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■■■■■ 2014.11.14 ■■■■■


Dr. 'Realist'のご託宣

Prof. Nouriel RoubiniはDr, Doomとばかり思っていたが、最近はDr. 'Realist'とされているらしい。確かに、直截的発言というだけであり、ドギツイ呼称は避けるべきかも。
この人が登場すると、思わず2008年を思い出してゾッとする方も多かろう。
  「米国はまともに考えているのか」[2008.3.12]
  「悲観論主導の時代か」[2008.9.4]

もっとも、映像のキャプションではあい変わらずの"DR. DOOM NO MORE?"。
  Video Tuesday, 11 November 2014 | 7:32 PM ET@"Nouriel Roubini: Interest rates won't rise soon" Bruno J. Navarro CNBC Monday, 10 Nov 2014 | 5:54 PM ET

当時を振り返ってみればよくわかるが、自民党政治は何も変わっていない。再び、ナショナリズムを煽りながら、バラマキを武器に選挙戦を進めたいらしい。危機感ゼロの人達である。
それは政治屋の宿命ということかも知れぬが。
それでも、野党よりはまだましというのが実情だから、箸にも棒にもかからぬ政治状況である。
おっと、変わっていないという表現はまずかったか。経済基盤は一層の脆弱化が進んだのだから。もちろん、構造改革などどこふく風だし、TPPも口だけで、やる気なし。と言うか、ついに際限ない債務積み上げへGOということで、ルビコン川を渡ってしまったからもう打つ手なしである。もう戻りようがない。当然ながら、この先格差は拡大一途だから、構造改革など口にも出せなくなってくる。国のバラマキ以外、消費も投資もマイナス成長しか望めないということ。

まあ、グローバル企業に海外で頑張って頂く以外にないということ。国内は研究開発部隊と職人、プロフェッショナルだけに集約し、徹底強化しかない。主体は海外であり、シフトに遅れるととりかえしがつかないのでは。

換言すれば、国内全般の窮乏化は避けられない訳だ。しかし、そのなかでバラマキの恩恵を受け、規制で守られる人達は肥る一方。社会の不安定化は避けられそうにない。
だが、それが、国民の大多数が好む道なのだから致し方あるまい。

と言うことであれば、円安はその流れを加速化させることになるから結構な話とも言えるのかも。
だが、生憎と、世界経済は退潮期。

そうそう、Dr. 'Realist'のご託宣がある。まあ、その通りと言うしかない代物。
  NOURIEL ROUBINI:"The Single-Engine Global Economy" Project Syndicate OCT 31, 2014

ジェット機に擬えたなかなか上手い表現である。
 第1エンジン:順調に稼働。
 第2エンジン:弱々しく再稼働したが停止状態。
 第3エンジン:燃料切れ近し。
 第4エンジン:急速に回転が落ちつつある。
   (調整のために、低速運転。)
ちょっと前までは、追い風が吹いていたが、風向きが変わり向かい風。

さて、これでどこまで飛び続けられるかネというのである。

常識的にはドル独歩高のエネルギー価格低迷だ。それは、米国経済に変調をきたす引き金になる可能性もある。唯一まともに動いているエンジンにも異常発生となりかねないのである。
もともと、第2、第3エンジンは持続可能な訳ではない。
当面、落ちることはなかろうが、この先、どうなるかはなんともというのが実情。

それに、忘れがちな点も。・・・
どの国でも、ナショナリズムを煽る勢力が力を持ってきたことにも注意を払うべきだろう。今のところ、金融市場はグローバル性を維持しているが、そこを突くような動きが出ないとの保証はない。
問題は、そんな動きが無くても、リスクを考える人がでてくると、投資は縮小しかねない。経済縮小へ進む可能性は否定できないのである。

Dr. 'Realist'は、そんな状況のジェット機で、乗員が不安を感じ始めたら、一体どうするのと語りかけている訳。

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