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■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2015.8.24 ■■■

モモ類にされた木

2015年産のスモモは上出来ではないか。暑い地域に合う樹木なのか、零年になく美味しいのでずいぶんと食べた。

ス桃のスは、本来は「酸」だと思うが、「酢」が使われていることも多い。それなら、「李」を使せばよさそうに思うが、こちらはさらに好まれないようだ。"李下之冠"が気に喰わないのかも知れぬ。しかし、盗みたいほど美味しい実ということなのだから、「李」文字表記に人気が湧いてもよさそうに思えるのだが。
花街的なイメージが強いこともあるかも知れぬ。(徐妃[南朝梁 元帝蕭繹の妃]の淫行三昧は有名らしい。)

    「李花」  李商隠
  李径獨來数、愁情相與懸。
  自明無月夜、強笑欲風天。
  減粉與園、分香沾渚蓮。
  徐妃久己嫁、猶自玉爲鈿。


一方で、アンズの「杏」は好かれているようだ。こちらは、恋の象徴イメージがあるからかも。
   「杏」[2009.8.18]

漢字よりは、英語の方が嬉しい人が多いことも特徴。「Plum」として売られているものも少なくないからだ。「桃」ではなく、「梅」である。植物学的にも、実の種の形を見ても、スモモは梅に近いから当然だが。
┌─桜桃
┼─桃、アーモンド[扁桃]、ネクタリン[椿桃]
└─梅、李、杏
日本の感覚は全く異なるのは、モモの意味が百実だから来ているからだろう。・・・李も桃もモモのうち(桃もモモ 李もモモ 腿もモモ 百もモモ 桃李腿百と モモも色々)
   「桃文字類」[2015.7.22]

もっとも、不思議なことに「桜梅桃李」という言葉も使われたりするから、それぞれの味わいを堪能しようとしていた訳だが。

正確には、日本のスモモは揚子江辺りが原産の種だが、プラムはコーカサス原種で別種で西洋スモモなのだそうである。
フランス語の「Prune」をわざわざ使うことも少なくない。

栽培種は、どうせ色々掛け合わせているから、このような分類にたいした意味はないと思うが。・・・「ソルダム」、「サンタ・ローザ」、「ビューティー」、「サマー・エンジェル」、「ケルシー」、「大石早生」、「秋姫」、「月光」、「太陽」、「貴陽」、等々。

実もさることながら、花を愛でる人も多いようだ。そのような樹木はたいていは実は食用に不向き。
しかし、梅と桜の丁度中間時点の開花であり、桃と違って白色なので、園芸花木としての需要は昔からあったようだ。

    「李花 二首」  韓愈[768-824]
  平旦入西園、梨花數株若矜誇。
  旁有一株李、顏色慘慘似含嗟。
     ↓“桃李不言 下自成蹊”
  問之不肯道所以、獨繞百匝至日斜。
  忽憶前時經此樹、正見芳意初萌牙。
  奈何趁酒不省録、不見玉枝攅霜葩。
  然爲汝下雨涙、無由反旆羲和車。
  東風來吹不解顏、蒼茫夜氣生相遮。
  冰盤夏薦碧實脆、斥去不禦慚其花。

  當春天地爭奢華、洛陽園苑尤紛拏。
  誰將平地萬堆雪、剪刻作此連天花。
  日光赤色照未好、明月暫入都交加。
  夜領張徹投盧仝、乘雲共至玉皇家。
  長姫香禦四羅列、縞裙練無等差。
  靜濯明妝有所奉、顧我未肯置齒牙。
  清寒瑩骨肝膽醒、一生思慮無由邪。


    「李花」  汪珠
  枝綴霜葩白、无言笑曉風。
  清芳誰是侶?色間小桃紅。



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