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■■■ 「古事記」解釈 [2022.12.17] ■■■
[歌鑑賞75]枯野を塩に焼き
【人々】志都歌之歌返木船琴
加良怒袁からのを 志本爾夜岐しほにやき 斯賀阿麻理そかあまり 許登爾都久理ことにつくり 賀岐比久夜かきひくや 由良能斗能ゆらのとの 斗那賀能伊久理爾となかのいくりに 布禮多都ふれたつ 那豆能紀能なづのきの 佐夜佐夜さやさや
⑩(4-5)-(5-6)-(5-5)-(8-4)-(5-4)

    茲 船破壞以燒鹽 取其燒遺木 作琴
    其音響七里
    爾 歌曰

解説あり。
    此者 志都歌之歌返也
枯野を  "枯野"船の(廃船材で)
塩に焼き  塩を焼いて
其が余り  その材の余りで
琴に作り  琴に作り上げた
掻き弾くや  (その琴を)つま弾くと
由良の門の  (鳴る)由良海峡の
門中の海石に  海中の岩に
触れ立つ  触れて立っている
水浸の木の  海水に浸かっている木(から出る音のようだ)
さやさや  "さやさや"と

No.73〜75の3首は文章上、建内宿禰が歌ったとしてもよいが、歌の表現から見て、よく知られている俗歌を取り上げたように見える。ただ、始まった経緯の情報を欠くので勝手な想像が横行することになる。
この高速船は淡路島の御井宮から難波の宮へと、毎日水を運ぶことに意味があったようで、どうしてそこまで拘るのか、理由が判然としないが、天皇の要求は厳しかったようだ。切っ掛けはともあれ、淡路島に渡って国見をしており、瀬戸海は国土創成の地ということで特別扱いだ。📖高速船"枯野"の記載遊び
 📖淡道国特別視の理由
尚、琴の話になるのは、船に特別な思いがあったので尾鰭がついて、噂が噂を呼ぶという状況を呈したのだろう。建内宿禰の琴で歌う前歌に引き続く構成になっていて、編纂の妙と言ってよさそう。
ただ、志都歌之歌返とされているので、御製扱いされているように見える。
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