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■■■ 日本の基底文化を考える [2018.8.26] ■■■
鳥崇拝時代のノスタルジー[47]
−風土記断片の鳥−

常陸、播磨、出雲以外の「風土記」とその他の残存断片文を見ておこう。

野鳥を捕獲しケージ飼いする仕事があったようだ。
南方の珍しい渡来鳥ということではなさそう。
【肥前國 養父】
《鳥樔郷》@鳥栖
昔者 輕嶋明宮御宇譽田天皇[応神天皇]之世 造鳥屋於此郷 取聚雜鳥養馴 貢上朝庭 因曰鳥屋郷 後人改曰鳥樔郷

張った網に引っかかったは上首尾だが、その数が多すぎて、網を持って行かれる話は【播磨國】託賀《大羅野》だけではないようだ。[→]も似たようなもの。
【攝津國】
《八十島》@大阪天神橋付近
昔、女、稚児を負て待人。其の間、羅[網]を持ち鳥捕獲を図る。鳥待つ間、河の鳥飛び羅にかかる。女人、鳥の力に耐えず、却って、引き返され没入して死亡。2人と78羽。
[存在疑問譚]《下樋山》
昔有大~ 云天津鰐 化為鷲而 下止此山・・・

地震と鳥の話は珍しい。自然現象観察とは思えないから、暗喩かも。
【伯耆國】
震動之時 鶏[ニワトリ(かけ)]雉[キジ(きぎし)] 悚懼即鳴 山鶏[ヤマドリ(やまどり)] 踰嶺谷 即樹羽踊也

【伊豫國 湯】
"可優遊"ということで、湯泉への行幸は気分良しなのであろう。
臨朝啼鳥而戲
  :
岡本天皇[舒明天皇]并皇后二𩪍 為一度 于時 於大殿戸 有杰椹[=椋]與臣木[=樅]
於其木 集止鵤[イカル]與此米鳥[シメ(ひめ)]
天皇為此鳥 枝繋穗等 養賜也

「萬葉集」では、斑鳩+比米との注記に登場する。アトリの類縁。[→]

【壹岐國】
[存在疑問譚]《新羅鳥》
新羅烏。麥蒔種時群飛。麥喰云々。
カササギは大陸の鳥である。ポピュラーなのに、日本にはいないのである。(九州北部や島嶼には渡来。)

(参照:ママ引用ではありません。) 秋本吉郎[校注]:「風土記」日本古典文学大系2 岩波書店 1958年

(参考)《壱岐国風土記産考》
鶴,白鶴,玄鶴,真名鶴,丹以鶴,鴫鷲,八幡,_鳩 (覚賀鳥),鷹,_,隼,_,鶺,鷸子,雀鶏(つみ),雀_,山_,_鴟,鳶,梟(さけ),鵲,鳩,鴿(いえばと),唐鳩,_,_,鵯,鵐杳,鶫鳥,_燕,鵙,_鳥,鷽,__鳥,鶉,雲雀,目白雀,燕(つばくらめ),連雀,黄雀,白雀,家雀,鶺鴒,鷦鷯,(みそつ鳥),_雁,鴛鴦,鴨,雉,鶴,白鷺,蒼鷺(あをさぎ),__(う),_(かはがらす),__,矮鶏,千鳥,翡翆,鵁_,家鴨,__,早雀,鶸,菱喰,鴫,山鴫,姥鴫,田鴫,磧雀(かはらすずめ)_鳥,鶏,黄鵠,__(かくめ),__
http://www.biodic.go.jp/reports/oldbird/ae017.html

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