表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2018.1.29 ■■■ [ここで一服]柿蒂紋2年近く要したが、「酉陽雑俎」のほぼ全体を眺めることができた。〆は"柿蒂紋"の話にしよう。柿の蒂形は吉祥紋様なので。 どんな形かわかりにくいかも知れぬが、珍しい紋様ではない。・・・ → 「柿蒂紋--結實堅固的中国古代寓意紋樣」 2012-10-31 中華古典家具網@(C)中山網維軟件技術有限公司 本サイトでは、「酉陽雑俎」記載の柿については2回取り上げた。 → 「柿の七絶」(20160506) → 「柿根甚固」(20171016) この記載箇所は結構有名である。 柿蒂紋が使われる理由として、段成式が書いた「柿の七絶」ほど説明し易いものが他に見つからないからだろう。 ただ、柿詩が無い訳ではないが。 → 日本的果実の木(2015.9.4) この紋様だが、漢代の蓋物容器類に多用されており(春秋期が最盛らしいが。)、服飾紋様にも使われていたことが知られている。 その伝統は現代にも続いており、建物の装飾文様に結構使われているそうだ。 → "「方華蔓長,名此曰昌」--為「柿蒂紋」正名" 2017/09/07 考古匯@壹讀 その辺りの感覚があったのか否かはわからぬが、日本では"柿の蔕"茶碗が有名だ。伏せた時の高台付近の形状とその色調質感が似ているということで、千利休が命名したらしいが、本当のところはよくわからない。 李朝期の高麗茶碗の1種であり、小生など、拝見してもどこが似ているのかさっぱりわからない。ただ、ゴツゴツした表面のせいもあって、大いに侘びた風情があるのは確か。 → [PHOTO] 柿の蔕茶碗_銘唐衣(C)東京国立博物館 尚、"柿蒂紋"は、日本の古代鏡では"四葉紋"のカテゴリーに含まれている。その辺りは、大陸とは感覚が違うようである。(柿の花や抱き柿の葉は家紋にあるが、蔕は使わないようだ。) 大陸でも、考古学的には"方華紋"のカテゴリーに入れることになるのであろう。4花弁をそれぞれ青龍、白虎、朱雀、玄武であると考えるからだ。蔕ではまずかろう。それぞれに華美な細かな装飾がほどこされ、個別の意匠が見られる作品もあるからその方が当たっているかも。 もちろん、なかにはそれぞれに如来が坐す場合もある。 "柿蒂紋"はあくまでも通称なのである。 特に台湾では、音が、柿=事なので、事事如意ということで、そう呼ばれているとか。 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |