■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[冬]■■■
「說文解字」でよくわからない箇所は山ほどある。字義が余りに簡略した書き方だからだ。科挙受験で必要なら家庭教師に習うか塾に行けとの趣旨でもあろうから、そこらはどうにもならない。
それとは違い、真面目な顔で読み耽る能才達をからかうために、せっせと悩ませ所を作ったのではないかと思われる記述も少なくないのである。
特に、字体系譜書であるにもかかわらず、その観点での誤謬感を与える部分は圧巻。どう見てもミスではなさそうだから、意図的なもの。思わず、どう解釈すべきかしばらく考え込んでしまうことになる。科挙受験生レベルに程遠い素人には荷が重すぎる。
と言うことで、見逃しそうだが、そんな例。
📖麥夊舛

漢字フェチでなければ、普通は"夊"と書かれると見慣れない文字との印象を抱いてしまう。しかし、これは部首で名称が<ふゆガシラ>と言われれば、なんだということに。そういえば、冬だけでなく、夏もあるからそちらは<なつアシ>かとまぜっかえすことになろうが。
そんな状態だと、「說文解字」のここらの字体系譜の見かけがいかにも<(麦→)夊→夂→久>なので、フムフムで通り過ぎるところ。
ところが、そこで"冬"の小篆を眺めるとギョッとなる。
  #421≪仌≫冬🅱㊎🆂:四時盡[仌+夂 夂…古文終字]

甲骨-金文-小篆-楷書と並べるとほぼナンダカナ状態。
解説からすると、小篆上部の不可思議な字体は"夂"らしい。古文だから、齋とか魯が用いていたのだろうが、後世それが復活して来たことになる。小篆型曲線字形は直線化に不向きな為に発生したと考えるべしということだろうか。調べて解決するような問題ではなさそう。

そんなことが気になると、まるっきり関係ない文字"變"の新字もそんなものかも、と考えたり。省画を目指すなら、亦に合わせて2画の又にしたらよさそうなものだが、わざわざ夂を選んでいる。夊がデザイン的に魅力があるということか。

ともあれ、この小篆字体の一番の問題は、枠内に収めた感に欠ける上に、不安定感を打ち出している点。独立文字の態を成さない、部品の風体。文字の規格化に邁進しているのだから、そんなことをしてまで表現したいイメージがあるのだろう。それなら、関連しそうな神話があってもよさそうなもの。

そうそう、足に関係するなら、その辺りの系譜に落ち着きそうなものだが📖止癶步辵、麦と繋がることに意味があるということなのだろう。部分的に再掲しておこう。

[𠂊legs+㇏behind-follower]
   この両部(首)の字は、人の立つ形、
   神像が坐し、足を垂れる形で、
   要するに止の倒文である。@「字通」
      …この箇所だけは他と違って文意読み取れず。
[來 有穗者 +夊]#197🅱🆂
├┬┬┬┐
夊││││#198🅱🆂"ゆく":行遲曳夊夊 [象人兩脛有所躧]
│││││  …緩慢行走の姿態
│││││   𡕨 夌 致 愛 𡰿 竷 𡕢 夏 畟 㚇 夒 夔 夎
│││││    各:異辭[口+夊]
│││││    𢓴:卻[彳+日+夊]
│││││    後:遲[彳+幺 夊者後]
│││││    履:足所依[尸+彳+夊 舟象履形]
│││││
│││#199🆂"そむく":對臥[夊𡕒相背]
│ │││  …右足と左足が別々の方向に進んでいる不安定な態
│ ││
│  
│   
├┬┐
夂││#203🆂"おくれる":後至[象人兩脛後有致之者]
 ││      𡕗 夆 夅 夃 𡕒
 
  

[又+卜]/[𠂉+乂)]
   卜は木の枝の形。
   これでものを撃つことをいう。@「字通」
攴/攵 #079"うつ":小擊
  啟徹肇敏敃敄敀整效故政𢻱𢾭敟𣀷數𣿊孜攽𢽎敳敞敒改變(変)更敕𦔼斂敹敿㪉敶敵救敓斁赦攸𢻲敉敡𢾝敦𣀆敗𢿳寇𢾫𢾅敜㪤收鼓攷敂攻敲𢽴𢼟𠩺斀敯敔㪙鈙𣀘畋攺敘㪏㪒牧敇𣀔𢿲 (草書由来)

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