→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.8.24] ■■■ [785] 太安万侶:「漢倭辞典」i v.s. a 「古事記」が長期にわたって読解不能とされていたのは、太安万侶の頭に入っている辞書がわからなかったからと考えたからに過ぎない。もちろんこの状態は現時点でも続いている。しかも、唯一の同時代性文献は漢文しかないが、内容に似たところがあるので便利ということでで飛びついて、安直にそれと同様と見なすからますなすわからなくなる。 ・・・と、素人が書いたところでほとんど何の意味もないが、文字をどう読むか、読みをどう文字表記するかは一筋縄ではいかないことだけは明白。 実例で一目瞭然。 ≪生≫229 [呉音(前唐代語)] ㋛ショウ/シャウ [漢音(唐代語)] ㋝セイ [禅語(唐音/後唐代の宋代語)] ㋚サン [訓] 🅐あ-る <−> 🅘い-く い-きる い-かす い-ける <いき[いく連用形]> 🅤う-む う-まれる うま-れる <うぶ> <うまれ[うまれる連用形]> 🅞お-う おや-す お-える <−> 🅗は-ゆ は-える は-やす <ふ> [おう(おふ)の語幹脱落だろうか。] 🅚− <き> [いきの1拍目脱落だろうか。] 🅜む-す <−> 🅝な-る な-す <なま> ㊔ぶ@ 活用語尾にしても< 動詞活用について追ってきたが、上記の何が古くて、変遷過程はどうなるかなど考えること自体が、ヒトの頭脳キャパシティをはるかに超えている。ちなみに[母音]動詞<語頭[母音]音の1拍語幹><活用語尾[母音]音系>📖ではこうなっている。 -----【四段正格活用】__a __i __u __u __e __e (以下非該当扱い) -----【上二段正格活用】__i __i __u uru ure iyo -----【下二段正格活用】__e __e __u uru ure eyo (以下非該当扱い) なにげなく、動詞を俯瞰的に眺めていると、上記の様なゴチャゴチャ感が味わえる訳だが、同時に、倭語の基本は動詞表現であることが実感できるようになる。そもそも、「古事記」では、固有名詞は多いが、一般名詞は極めて限定的。おそらく、他の言語とは相当な違いがあるのではなかろうか。要するに、動詞の名詞化用法を多用することで、特別な用語を用いない会話が多かったということだろう。 そんな観点で振り返ってみると、動詞の扱いには、様々なルールが存在していそうなことも見えてくる。 例えば、 ≪枯≫__6 [呉音] ㋗ク [漢音] ㋙コ [訓] 🅚か-る か-れる か-らす <かれ[かる連用形]> -----【下二段正格活用】__e __e __u uru ure eyo [「古事記」用例] 白檮之前葉廣熊白檮 令宇氣比枯 亦 令宇氣比生 是以其兄 八年之間 于萎病枯 枯樹 青山如枯山泣枯 時號其船謂枯野 ⇒[歌]加良怒袁📖 [「萬葉集」用例]…動詞あるいは仮名。 露枯(露にぞ枯るる)[#2095] 置哉枯(置きや枯らさむ)[#2099] 山者枯為礼(山は枯れすれ)[#3852] 吾勢枯波(わが背子は)[#5] 言うまでもないが、 ≪惡/悪≫__9 [呉音] ㋐アク or ウ [漢音] ㋾アク or ヲ [訓] 🅦わる-い <わる[語幹]> 🅝にく-む 🅘いずく-んぞ 🅐あ-し -----【活用】非該当 [「古事記」用例] 此鳥者 其鳴音甚惡 是者惡 其富登云事 後改名者也 惡作玉人等 悪事 惡~ 惡態 惡人 なんとなく通り過ぎるだけだった、 ≪荒≫_17 [呉漢音] ㋗クヮゥ(⇒コ) [訓] 🅐あ-る あ-れる あ-らすあら-い <あれ[ある連用形]> 🅢すさ-む -----【下二段正格活用】__e __e __u uru ure eyo -----【四段正格活用】__a __i __u __u __e __e (以下非該当扱い) [「古事記」用例] 故 以爲於此國道速振荒振國~等之多在 言趣和其國之荒振~等之者也 更起荒心迫來 熊野山之荒~ 荒~甚多 如此言向平和荒"夫琉"~ 平東西之荒~ 惶其御子之建荒之情 言向和平東方十二道之荒"夫琉"~ 悉言向和平山河荒~及不伏人 悉言向荒"夫琉"蝦夷等 亦平和山河荒~等 墨江大~之荒御魂 木國造 名 荒河"刀辨" 木之荒田郎女 物部荒甲之大連 [序文漢文]八荒 [「萬葉集」用例]…読みは2つに分かれる。 ---a--- 荒野者雖有(あらのにはあれど)[#47] 燎流荒野尓//燎流荒野尓(もゆるあらのに)[#210/#213] 夷之荒野尓(ひなのあらのに)[#227] 荒野等丹(あらのらに)[#929] ⇒須我能安良能尓(すがのあらのに)[#3352] 荒山中尓(あらやまなかに)[#241/1806] 荒山毛(あらやまも)[#3305] 荒妙乃/麁妙乃/荒栲(あらたへの)[#50/159/#52/#252] 荒床(あらとこに)[#220] 荒浪尓(あらなみに)[#226] _ ⇒阿良久佐太知奴(荒草立ちぬ)[#3447] 荒垣之(あらかきの)#2562] ⇒安良我伎麻由美(荒垣ま斎み)[#3561] 荒人神(あらひとがみ)[#1021] ---i--- 荒其路(荒しその道)[#381] 荒嶋廻乎(荒き島廻を)[#42] 荒山道乎(荒き山道を)[#45] 荒礒乃上尓(ありそのうへに)[#131/138] 荒礒尓曽(ありそにぞ)[#135] 嶋之荒礒乎(しまのありそを)[#181] 荒礒面尓(ありそもに)[#220] 来依荒礒乎(きよるありそを)[#222] 荒礒尓生(ありそにおふる)[#363] ⇒荒石毛不所見(荒磯も見えず)[#1226] 在衣辺(ありそへに:荒礒辺に)[#5] 安里蘇[#3562/3959/3985/3986/3991] 安利蘇[#4049/3993] 荒浪(荒き波)[#1021] ≪群≫__3(__3) [呉音] ㋗グン [漢音] ㋗クン [訓] 🅜む-る む-れる むら-がる <むれ[むる連用形]><むら> ㊔ぐり@ -----【下二段正格活用】__e __e __u uru ure eyo [「古事記」用例] ⇒[歌]牟良登理能(群鳥の)📖 平群都久宿禰者 平群臣(x2) [序文漢文]二靈爲群品之祖 [「萬葉集」用例] 群鳥之[#1785/3291] 群鳥乃[#4398] ⇒村鳥乃/無良等理能/武良等里乃(群鳥の)[#6/#4008/#4474] 村山有等(群山あれど)[#2] 一村芽子乎(一群萩を)[#1565] 牟浪他麻乃(群玉の)[#4390] 武良奈倍尓(むら苗に)[#3418] 村肝乃[#5/720/3811] 村肝[#2092] (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |