■■■ 「古事記」叙事的訓読 ■■■ 🈠(漢文)序文 ㊀混元〜飛鳥 _____ ○ 📖 … or コジキ ジョウクワン ならび[に] ジョ 臣 安萬侶 言 ⓿《混沌》 [「老子」 (匯校版)] ┌─混元 【漫句】 ≒元氣 │ 道⇒混元の一氣(元氣)⇒陰陽二氣⇒萬物生成 │ 道生一,一生二,二生三,三生萬物。 │ 萬物負陰而抱陽,沖氣以為和。[四十二章] │ 有物混成,先天地生。[二十五章] │┌──既 ││┼┼┼凝 こ-る └│氣象 ┼└──未 ┼┼┼┼┼效 なら-う ⇒ {俗字}効 き-く ・・・無名 道常無名,樸。[第三十二章] 道隱無名。[第四十一章] 無爲 自然のママ(無作為) 人法地,地法天,天法道,道法自然。[二十五章] ・・・誰知其形 【漫句】 ❶《造化3神⇒二靈(伊邪那岐命+伊邪那美命)⇒群品之祖(国生み・神生み)》 ┌─乾坤 八卦の天地 │┌──初分 ││ 參~ 作 造化之首 └│陰陽 ┼└──斯開 か-く(これまで/終局) ┼┼ 二靈 爲 群品之祖 【雜隔句】 ❷《洗目(天照大御~+月読命)⇒滌身(海神)》 出入幽顯 日月彰 於 洗目 浮沈海水 ~祇呈 於 滌身 【輕隔句】 伊邪那岐命┬(穢れ)伊邪那美命 ┼┼┼┼┼(禊 1…滌身) ┼┼┼┼┼├─神々☚順番が後回し ┼┼┼┼┼(禊 2…洗目鼻) ┼┼┼┼┼├─天照大御神@目・・・日 ┼┼┼┼┼├─月_読_命@目・・・月 ┼┼┼┼┼└─須佐之男命@鼻・・・海原☚無視 ❸《太安万侶の解説》 ┌─太素 最原始的物質 │ 太素者,質之始也。[「列子」天瑞] │┌──杳冥 ≒幽暗 くら-い/はるか+くら-い ││ 因本教 而 識 孕土 產嶋之時 └│元始 起始 ┼└──綿邈 ≒悠遠 つら-なる/こま-かい+とおい ┼┼ 頼先聖 而 察 生~ 立人之世 【雜隔句】 🈚須佐之男命狼藉追放〜天岩戸☚無視 🈚出雲(須佐之男命〜大国主命)☚無視 ❹《継承の基本思想》 ┌─┬懸鏡 ③天岩戸 │┼└吐珠 ②誓約(天照大御神の珠) │ 而 │┌──百王相續☚王≠天皇 └│┬喫劒 ①誓約(須佐之男の剣) ┼│└切蛇 ④八岐大蛇 │ 以 ┼└──萬~蕃息 繁殖搗ス 【長句】 ┌─議安河 八百万神々@高天原 │ 而 │┌─平天下 └─論小濱 遣使 建御雷神@出雲 │ 而 ┼└─C國土 【長句】 天照大御神差配の地の神々と出雲の神々の対比として描かれており、前者は永続的に順次継承されるが、後者は滅茶苦茶な乱立状態ということか。 ❺《天孫降臨⇒東遷》 ┌─[祖]番仁岐命 │┌初降 于 高千嶺 【降臨】 └│[初]~倭天皇 ┼└經歷 于 秋津嶋 【東遷入畝傍】 【長句】 ┌─化熊出川 │┌─天劒獲 於 高倉 └│生尾遮徑 ┼└─大烏導 於 吉野 【輕隔句】 ┌─列儛☚該当シーン不明 │┌─攘賊 └│聞歌 ┼└─伏仇 【緊句】 🈚海神宮(山幸彦海幸彦) ❻《14代大后/16代&・・・》☚ ┌─覺夢 而 敬 ~祇 【祭祀】 │ 所以 │┌─稱 賢后 [14皇后]息長帯日売命/神功皇后/仲哀天皇后 ☚ └│望烟 而 撫 黎元 【善政】[黎元≒民] ┼│┼┼┼思安黎元,在于建侯,分州正域,以美風俗。[「漢書」王莽傳中] │ 於今 ┼└─傳 聖帝 [16]大雀命/仁徳天皇 ┌─┬定境開邦 【行政区画制定】 │┼└制 規定 │┌──于 "近"淡海 [13]若帯日子天皇/成務天皇 └│┬正姓撰氏 【氏姓改革】 ┼│└勒 統率/強制 ┼└──于 "遠"飛鳥 【雜隔句】 [19]男浅津間若子宿禰王/允恭天皇 壬申の乱[近江朝(大友皇子)⇒飛鳥朝(大海人皇子)]を想起させる地名でもある。 📖近淡海と遠飛鳥に注目する由縁 ❼《[結論]速度・手法は色々だが対応怠らずの歴史》 ┌─步驟 指緩急 ある-く/あゆ-むにわか/はせ-る │┌──各異 └│文質 文華&質朴☚儒教用語 ┼│┼子曰:"質勝文則野,文勝質則史,文質彬彬,然後君子。" ┼│┼ [「論語」雍也第六] ┼└──不同 【緊句】 ┌─稽古 考察古事☚日本の現代四字熟語 │┼┼然胡不審稽古之治為政之說乎。 │┼┼ [「墨子」尚同下] │┼以 │┌─繩 ただ-す ││┼└風猷 風教コ化 ││┼┼│風猷被有截,聲教覃無外。 ││┼┼│ [中宗祀昊天樂章 凱安@「全唐詩」卷10郊廟歌辭] ││┼┼└於 既頽 すで-に くず-れる/すた-れる └│照今 ┼│┼不知娉婷色,回照今何似。 ┼│┼ 劉長卿:「雜詠八首上禮部李侍郎」@「全唐詩」卷148 ┼│以 ┼└─補 おぎな-う ┼┼┼└典教 典章教化 ┼┼┼┼│今吳承闔閭之軍制,子胥之典教,政平未虧,戰勝未敗。 ┼┼┼┼│ [「吳越春秋」] ┼┼┼┼└於 欲絕 【長句】 ┼┼┼┼┼┼塞其兌,閉其門,塞閉之者,欲絕其源。 ┼┼┼┼┼┼ [「老子」河上公章句] ------------------------------------ ○序文は本文とは違い、口誦用倭文ではなく、献上書附公式漢文。 従って、読み方は4通りある筈。 官用語(規定漢語音:非読み下し) 官僚の伝達語(読み下し…未標準化) 皇族対象翻訳語(尊敬謙譲表現を伴う特殊倭語の読み下し) 個人的黙読/非公式口誦(平常倭語化) 例えば、冒頭の<臣>は場の設定で読みが変わる。 シン@漢語 やっこ@一般謙譲語 まくら@特別謙譲語 おみ@通用語 一方、<言>は常識的な読み方がある筈。平安初期の訓点資料記載("-ス")から確実視されている上、鎌倉政権でも踏襲されているからほぼ間違いないとされている。 音からすれば、<まを-す>⇒<まう-す>であろうから、妥当な選定としては1つ。 しかし、本文も含め<言>以外の表記文字も含めて、多くの場合、 語義からすれば、言葉(言霊)として出すという意味の語彙だろうから、<まを-す>は<申し上げる>という謙譲表現の可能性が高い。従って、異なる読みが望ましかろう。 ○墓誌銘文(2行41字)では従四位下勲五等太朝臣安萬侶とされており同一文字である。 ○なんといっても驚きは、陰陽二氣の基本姿勢を貫いている姿勢。本文とは水と油であり、恣意的にそれを際立たせている。政治的に中華帝国圏辺境有力朝貢国化の道を歩まざるを得ないということで、文書管理国家の流れが確定しているなかで、文化的には大陸の漢語圏とは異なることを示すために、口誦倭語を記録したと云わんばかり。ここで、特筆すべきは、3分掌こそが、倭の重要なコンセプトであるにもかかわらず、それが全く見えてこない点。・・・造化3神⇒3貴~(高天原・夜食国・海原)⇒3御子(山海・食国・日繼)という統治空間分けは、実は哲学的にもよくできており、人青草の世界とは陽と陰の間に位置する「中つ国」であることが自然に納得できるように書かれていると言ってよいのだが。 (C) 2021/2024 RandDManagement.com →HOME |