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技術マネジメント論 [8] 2006年8月8日 |
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企業連合の時代…前々回と前回で、“基礎力”増強と“将来を目指して”動くための、技術的視点での課題をまとめてみた。→ 技術マネジメント論 [6] 「技術体系創出の時代」 (2006年8月3日) → 技術マネジメント論 [7] 「構想力の時代」 (2006年8月7日) こうした変化が、技術政策上でどのような違いとなって現れるだろうか。 外部の力をどう取り込むか、という点で考えてみよう。それぞれの時代、どのような意思決定が重要だったか整理してみると、大きな変化のうねりを感じる。 先ず、70年代を振りかえってみよう。 この頃は、技術導入が容易くできた。 従って、どの先進企業から、どんな条件でライセンシング・インすべきかが、最重要の意思決定だった。 妥当なコストでなければ、それこそ水呑百姓化はまぬがれないし、ロイヤリティのレベルが嬉しいということは劣位の技術を導入して苦しむことかも知れないからだ。そのため、選択に当たって、慎重な検討がなされた。 といっても、結局のところは、センスの問題でしかない。バスに乗り遅れるな式で、1社が動けば皆動くという時代だから、提携の意思決定は、経営幹部の直観力に頼るしかなかったというのが実情だろう。 もっとも、少数企業が技術を握って離さず、ライセンシングが進まない業界もあった。そんな場合、後発は、リーダー企業がどう動いているか、徹底した調査・分析しかない。 要するに、状況はどうあろうと、独自のアイデアでビジネスを切り拓くタイプは稀だった。先を進む人達の動きを見て、アイデアや技術開発の端緒を取り入れることが、技術マネジメントの根幹となっていたと言うことである。 これが、80年代に入ると変わり始める。 真似では、事業化が遅れてしまうため、勝てないからだ。先手を打つためのマネジメントに変わらざるを得なくなった。 と言っても、アイデアや技術のタネは人様に頼り、組織一丸となって全力で追いついて勝つパターンに慣れきった部隊に、号令をかけたからといって、変われるものではない。 ともかくメリハリをつけたマネジメントで行くしかなかったのである。戦略技術を的確に判断し、自社技術でいくか、他社技術にするか、すばやい意思決定でともかく先行グループに入ることを目指した訳だ。技術で先行していれば、よいアイデアもでる筈だから、負けることはあるまい、といった感じである。 ビジネスに必要な技術をすべて棚卸し、競争力に関係する技術や、自社にとって重要な技術を明確化し、細かな技術マネジメントを行う時代になったといえよう。 しかし、その程度のマネジメントでは、産業構造が揺らぐようになると、とても対処できない。 ビジネス全体の構造を考え、外部の力を大胆に取り込まないと、競争力が発揮できなくなってきたのである。戦略的なアウトソーシングを考える必要に迫られたのである。 自社が強い技術を活用するためには、柔軟に外部の力を利用せざるを得なくなったということでもある。 しかし、新しい産業を切り拓く必要に迫られると、自分本位な戦略の組み立て方で成功するとは限らなくなる。様々な企業と連合を組んで進むしかなくなる。 新しい産業の創出というビジョンを共有する企業連合を作るしかないのである。技術コンソーシアムはそんな流れの端緒的役割を果たす筈である。 「研究開発」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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