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■■■ 「古事記」解釈 [2023.7.8] ■■■
[740] 太安万侶:「漢倭辞典」
非常にマイナーな扱いの「古事記」仮名に触れておきたい。📖
(之の変形)(〃) [萬]…志
子 斯 為 師 紫 新   科 令 士 色 所 史 始
  [+萬]…之水四司詞思偲信歌詩旨次此死事准礒 僧為使石知指令時足磯至資賜祗巳氏寺柿姿寒殺在刺屍支私糸紙歯式慈侍示清矢有試貲嗤肆屣

1用例しかない。・・・
≪芝≫1(1)…芝賀波能(其が花の)📖

他の文字があるのに、なにもわざわざこの漢字を用いる必要性は無いと思うが、どうしても記載したかったのだろう。(草木の歌であるから、気分を盛り上げたいと云うことはあろうが。)

「千字文」に含まれている文字でもないから、どこかで使っておきたい文字ということでもない。なんらかのメッセージ性があると考えるしかなさそう。

文字自体は[艸+之]であり、現代の意味では草本のシバを指す。ただ、悩ましいのは、中国語ではシバは結縷草とされている点。<芝>には草の意味は無いのである。俗に謂う霊芝を指す。📖耳(茸)と菌類@「酉陽雑俎」

音が同じで草らしき文字に見え、霊芝が何たるかにには興味がなかったので、シバの当て字に登用したと見える。単なる"音"表記文字としてしか使い道がなかったからだろう。

要するに、<[音]シ-[訓]しば>と勝手に決めたことになる。おそらく、<柴[=木+此]>との組み合わせと思われる。葉が絡みあうような状態という意味での、"シ"と呼ぶ草本と木本ということになろう。

高温多湿気候に適合している在来種のシバは現代では野芝と呼ばれるが、基本冬は枯れるのでそれほど多用されている訳ではないが、アスファルト道路際では珍しくも無く強靭な葉なこともあって、たいていは雑草と呼ばれ踏みつけられている。太安万侶が庭で養生していたとは思えないが、ところどころに生えていたことは間違いない。
しかし、野では繁殖地がそこここ存在したであろう。薄原が多かったのだから、有用ということで刈り取ってしまえば芝の天下になること必定だからだ。

余計なことを書いたが、要するに、シバは馴染み深い植物ということ。
従って、<芝>の文字使用については気がかりなので、どこかで<シ>仮名として使っておこうということではなかろうか。

尚、木本のシバ文字の方は、それなりの用例。但し、訓読みは割注で<訓柴云布斯>とされているので、シバではなくフシ。
≪柴≫6…於青柴(布斯)垣打成而隱也 柴野入杵 柴野比賣 多治比之柴垣宮 倉椅柴垣宮

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