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■■■ 「古事記」解釈 [2021.8.21] ■■■
[232] 飛鳥清原大宮天皇讃漢詩読解【3】
引き続き序文の漢詩📖格調高き天武賛(漢文)解釈を続けよう。

曁飛鳥清原大宮。御大八洲天皇御世。
濳龍體元。
洊雷應期。
聞夢歌 而 想纂業。
投夜水 而 知承基。
  📖【1】
然 天時未臻 蟬蛻於南山 人事共給 虎步於東国  📖【2】

 …行軍賛歌。

皇輿忽駕。
凌渡山川。
六師雷震。
三軍電逝。


 <皇輿> ≒神輿
   人が担ぐ皇(子)の乗り物。
   物事の始めの暗喩的表現でもある。


 <忽>
   たちまち

 <凌渡>
   越え渡る
   駕は天子の乗り物だが、駕淩≒超越であり、それをを暗示。


 <六師>
   周天子所統六軍之師

 <雷震> ≒雷鳴
   動如雷震 [孫子兵法軍争篇]

 <三軍>
   諸候軍

 <電逝>
   閃電(光)つまり稲妻

 …敵軍殲滅。意気揚々。

杖矛擧威。
猛士烟起。
絳旗耀兵。
凶徒瓦解。
未移浹辰。
氣沴自清。


 <杖矛>
   杖は"持也"。 [説文] (名詞化⇒歩行用補助棒・呪術者の特殊棒)
   柄付き両刃刺突タイプの攻撃用武具
(矛/鉾/戈/鋒/戟)
    はレガリアあるいは呪器でもある。
   その存在は威勢を挙げることになる。


 <烟起>
   起烟(火燃起時冒烟)の倒置で
   猛士が引き起こすのだから、烟は火でなく土煙か。


 <絳旗>
   絳は染爲絳色(赤色化)ということだが
   天子を示す旗である。それが兵を輝かせた訳だ。


 <凶徒> ≒兇徒
   凶悪的暴徒

 <浹辰>
   浹はひとめぐり 辰は干支の総称
   つまり、短期
(12日間)を示すのだろう。

 <氣沴>
   妖気
   自ずから消えていったというのである。


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