表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.12.26 ■■■ [学び] 蜂蜜考蜜=宓[=宀+必]+虫であるから、この漢字は蜂蜜から生まれたとみてよいだろう。なにせ、"蜜蜂"をトーテム人的神「驕蟲」…"二首螫蟲實惟蜂蜜之廬"とする養蜂部族が存在していたようだし。 [「山海経」中山経第6山系 →] (螽的大蠭もそれを伺わせる。 [「山海経」海内北経 →]) 「神農本草經」下巻蟲獸部上品にも、"石蜜"、"蜜蠟"、"蜂子"が収録されており、晋 郭璞:「蜜蜂賦」もあるから、蜂蜜はかなり流通していたと思われる。(薬関係の書籍に頻繁に登場するが、それは薬効からというより、散薬を丸薬に製剤化する過程で不可欠だったにすぎまい。) 唐代は貴重品との解説をしばしば見かけるが、晩唐では、すでに一般商品化していたと見るべきだと思う。「酉陽雑俎」に、"長安名小吃"[→]として、チマキがあげられているからである。 今衣冠家名食…庚家棕子,白瑩如玉 [卷七 酒食] これは現代にも通用する食品である。陝西〜長安で大流行した端午節日(夏日消暑)用品「蜂蜜凉棕子」のことであり、都にその専門店が生まれたのである。(「食譜」には、"焼尾宴"上的"賜緋含香粽"と記載されているらしい。)・・・餡無しで粽葉を使って煮沸して作った糯米チマキに蜂蜜をかけて、桂花醤をつけて食すようだ。 ["陝西蜂蜜凉棕的做法"中国食品科技網 2016-5-24] 従って、蜂蜜についての様々な評価話も多かったに違いないが、グルメの成式はそこらには触れていない。 余りに当たり前だからではないか。 現時点の感覚で分類すればこんな風になろう。・・・ <中華的上等品> 荊條/人参木/Chinese chastetree@華北〜東北南部 棗花/夏芽/Jujube@華北 槐花/えんじゅ/Pagoda-tree@黄河長江中下流 椴樹/科木/Lime tree[Linden類]@東北[長白山] 闊葉椴/西洋菩提樹/Largeleaf linden…@独・露:最高級品 <中華的愛好品> 荔枝@華南 龍眼/Longan@福建〜広東〜広西 柑橘花@長江以南 (棗が上等品だから、実が人気の、桃、栗、李、杏があってもおかしくないが、生産性が悪いのであろう。) <世界的汎用牧草品> 紫雲英/蓮華 or 翹揺[ゲンゲ]/Chinese milk vetch@長江流域 苜蓿花/白詰草/Clover <生薬的品> 鴨脚木/銀杏/Ginkgo <油糧品> 油菜花/菜種 <関心が薄い品> 蕎麦/Buckwheat…@仏:ジンジャーブレッド原料 金合歡/アカシア/Acacia…@日:高級 虫の観察をしていた成式のことであり、蜜蜂の蜜とは、花蜜であることを知らぬ訳もなく、この辺りの話をする必要は無いと判断したのだと思う。 その代わりなのか、花蜜を集めるのは集団行動をする蜜蜂だけでないことをそれとなく指摘している。 現代でも、このことを知らない人だらけであり、流石である。・・・ 竹蜜蜂[台湾竹熊蜂の類と思われる。]の記載で"甘倍於常蜜"と書いているのだ。[→] 熊蜂は単独行動する大きな蜂だが、肉食の雀蜂とは違い花蜜を集めるのである。おそらく、蜂蜜の水分量が、蜜蜂より低いのだろう。 それと、熊蜂は藤の花を好むと言われているから、その蜜の可能性があろう。 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |