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■■■ 「古事記」解釈 [2022.6.25] ■■■
[540]「古事記」に緑色無し
日本の代表的色の漢字はこんなところ。・・・
  <あか v.s. くろ><あお v.s. しろ
  <黄>
  【紅・紫・緑】(紺) "藍"
  茶 橙 褐/棕 金 銀 朱
 📖色彩@漢語 📖日本の色彩感覚は全く違っていたのではないか…
糸偏文字は染衣の色ではないかと思うが、緑は該当しないようにも思える。
ちなみに、糸を部首とする文字は以下のようになっている。

≪糸≫ 📖糸部@漢語
  【現代用語】
糸紀約紅納素紡紫累細終組経結絞給絶継緩続綱網綿総縁緒縄縫繁織
系糾紋純紙索級紛紳紹
絡統絵絹維緊線締編緯練縛縦縮績繊繕繭繰
  【古事記用語】
糸紀約納素紡累細終組経結絞給絶継緩続綱網綿総縁緒縄縫繁織
<纏><縵><紐><繋><縢><絃><綾><繞><纔>

📖安万侶版倭語表記用当用漢字集
  【国字】 ウン おどし 纃/緕/かすり コウ
ご覧の通り、「古事記」には<みどり>の文字は無い。「萬葉集」では文字が用いられているが、色彩の「みどり」という言葉が登場するのは平安時代になってからとされているようだ。
  [巻十#1847]淺緑 染懸有跡
  [巻十#2177]春者毛要 夏者緑丹 紅之 綵色尓所見 秋山可聞
  [巻十三#3237]緑丹吉[あをによし]
  [巻二#213]緑兒之  [巻三#481]緑兒乃 
    [巻十二#2925]緑兒之  [巻十三#3791]緑子之
  [巻十三#3284]妹尓緑而者[妹によりては]  [巻十六#3318]緑流白珠[寄する白玉]  
     …縁と違うか?
「古事記」成立頃、色彩感覚として、その色感覚が無かった訳がないだろうから、翠鳥の色とされていたとみるのが自然だろう。
[歌6]射干玉の 黒き御衣を 真具さに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此れは相応はず 辺つ波磯に 脱ぎ棄て 鴗鳥の 青き御衣を 真具さに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此も相応はず 辺つ波磯に 脱ぎ棄て 山県に蒔きし あたね突き 染め木が汁に 染め衣を 真具さに 取り装ひ 沖つ鳥 胸見る時 はたたぎも 此し宜し 愛子やの 妹の命 群鳥の 吾が群往なば 引け鳥の 吾が引け往なば 泣かじとは 汝は言ふとも 倭の 一本薄 頂傾し 汝が泣かさまく 朝雨野霧に立たむぞ

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