■■■■■ 2010.12.13 ■■■■■

 ブタの格言

 “You cannot make a silk purse out of a sow's ear.”という話を聞いたことがあるだろうか。
 「豚に真珠」なら、“Do not give what is holly to the dogs, nor cast pearls to swine.”[Matthew 7-6]に由来ありということは結構知られているが、「豚耳から財布」は言葉自体が余り知られていないのでは。
 小生の場合もそうだったのだが、心得として覚えておくように言われたため、今でも時々思い出す。・・・早い話、“Yes, we can.”の姿勢で仕事をせよということ。これこそ米国の誇るべき伝統と言う訳だ。
 もちろん、今は昔。
     “A Silk Purse From a Sow's Ear 1921” @Smithsonian Institute

 何故、こんなことを思い出したかといえば、超安価な最低品質のサーバーを五万と集めて、ダウンしない超巨大コンピュータを実現する方向に技術が流れているのに、日本は逆方向に進みたがっているようだから。

 つくづく、時の流れは速いものだと思う。
 ご存知のように、日本にはこの流れを先頭に立って切り開いていくまたとないチャンスがあった。超大量生産品のゲーム機を使って挑戦する道があったのである。もっとも、現実にLinuxを移植しても動きは今一歩ではあったから、イノベーションどころではなかったようだが。
 ただ、これからの産業技術を考えると、画像を用いたシミュレーション実験全盛になるのは自明だっから、もう少し力を入れてもよかったように思う。折角のイノベーションのタネをむざむざ捨て去ったように映るが。

 逆に、“京”スパコンは、素人には、一体何がイノベーションのタネかわからず。世界における巨大戦艦建造競争に負けるなということで、いまさら“戦艦大和”でもなかろうという印象だが。
     “世界一でなければ駄目なのですか?”考 [2010.12.7]
 スカラー型で競争するなら、もっと前にすべきだった。
 と言うか、そんなことは、日本の大学がとっくに先鞭をつけていたのである。汎用チップを用いることで、大学の計算センターと研究室予算レベルで、巨大予算の米国プロジェクトを肩を並べる成果を生み出していたのだ。普通は、これこそを革新的プロジェクトと呼ぶ。
    「大学のスパコン研究の実力向上」 [2002.6.25]
 そうそう、“地球シュミレーター”は“戦艦大和”と揶揄されたが、それは当たっていない。戦艦同士の競争ではなかったからだ。言ってみれば、“日本版巨大飛行船ツェッペリン”と呼ぶべきもの。使い勝手のよい小規模飛行船を狙うのが筋のように思うが、トコトン追求したい人だらけだった訳だ。

 その体質は、“京”にも、そのまま受け継がれている。世界に冠たる超巨大戦艦一隻をどうしても作りたいらしい。完成したところで、市場が求めている駆逐艦作りに役に立つとは思えないのだが。

 そんな話をしても、「(馬の耳に)に念仏」か。

 と言うか、否定的な話を嫌う人だらけの社会だから、一度決めた道は真面目に突き進む以外はできないということでもある。
 そんな風土を象徴したような、現代日本の創作諺もある。・・・「豚もおだてりゃ木に登る。
 豚は木には登れないだろうから、これはお笑いの作り話にすぎまい。しかし、水嫌いの豚でも、腹を手で摩ってあげれば大喜びして、水槽に入ったりするもの。そこで、うっとりして倒れ込んだり。従って、正しくはこういうべきでは。・・・「豚も撫でれば溺れる。

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