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2014.11.8

米国中間選挙結果を眺めて…

米中間選挙結果はほぼ予想通り。
民主党のコア支持者が考え方を変えたとは考えにくいから、それ以外の層がオバマ大統領に駄目だしをしたということだろう。なにせ、リベラルの巣窟のような、メリーランドやマサチューセッツで、州知事選挙敗北の憂き目なのだから。世論調査結果から、落選確実とされていた現職のカンザス州知事でさえ、民主党奪回ナラズなのだから、まさに惨敗。

クリントンの経済重視路線やブッシュの対テロ路線同様に、脱海外派兵路線を喧伝したことにより、オバマ旋風と呼ばれる位、大いに支持された訳だが、結局のところ、イスラム国とエボラ熱の対応で、いかにも素人の市民運動家的に映ってしまい、愛想づかしをされたのだろう。
   「大統領の指導力霧散か」[2014.10.18]

考えてみれば、レトリックだけの「1つのアメリカ」キャンペーンが、議会における分裂を深刻化させたと見ることもできる。その方向へ、「チェンジ」させたようにも映るからだ。
"We are on our own, and have only our own reason and our judgment to rely on."、"Time has surely passed."という演説の名文句が迷文句と化して、自分に返ってきたのである。おそらく、この大統領はなにが問題で自党からも見捨てられたのかわかっていない。コア支持層が信奉するイデオロギーの眼からしか現実をみようとしないからだ。

だからこそ、かつてオバマ大統領実現のために歓び勇んで票を入れに行った人達、特に、非白人層が、中間選挙では投票所に足を運ぶ気が失せたのである。一方、ロムニー候補に不満だったので投票する気がしなかった層が、今度は共和党候補者に、それこそ万難を排して一票を入れねばという気になったということ。

人種と宗教でのシェア変動傾向を考えると、共和党が今の支持層に依拠し続ければ、衰退は確実。
本来なら、共和党色の州が次第に民主党色に染まっていく流れである。
オバマ大統領はその波を作りだしたのかと思いきや、逆戻りなのだから、どうなっているのか魔訶不思議。

ただ、下院の選挙区は、恣意的な区割りでもあり、共和党は最大限にその恩恵を蒙ったと言えなくもないが。
ともあれ、民主党は、共和党を凌駕できる時代が到来しているにもかかわらず、わざわざチャンスを潰しているのである。妥協を好まないコア支持者の意向を無視すれば、党内闘争で敗れるから致し方なしなのだろう。そうだとすれば、悪循環であり、この先沈没していく可能性もなきにしもあらず。

民主党も共和党も、コア支持者だけの党になりつつあるとすれば、この結果は、もともとの力量を反映していると言えるかも。
民主党は、上院の激戦区で、ほとんど落選となった訳だが、過去に戻っただけと見ることもできるからだ。
<民主党議席州>
●アラスカ
 ブッシュ〜Sarah Palin支持者多しでは。
 ドロドロ地方政治か。
 民主党候補は反オバマキャンペーン。
●アーカンソー
 政治屋家系打倒の動きか。
 民主党候補がオバマケア批判。
 ナンダカネ状態。
 もともと、共和党基盤だから当然か。
●コロラド
 本来は共和党基盤だが揺らいでいそう。
●アイオワ
 民主党優位の州の筈だが。
●ルイジアナ
 もともと、共和党基盤だろう。
●ニューハンプシャー
 ここは民主党基盤と考えてよいのでは。
 激戦になること自体おかしな感じがする。
●ノースカロライナ
 本来は共和党基盤だが、おそらく転換中。
<共和党議席州>
 もともとは共和党基盤だと思うが。
●ジョージア
 ロムニー票もかろうじて過半数越えだった。
●ケンタッキー
 民主党候補は反オバマ政策を公言。
●カンザス
 対抗馬は無所属。


しかしながら、両党ともコア支持者の眼は、こうした結果より、これを踏まえた2016大統領選挙の方だったといえなくもない。
そういう意味では、極めて重要な選挙だった筈だが、民主党は大失敗した訳だ。・・・共和党は、上院で実現した議席差で、2016年の選挙で過半数割れになる可能性は消えたし、州知事選挙でも躍進したから、余裕の選挙戦になろう。それに比べると、民主党は危機的。大統領の政策の批判者まで登場する事態になったのだから、一丸となった政策提起はできまい。2016集票マシンは空回りするのでは。
おそらく移民法で共和党の弱点を突き、勝負をかけるのだろうが、「大統領の指導の下」イメージ払拭を狙うしかないから、奏功する可能性は低そう。共和党はイデオロギー的に頑固に見えるが、どう見ても民主党以上に実利的だから、逆手をとられるのが関の山では。今回にしても、史上最年少女性下院議員、共和党初の黒人女性議員を誕生させ、小さいことだが、共和党としては大きな一歩を踏み出しているのである。これは2年後に選挙権を得る層や、いままで支持率で大きな差をつけられていた女性層と非白人層に強烈なアピールとなったのは間違いない。
   「高校生の政治活動をお勧めすべきか」[2014.10.20]

民主党は、若者/女性票の掘り起こし可能な候補者で戦うしかないが、マスコミが予想するほど、人気が湧くとは思えない。これから2年、反オバマ言動を続けることなど不可能なのだから。

(参照) http://www3.nhk.or.jp/news/us_election/

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