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2009.3.4
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調味味噌作りのお勧め…

   自製味噌ダレで料理を堪能できるようになれば、初心者としては、上出来。
   それを、手前味噌と呼ぶべきかは、よくわからない。


 味噌汁の話はしたが、味噌自体は余りに種類が多すぎ、オジサンにとっては、扱いがかなり難しい調味料である。ともあれ、先ずは味噌汁作りを通じて、味噌の風味の嬉しさを知ることが重要ということだけ述べた。
  → 「お味噌汁作りの学び方 」「お味噌汁の具の選定方法」 (2008年6月11日,6月18日)

 味噌の味がわかってきたら、味噌を生かした料理をしたくなるのが自然。
 と言うことで、今回は、味噌の使い方を取上げてみよう。

 但し、そう、ご大層な話ではない。高山名物「朴葉味噌」のような味わいを、出来合いでなく、自作料理として、堪能しようということ。
 言うまでもないが、「朴葉味噌」作りに難しい技術はいらない。それこそ、セット品(乾燥朴葉, 小型コンロ+メタノール固形燃料)も販売されているほどで、味をつけた味噌に刻み葱等を加え、葉に乗せ炙るだけだから単純そのもの。だが、それだけで、香ばしい味噌の香りが立ち昇り、味噌の複雑な味わいも愉しめるのだからたいしたものだ。
 本来は、そのまま焼いた味噌を食べるのが一番だが、旅館だと、飛騨牛と一緒にでてくることになる。これはこれで、お好きな人は少なくなかろう。

 もともと、高山は硬水。出汁を愉しむ味噌汁には不向きだ。そのため、もっぱら「調味味噌」で味わうようになったというのが、当地での宣伝文句だが、ここがポイントでもある。味噌そのものの旨みを知りたいなら、実は、味噌汁は今一歩で、「調味味噌」の方が適しているのだ。
 それに、初心者には、こちらの方が勉強になる。やってみればわかるが、味噌の旨みを出すためには、自分流レシピを開発する必要があるからだ。
 どうしてかは自明だろう。
 そもそも、味噌の種類は多いし、育ってきた環境によって好きな味も違う。テキストを見て、分量通り作ってもたいしたものはできない。自分で味を見ながら、配合方法を考案するしかないのである。

 ただ、学ぶに当たっては、「朴葉味噌」から始めることはお勧めできない。「なめ味噌」とか、「ご飯の友」と言われるペースト状味噌作りがよい。
 この手の調味料は、市販品も少なくない。従って、「調味味噌」の棚や、チルド売り場でどんなものが売れ筋か見ておくことをお勧めしたい。美味しそうだったら、参考に購入するのも一考。自作と比較するのも面白かろう。
 ただ、「金山寺味噌」だけは除外しよう。商品ジャンルでは「調味味噌」だが、醸造品なので、今回の学びの対象としては不適なのである。

〜肉系調理味噌の例〜
豚[肉]味噌 豚挽肉[+大葉]
油味噌
[アンダンスー]
豚脂身
鰹味噌 鰹削り節
鯛味噌 焼鯛ほぐし身
蝦味噌 蝦の質で左右される
〜野菜系調理味噌の例〜
ピーナッツ味噌 水飴/白胡麻入
ふきのとう味噌
[ばっけ]
初春の苦味
蕗味噌 上級者向き
にんにく味噌 大蒜好き向き
青唐辛子味噌 刺激好き向き
木の芽味噌 芽の息吹
山椒味噌 採り立てを
じゅうねん味噌
[エゴマ]
独特の油分
くるみ味噌 剥き立てを
柚子味噌 たいしたものではない
鉄火味噌 炒り大豆・香辛料入
 さて、それでは、どんな「調味味噌」にするか。
 まあ、右表に示すように、いろいろあるから、ご自分で決めになればよかろう。

 どれにしても、難しいものではない。作り方の基本は単純。
 自分の好きな味噌か、普段使っている味噌をベースに、砂糖を加えて軽く練ることで、“甘味噌”を作る。これに中味を入れて混ぜるにすぎない。
 先ずは、自分好みの“甘味噌”を微量作ってみること。

 この“甘味噌”作りだが、簡単至極。味噌と砂糖を混ぜて練るだけである。砂糖の量は最大同等まで。もちろん極く少量でもよい。三温糖がお勧め。
 良質の味噌が望ましいが、こだわる必要などない。酒精入りでもかまわぬ。
 ともかく、自分好みの“甘味噌”ができさえすれば成功。後は、少し手をかけ、しっかりしたものを作るだけ。

 それはどうするかといえば、味噌を出汁で薄めて、砂糖だけでなく、味醂を加えるに過ぎない。これだけで、相当まろやかになる。さらに、酒を加えてもよい。味噌自体が甘い場合は、塩を少々加える必要があるし、砂糖無しの方がよい時もある。自分で味を見ながら、レシピを決めること。
 もちろん、酢味が好きなら、酢を加える。まさに、好き好き。
 後は、“甘味噌”に身を加えて混ぜれば完成。

 おわかりだと思うが、この味の調整こそが、トレーニングそのもの。言うまでもないが、素人との自覚があるなら、僅かの量で混ぜ、試行錯誤で最適配合量を探るしかない。
 もちろん、実験さながら、秤量して、ノートにつけ、最適条件を探るのもよかろう。面倒だから、お勧めはしないが。
 それはともかく、美味しいものができるまで、何回でも挑戦すること。

 自分好みの作り方がわかってきたら、味噌の量を多めにして、本格的に作ってみよう。まあ、少量試行から、ベンチスケールテストに昇格したということ。
 その場合、単に混ぜて練るのではなく、出汁か水で味噌を緩くしてから、好みのレシピで砂糖や味醂を加えて、加熱するとよい。もちろん、量は少な目で。
 それに、焦がしたりしないよう、くれぐれも火力には注意を払うこと。

 尚、煮詰めすぎると硬くなる。そんな作品は、冷めるとガチガチになったりする。それでは失敗。
 まあ、失敗しても、味が悪くないのなら、食べれるが。
 十分加熱殺菌しておけば、冷蔵庫保存も可能。だが、素人作品だから、長くても1週間が限度ではないか。
 あと、忘れてならないのが、冷蔵庫内のしまい方。乾燥しているから、調理味噌の表面にラップを密着させ、密封容器に入れること。

 作った調理味噌を使う料理だが、以下のようなものがお勧め。
 日本酒のつまみとしても、なかなかのものだと思うが。

■ツケだれ料理(ディップ)■
 【生野菜+みそだれ】
  ・根野菜(大根、人参、廿日大根[赤蕪]、エシャーレット)
  ・胡瓜
  ・葉野菜(キャベツ)
 【蒸し(茹で)野菜+みそだれ】
  ・根野菜(大根、蕪、人参、牛蒡)
  ・芋(ジャガイモ、里芋、山芋)
  ・葉野菜(白菜、レタス)
  ・カボチャ、カリフラワー、ブロッコリー
  ・サヤインゲン
  ・ウド
  ・筍
  ・ベビーコーン
  → 「蒸し料理の話 」 (2008年1月17日)
 【焼き野菜+みそだれ】
  ・香辛系野菜(獅子唐、長葱、オクラ、パプリカ)
  ・果野菜(茄子、ズッキーニ、トマト)
 【揚げ野菜+みそだれ】
 【蒸し(茹で)肉+みそだれ】
 【他の加工食品+みそだれ】
  ・蒲鉾
  ・(がんもどき)

■定番料理■
 【田楽】(1)
  ・焼豆腐
  ・(川魚)
  ・茹で蒟蒻
 【焙りご飯+みそだれ】
  ・五平餅
  ・(焼おにぎり)
 【味噌カツ(八丁味噌系)】
  ・豚カツ

 --- 参照 ---
(1) [菜飯田楽]: 東海道五十三次吉田宿[現 豊橋市]の料理   “きく宗” http://www3.ocn.ne.jp/~kikusou/
  [祇園豆腐]: “馬琴が評した京の豆腐料理屋” 日本豆腐協会  http://www.tofu-as.jp/tofu/history/09.html
(田楽のイラスト) (C) Hitoshi Nomura NOM's FOODS iLLUSTRATED http://homepage1.nifty.com/NOM/


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