]⇐疑似倒置 山高き-や! ↑ 形容詞ク活用 -く -く -し -き -けれ − -から -かり − -かる − -かれ 次に、陳述副詞の呼応関係の対象語彙を見ておこう。 副詞の意味用法としては12種類が同定されているが意志・願望 命令・依頼 疑問 感嘆 確信・必然性 推測・可能性 強意否定・不可能 評価・注釈 比況 仮定・条件 譲歩 取り立て)全体像を眺めるならこんなところか。・・・ ---活用語--- ≪助動詞≫ [打消]ず 知らず [打消][願望][疑問・反語][推量]じ [打消][願望][禁止][疑問・反語][推量]まじ [禁止]べからず [疑問・反語][推量]べし [疑問・反語][推量][願望]む [疑問・反語][推量]らむ けむ [詠嘆]けり [比況]ごとし ごとくなり やうなり ≪形容詞≫ [打消]なし ---非活用語--- ≪助詞≫ 終助詞 [願望]ばや がな/もがな/てしがな/にしがな 接続助詞 [打消]で [仮定]とも ば 格助詞 [仮定]と 係助詞 [疑問・反語]や か ≪副詞≫ [禁止]な そ (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |