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2003.1.30 |
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小売業不振の元凶(3:「地方」の政策)…「地方」での小売業不振対策の様々なプロジェクトが動いている。実は、これが、事態の悪化に拍車をかけている。住民が減少している地域では、ほとんどの場合、雇用減少が見られる。工場での雇用が守れなくなっている上、公共事業の削減が顕著なためである。当然、住民の懐は、年々寂しくなる。 しかも、中国生産品の全面的な流入で、製品価格低下が進んでいる。たとえ、量的な消費が維持されても、額面では減少が進む。 デフレ下で、購入者数が減少し、個人の購入費用のパイも減退中、というのが、「地方」の実態である。 ところが、数字では沈滞する「地方」の小売業にも係わらず、動きは活発だったりする。大型展開で集客を狙ったり、寡占化による高収益化を図る動きがあるからだ。全体のパイは縮小しても、ミクロでは、売上伸張、収益拡大を狙えるから当然の動きである。 しかし、この伸張はミクロでの話しだ。マクロで成長が可能な訳ではない。あくまでも、「地方」の小売業の課題は、成長ではなく、合理化による生産性向上である。 従って、新展開や超大型出店が、生産性向上に繋がるなら正当な動きといえる。しかし、集客力発揮のためだけに、膨大な投資を敢行したプロジェクトも多い。商品も購買者も同じなら、新需要を創出した訳ではない。開店セールによる、消費前倒し効果だけである。 これだけの効果のために、一大商業コンプレックス創出を狙うプロジェクトもある。基盤整備を含め、膨大な投資が行われている。当初は千客万来だが、投資額に見合った収益確保が可能かは疑問である。地域顧客消費の大部分を獲得しない限り投資がペイするとは思えないからだ。少なくとも、地場商店街閉鎖や、類似スーパーの全面的撤退は不可欠の筈だ。そのような動きが微弱で、並存店が増えただけなら、全体の生産性は極端に低下する。今でもオーバーストアなのに、改善どころか悪化一途となる。 話しをきくと、当該商圏で、地場商店街持続策や、撤退防止の働きかけが平然と進んでいたりする。驚くべき政策が推進されている。 両者に資本が注ぎこまれ、パイは変わらない。全体で見れば、投資効率は惨憺たるものだ。このようなことを続ければ、小売業全体の沈没は時間の問題である。 これは、主に、政治や社会の問題とも言えるが、「地方」での小売業の売上低下は当然、との認識が確立できれば、状況は変わる筈だ。 小売業への生産性向上投資支援や、資本効率が悪い小売企業が撤退し易い環境作りができれば、「地方」復活も可能と思う。 しかし、このことは、「地方」は成長戦略がとれないことを意味する訳ではない。 県や市が扱う広域ではなく、極めて狭いローカルな地域なら、新業態による商店街発展策もあり得る。 しかも、難しい方策ではない。「地方」に存在しながら、都市化を図ればよいだけの話だ。 街独特の魅力を引き出し、住みたい地域を作り、全国から人を呼びよせ、地域の人口減少を止めればよいのだ。 ところが、こうした主張をすると、工場誘致に走ることが多い。ところが、これはほとんど効果はない。住む魅力が生まれないからだ。企業は安価な労働力を期待するし、被雇用者は地域外での消費に魅力を感じる。なんの取り柄もない地域になり下がる。 ところが、小売業が、特定の人々をターゲットにして、他の街では得がたい、至極便利で、的確な商品やサービスを提供すれば、状況は一変する。その人達にとっては、世界一の住み易い街である。 成熟化した社会には、様々な嗜好の人がいる。少数派でも、全国から集めれば決して少ない数ではない。そのような人を集めて、ミニ都市化を図るとよい。 これを、生き残りのための、負け犬作戦と考えてはいけない。都市化すれば、住民は食べるために、仕事を外部から持って来る。独特な嗜好は、比類なき強みだから、発展の可能性を秘めている。世界から注目される発展地域になってもおかしくないのである。 こうしたポテンシャルを秘めている商店街は少なくないのだが、広域行政との対立が怖くて、独自に動こうとはしない。こればかりは、自ら動かない限り、道は拓けないのである。 過去記載の ・「小売業不振の元凶(1:人口問題)」へ (20030128) ・「小売業不振の元凶(2:都市化の影響)」へ (20030129) 「政治経済学」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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