「古事記」解釈[498](20220514)

■■■　「古事記」解釈 [2022.5.14]　■■■

[498]麻美身牟売米毛母

Ｍ行音(まみむめも)は両唇鼻音なので濁音化しない。漢語はどうか知らないが(現代対応漢語：媽麵無麼摸)、訓練がかなり必要な発声のようだ。
ヘンテコ早口言葉の存在でそう思うからだが。
　すもももももももものうちもももすももももものうち
　なまむぎなまごめなまたまごまめつぶみっつなたまめみっつ

「古事記」には"ん"音はないが、後世発生したこの撥音は、"む"の類縁であろう。学者に指摘してもらわなくとも、口を閉じてしか発音するしかないから自明である。

太安万侶流にこの行の音図を描くとすれば８文字となろう。 📖８母音図を想定していたかも 📖安万侶五十音図もあり得よう
　　麻　美　身　牟　売/賣　米　毛　母

こんな風に考えてみただけ。・・・
マ＿【麻】≪間≫≪万/萬≫（摩）（真）（馬）
　　[呉音]メ[漢音]バ[慣用音]マ[訓]あさお
　　…高天原の読みは、ア重複するので、アマ頭音は消すことになっているようだ。
　　…目弱王や面黥はマ音らしい。
ミ甲【美】≪御・皇≫≪三 & 参≫ 　[訓:見　水　瞻　満]（弥）
　　[呉音]ミ[漢音]ビ[訓]うつく-しい　よ-い　うま-い　い-し
　　…御・皇の使用数は多いが"御名・皇子"と云った用法で単純音素表記には向かない。
　　…"噛み/賀美"という用例からみて太安万侶一押しの音素文字だろう。
　　…海・網の頭音省略読みがある。
ミ乙【身】（微）　[訓:実][実の転用:子]（味）
　　[呉音/漢音]シン[訓]み
　　…身は訓も兼ねるが、よもや誤用なしということか。
　　…微は意味訓として、実の転用的用法もある。
　　…神の頭音省略読みがある。
ム＿【牟】≪将≫≪六 & 陸≫≪无/無≫（欲）（產/産）（武）
　　[呉音]ム[漢音]ボウ[訓]むさぼる
　　📖[安万侶文法]素晴らしきかな"ム"
　　…文法用語としての使用との混同はなかろということ。
メ甲【売/賣】[代替文字：女　妻][類似:牝　(咩)]　[訓:喚　召]
　　[呉音]メ[漢音]バイ[唐音]マイ[訓]う-る　う-れる　うる　め　うり
メ乙【米】[訓:目/眼]
　　[呉音]マイ[漢音]べイ[慣用音]メ[訓]こめ　よね　(メートル)
　　…阿米能迦具夜麻/天香久山
　　…目は訓だが南方系訓の"ま"との峻別が難しい。
モ甲【毛】
　　[呉音]モウ[漢音]ボウ[慣用音]モ[訓]け
　　…御毛沼命の霊があるが、ケは氣/気である。
　　…出"雲"　伊呂"妹"のように2音の頭省略が存在する。
モ乙【母】裳　喪
　　[呉音]ム　モ[漢音]ボウ[慣用音]ボ[訓]はは/はわ　あも/おも　かか/かあ
　　…{木}は除外した。(風木かざも津別之忍男神　木丘開もくさく道乎[巻二#185])
　　…四方・八面的な表記も入れるべきかもしれない。

[参考:漢数字３] 三嶋　三野　三宅　三尾　三川　墨江之三前大神　伊都久三前大神　三重　此三柱綿津見神者