■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[爲]■■■
は、古字情報を除けば、よく知られた文字。・・・
 𦥮@古字→爲@繁体字→為@新字体→为@簡体字
     →ゐ@Jp.平仮名
…辞書@Jp.現代の記述は多岐に渡るものの、基本字義としては、"な-す。@動詞"。ほぼ同じ感覚での用例として、"ため(にする。@動詞)"が追加されると見たらよさそう。
 漢文用法ではもっぱら"以A爲B"と"爲A所V"という構文になり、それに合った言い回しがされるし、主体的意思のニュアンスが含まれている以上、その語気のみを重視する使い方も。

問題はこうした用法を生み出すことになったであろう字源の推定。(音は、ようやく、辺境残存言語からの推定が軌道に乗り始めたというのが実情で、「說文解字」成立以前の音の推定は論理的方法論を欠いている以上、素人は参考にすべきでない。一方、字体は証拠が存在する両者のレベルの違いはただならぬ。従って、検討に当たっては、同居させるべきではなかろう。)

辞書では部首は灬[火]とされ、"爲"は<爪[爫]+象>という合字と見なされる。その上で、字体は、"象を(鼻を介して)手懐ける様を象る。"と推定されているのが普通。
ところが、「說文解字」はmonkeyと考えるので面喰う。(尚、後世の尚古的見方では、𦥮は両母猴の相対の象形となる。これを象と見なすのは無理。)
≪爪≫爲🅱㊎🆂母猴 其爲禽好爪[爪 母猴象 下腹爲母猴形]

    爪/爫/⺥🅱㊎🆂:丮 覆手曰爪[象形]
┌(𬺨[⺈+𫩏])…頭部
│  ⮞象[#369]/𧰼/𤉢🅱🆂:長鼻牙 南越大獸 三秊一乳
📖
│   🦣(象牙と長い鼻、大きな耳が目立つ4脚の巨大な体躯動物。
│      甲骨は、この特徴を感じさせる。)
└(𧰨)…胴体

感性の問題ではあるものの、甲骨や金文ならそれなりに象と爪の合字との見方に納得がいく。しかし、小篆の字体は爪部分の存在は分かるものの、他は四つ足動物らしいというに過ぎず、象の字形とはかなり異なっている。(鼻の機能的表現が存在すると言えないでもないものの。)とはいえ、為の字義を考えると、象の使役姿と解釈するのが自然と思われるので、そこで思考停止せざるを得ない。

・・・コレ、「說文解字」は甲骨金文情報ゼロだからその見方を無視してかまわぬという類の話ではない。小篆創成官僚は、"象"文字との合字にしなかったのだから、その理由を示す必要があろう。📖釋獸

実のところ、この字体を、"母猴"と見なす理屈はわからないでもない。

動物ブロック📖の"生き物"として並んでいる文字の異字体と見なすことも可能だからだ。
目玉キョロキョロ。手を操ることで隹の如く飛び跳ねる獸との字義ということで。
≪犬≫猴🅱🆂:夒
  玃🆂:母猴
  蛇有無窮之壽 獮猴壽八百歲變為猿 猿壽五百歲變為玃
     [「抱朴子」內篇卷三 對俗]

もともと、モンキー系文字の検討ははなはだ難しい。📖釋獸
多くの邑で「山海經」記述的なトーテム扱だった可能性が極めて高いが、脱部族社会化が進むと尊崇対象から侮蔑的扱いへと変ってしまうからだ。ヒト類似性の印象が強烈な為、どうしてもアンビバレントな感情が生まれるからだろう。このため、ここらの情感変遷を捉えるのは難しそう。
朝廷の高級官僚層はそうした状況を理解していたと思われる。動物ブロック外の文字とは、そこらが表現されていることになろう。
 e.g.≪禸≫𥝋:周成王時 州靡國獻𥝋 人身 反踵 自笑 笑即上脣掩其目 食人 北方謂之土螻
  ≪夊≫:貪獸…殷王朝始祖契の父帝嚳(一本足の牛的龍)

INDEX   ------------------------------------------------------
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