表紙 目次 | ■■■ 分類の考え方 2014.9.3 ■■■ 桑科を整理してみた クワ科イチジク属を眺めてみたので、桑科全体を眺めてみたくなった。 → 「白色乳液を出す聖なる樹木」[2014.9.1] 素人的には、イチジク属[榕属]は以下のようにまとめてみたい。 【隠頭花序類】 ・無花果/大葉無花果系 → 「無花果の話」[2008.7.29] ・木蓮子蔓類 ・狗枇杷類 ・印度系聖木類 -印度ゴムの木,ベンジャミン,ガジュマル -菩提樹系,優曇華 その次は、なんといっても世界最大の果実を含む類をあげたくなる。言うまでもにが、すべて非日本産の植物である。 ただ、大きい実でも、植物学的には別種とされるものがあるのでそれは除かざるを得ない。中国名だと、類似の品種としてまとめたくなるが。 <アオイ目パンヤ科> ・アフリカバオバブ[猴麺包樹]/African Baobab 「麺包」という文字を見れば、誰でもが、「パンの木のことだネ。」となろう。皆、名前だけはよく知っているが、食べた人は滅多にいない。太平洋島嶼と東南アジア海洋性気候の樹木だから致し方ないが、関心の薄さが原因ではないか。 と言うのは、現物を見ても気付かない人が結構多いからである。大きい実だから、あればすぐに目につくが、馴染みが薄いので、ドリアンと思ってしまうのである。実際その通りのことが多いが。 ということで、この「麺包」系統を一つにまとめよう。 【大型果実類】 ・パンの木[麺包樹]/Breadfruitst tree 南洋の島嶼には必ず存在する樹木である。もちろん栽培種。 ただ、リゾートエリアで見かけるのは、こちらのことが多い。 ・長実パンの木[波羅蜜]/Jack fruit tree 形は瓜、皮は川天荔枝、身は黄色肉、味は新鮮なら水果で、香甜なので蜜甜に似る。 腰子の様で、炒めれば栗子の如しとか。 他にも色々。 ・-[白桂木]/"Kwai Muk"@華南 ・ラモンの木/Breadnut tree or ・Maya nut tree@中央アメリカ[マヤ文明] ・小パンの木/Small Jack fruit tree ・臭いパンの木[臭桑]/Monkey fruit tree or Lakoocha 遠からず、この系統の樹木は消えていく運命にあるかも。植物学者の紀行の話を読んでいると、南洋の生活はお気楽で、パンの木を植えていればのんびり生活を楽しめるというような記述が多いが、そういうものではなかろう。 小生は、「バナナ+タロイモ+パンノキ」が放置栽培農業であるとは見ていないからである。定地連作ではないから、それぞれの植え付ける場所の開墾と選定は極めて重要であるし、数ある品種から最適なものを選ぶことが、病虫害から守る決め手だった筈。熱帯植物には、アルカロイドが含まれていることが多いし、忌避させるための臭いも強かったりするから、食用にするにはそれなりの品種改良も必要で、総体で評価するなら、労働集約的農業と見ることもできるのである。決して楽な生活ではない。 それに、パンの木は調理が面倒という点も考慮すべきだろう。実を保存して一年中食べるためには、発酵させるしかないからだ。 ということで、次に移ろう。 中核である「桑」だが、その特徴はあくまでも実。Multiple Fruit 系(cluster of flowers)ということ。 【桑実類】 日本の栽培桑は3種から生まれているのだそうである。 ・真桑 or 唐桑[白桑]/White mulberry ・魯桑(浙江渡来栽培種) ・山桑 or 野桑[鷄桑]/Japanese mulberry 島桑@沖縄 もちろん用途は養蚕であるが、大陸には様々な在来種がありそう。 ・-[小桑樹]/Chinese mulberry ・-[吉隆桑]/Himalayan mulberry ・毛桑[華桑]、 蒙古桑[蒙桑]、-[雲南桑,川桑,・・・] 欧米はもっぱらベリー食。 → 「Berryの定義とは」[2014.3.30] ・黒実桑[黒桑]/Black mulberry@欧米系 ・赤実桑/Red mulberry@北米系 桑科には、これに加えておくべき群がある。 【樹皮を紙にする樹木類】 ・梶の木[構樹] → 「カミの木」[2012.9.12] ・姫楮 ・楮[コウゾ:前2種の交雑] 要するに、古代は上記は3種という訳でなく同一種と見ていたということだろう。使い易さと品質上からもっぱら楮になってしまった訳である。 <別な属としているが紙原料可能な樹木> ・針桑[柘樹]/Silkworm thorn 養蚕、紙原料、食用のいずれも「可」だが、中途半端だったようだ。日本は、渡来品種試行に吝かではないから、そこここに残存しているようだが、棘があるという特徴以外にとりたてて気になる点は無かった模様。 (C) 2014 RandDManagement.com |