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■■■ 「古事記」解釈 [2022.9.26] ■■■
[633][付録]ワ音文字について
&ワ音文字についてはすでに触れて来た。 📖安万侶文法]"わ"は和 📖倭人の国の表記方法考
  -W-・・・1種
(和の旁省画)(〃) [萬] @呉音

もう一歩進んで考えたことを書いておきたくなった。

と云うのは、「古事記」には<日本>も<大和>も登場してこないから。
前者は、「古事記」編纂勅の天武天皇が創めたと推定しているが、これは素人考えかもしれぬので、なんとも言えないというのが現状。一方、後者は、「古事記」成立時の今上天皇が全国に国名好字化を命じた時、正式に都が置かれている一地方名として使われるようになったことが知られている。
他の国名としては、<倭国>があがる。中華帝国との外交についてはなにも語っていないので、奈良盆地の統治区分地名用語として用いられているだけに過ぎない。國名は、あくまでも<豊葦原之千秋長五百秋之水穂国>。

太安万侶の漢字感覚では、おそらく、水穂国⇒倭⇒和との変遷にそれほどの違和感はなかったのではあるまいか。
倭とは、粟の象形である禾@「説文解字」と、女系の女に、人から構成される文字であり、豊葦原之千秋長五百秋之水穂国で女王を擁くとなれば、委國とされるのは道理である訳で。ただ、中華帝国辺境の地である上に、呉と関係していそうな出自から見て、倭が最適とされておかしくないからだ。
<ワ>
【部首:人】[呉音]倭   ≠委@漢委奴国王印
             [正訓]ヤマト
【部首:禾】[呉音]…非使用
【部首:口】[正音]和/咊(/龢)
             [正訓]ヤマト ⇒大和
             [借訓]山跡ヤマト
「古事記」歌の4割程度で<和>を見かけるが、<倭>の用例はなさそう。音読みのは避けたいのかも。

<わ>の他の読み文字としては、鰐は和邇であり、天皇との婚姻関係が深い氏族名は丸邇臣として峻別している。「古事記」はここでは、<丸>にこだわり、<和>は使わないようにしているようだ。それに何の意味があるのかはわからぬが。
<ワ>
[略音]丸    (≒環 鐶…非使用)
[正訓]…非使用
[義訓]囘 𢌞   (≒轉…非使用)
[助数詞訓]-羽
[あ⇒わ(れ)][正訓]吾 己 (≒我)
[呉・漢音]渦 萵 禍 窩
{漢音}蛙 哇 娃 窪
{慣用音}
もちろん「萬葉集」は三輪みわ山だが、「古事記」はその流れには乗らない。📖美母呂山の神について
[巻一#17]三輪乃山
[巻一#18]三輪乃乎
[巻二#157]神山之
[巻二#202]神社尓三輪須恵(神社に三輪据ゑ)
[巻三#265]神之埼
[巻四#712]三輪之祝我
[巻七#1095]三輪山見者
[巻七#1118]弥和乃桧原尓
[巻七#1119]三和之桧原者
[巻七#1226]神前
[巻七#1403]神之祝我
[巻八#1517]三輪乃祝之
[巻九#1684]三和山者
[巻十#2222]三和河之
[巻十二#3014]神山之
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[巻九#1807]満有面輪二(足れる面わに)
[巻十九#4192]面輪乃宇知尓(面輪のうちに)

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