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■■■ 「古事記」解釈 [2022.9.6] ■■■
[613]「古事記」地名譚のメッセージ性
各国風土記には、命に忠実なだけあって、地名由来譚だらけ。各国毎にその政治的な意味あいを考えながら取捨選択して編纂していることになろう。ただ、伝承譚無しの創作は流石に難しいだろうから、結構参考になることは間違いなさそう。
しかし、「古事記」の場合は地名譚が不可欠という訳ではない。従って、収録意義は自ずと異なってくるが、それを読み取るのは簡単ではなさそう。
一覧に整理する程度なら簡単でも、その先は骨が折れる。📖「古事記」収録地名譚は面白い

ただ、全体を眺めることは、それだけでも結構役に立つ。これを踏まえているからこそ、<美母呂>⇒<美和>について📖美母呂山の神について書けるのであるから。

何といっても特筆ものは、上巻では、出雲のスガのみという点。書こうと思えば地名譚はいくらでもある筈だが、「古事記」収載の意味がなかったことになる。
だからこそ、<美母呂>こと、御諸の由縁も記載しなかったと考えてよいだろう。

一方、中巻はハイライトたるべき箇所での地名譚がズラリと並ぶ。大和への進出と倭健命の東進攻に係る苦闘譚の記憶を消し去るなどもっての他と云うことか。
もう一つ地名譚として重視されているのが、男女の恋愛感情から派生したお話。
それは、<美和>・<佐韋河>から始まるが、圓野比賣譚の場合も含め、注意すべきはこれらの由来話は朝廷で生まれたものとは言いかねる点。なんらかの目的意識なくしては、これらのお話をわざわざ収録する必要はない訳で、それこそが太安万侶・稗田阿礼のメッセージであろう。

これが下巻になると、個別性が高い話になってしまうから、時代感覚が出ていて面白い。
地名譚にしたくなるほどにインパクトの強い自我が発揮されているとして記載されているように映るからだ。

◆他㉓
志米須@"必自跛也 故能見志米岐 其老所在"…袁祁之石巢別命
◆求婚㉑
金鉏岡@[歌99]…天皇
    袁杼比賣に求婚:少女の い隠るを 金鋤も 五百箇もがも 鋤き撥(ば)るもの
◆他㉑
阿岐豆野@"𧉫咋御腕 即蜻蛉來咋其𧉫而飛"…天皇
◆他⑰ 📖遠近飛鳥地名譚に注目したい
遠飛鳥@"明日參出 將拜神宮"…伊呂弟 水齒別命
近飛鳥@"明日上幸"…伊呂弟 水齒別命
◆嫉妬⑯
御津前@"載其御船之御綱柏者 悉投棄於海"…大后 石之日賣命
---㊦↑↓㊥---
◆戦⑮
訶和羅前@"鉤探其沈處者 繋其衣中甲 而 訶和羅鳴"…大山守命
◆他⑭
血浦=都奴賀@"其入鹿魚之鼻血臰"…伊奢沙和氣大~之命
(筑紫國)宇美@"其御子生地"…皇子/大后息長帶日賣命御子(15代天皇)
◆戦⑫
三重@"吾足如三重勾而甚疲"…倭健命
杖衝坂@"因甚疲衝御杖 稍歩"…倭健命
當藝@"今吾足不得歩 成當藝斯玖"…倭健命
居寤清水@"到玉倉部之清泉以息坐之時 御心稍寤"…倭健命
阿豆麻@"三歎 詔云:阿豆麻波夜"…倭健命
燒津@"即著火燒"…倭健命
◆婚⑪
堕国=弟國@"遂墮峻淵 而 死"…圓野比賣
懸木=山代國之相楽@"取懸樹枝 而 欲死"…圓野比賣
◆他⑪
和那美水門@"於和那美之水門張網 取其鳥 而 持上獻"…山邊之大鶙
◆戦⑩
相津@"往遇于相津"…[父]大毘古命+建沼河別
波布理曾能@"斬波布理其軍士"…大毘古命軍
鵜河@"如鵜浮於河"…建波邇安王軍
屎褌@"屎出懸於褌"…建波邇安王軍
伊杼美=伊豆美@"各中挾河 而 對立相挑"…大毘古命+日子國夫玖命 v.s. 建波邇安王
◆婚⑩
美和@"其麻之三勾遺"…活玉依毘賣
◆婚①
佐韋河@"其河邊山由理草多在"…n.a.@伊須氣余理比賣命之家 (山由理草之本名云佐韋)
◆戦①
宇陀之血原@"即控出斬散"…道臣命&大久米命
男水門@"男建而崩"…五瀬命
血沼海@"洗其御手之血"…五瀬命
楯津=日下之蓼津@"取所入御船之楯而下立"…即位前の天皇
---㊥↑↓㊤---
◆婚㊤
須賀@"我御心須賀須賀斯"…速須佐之男命

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