表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.13 ■■■ タガメ食昆虫食を取り上げたかったのではと思われる一文あり。→ 「昆虫食をどう考えるか」[2013.9.15] 蝉とか蝦とか言っているが、食感の話かも。・・・ 【𧑒𧍪】, 形如蟬,其子如蝦, 著草葉。 得其子,則母飛來就之。 煎食,辛而美。 [卷十七 廣動植之二 蟲篇] 【𧑒𧍪】 姿は蝉のようだが、子は蝦の姿。 草葉についている。 子を取ると、母が飛来して子のところにやってくる。 煎って食べることができ、辛くて美味しい。 古くは、蝉は食材として通用していたと聞いたことがある。 もともと、樹液で生きている訳だから、カラッと揚げたりすれば食感上々でナッツ味とくるれば、美味とされるのは間違いなさそう。ただ、栄養があるとは言い難いし、重さがいかにも少ないから信仰的な食材と考えた方がよいのではないか。 ただ、【𧑒𧍪】は、親子が近くで生活している上、子も外骨格を持っているから、蝉類とは無縁。 蝉と蝦との違いとは、多分、脱皮前後の違いであろう。 そうなると、東南アジアで人気の、と言うか、その虫フェロモン的な芳香(ナンプラー浸は賦香だと思われる.)が定番とされるタガメ系か。卵と幼虫を雄が護るという習性を持つ種もいることだし。 そういうことと解釈すれば、成式が"母"としているのは実は"父"。タガメの保育士は♂で、♀は子育て放棄。従って、労苦が多い♂の体躯は、♀より一回り小さい。しかし、フェロモンの塊でもある。 → 「珍しい習性の水棲昆虫」 現在でも、台湾タガメ♂の唐揚げは、ミャンマー/タイ北部〜ラオス〜雲南では珍しくない大好評の食物である。(養殖しているほど。)これこそが、本来的な照葉樹林文化センターたる三日月弧地帯の肝。 → 「白川静流の風土論─照葉樹林文化─」[2017年6月18日] 尚、タガメは農薬にからきし弱く、実情的には日本には棲めない状況ではないかという人もいる。水槽展示でしかお目にかかれない訳だが、餌の魚が泳いでいるだけで滅多に動かないので余程の暇人でないと食餌のシーンは観察できないように思える。と言うか、死んだ魚がプカリと浮いていることがあるが、それがタガメ君の仕業。展示上えらくまずいのでそれを見る機会もないのが普通。 どうも、魚の旨さのエッセンスだけを頂戴して生きているようなのだ。それを知っている人達は、タガメを下手物と思う訳がなく、それこそ貴族趣味の超一級品と考える筈である。 グルメな成式がこれを見逃すことはない。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |