→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2024.3.14] ■■■ 🔰[840]読み方[13] 地母神の遺体から穀類が生まれるというモチーフ(ハイヌウェレ型神話)は有名で、「古事記」では、殺<大宜津比賣~>譚が該当する。📖死体からの誕生話 しかし、違うと見たければその見方も通用しそう。 ・・・と云うのは、このモチーフは、神生みの<伊邪那美~>や火神の<迦具土~>の遺骸から神が生じる話のパターンと見れないこともないから。 もちろん、生まれるのは雷系のおどろおどろしい神であって、穀類等の有り難きものではないから印象は大きくことなるが、<大宜津比賣~>とは食物神であるから、それぞれの担当する領域を考えると、いずれもその神が死んでしまってコントロールが効かなくなり、ナマの形で表出して来ただけと考えることもできる。 威力のある神からは、もともと祟られることが多いが、御祈祷が上手くいけば"ご利益"多しになるというのが、倭の観念。それに合致しているから、この見方はそうおかしなものでもないかも。 この流れで読むなら、伊邪那岐命や速須佐之男命は怒りを覚えて殺神に踏み切るが、それは同時に、「火」と「農」の世界の神の凋落を意味しているということになろう。「蛇神」信仰もばっさりと切られた訳だし。 ≪上巻の殺/死用例≫ ーーー伊邪那岐命・伊邪那美命ーーー ○故<伊邪那美~>者因生火~遂~避坐也・・・//・・・ 入見之時 宇士多加禮許呂呂岐弖 於頭者大雷居・・・ ○於是伊邪那岐命拔所御佩之十拳劒 斬其子<迦具土~>之頸 所殺迦具土~之於頭所成~名・・・ ○(「愛我那勢命 爲如此者 汝國之<人草> 一日絞殺千頭」 一日必千人死) ーーー速須佐之男命ーーー ○<天服織女>見驚 而 於梭衝陰上而死 − ○速須佐之男命拔其所御佩之十拳劒 切散其<蛇>者 在都牟刈之大刀 ○速須佐之男命立伺其態爲穢汚而奉進 乃殺其<大宜津比賣~> 乃殺其大宜津比賣~ 故 所殺~於身生物者 ーーー大國主~ーーー ○故爾八十~怒 欲殺<大穴牟遲~>・・・「・・・必將殺汝」 於其石所燒著而死 打離其氷目矢而 拷殺也 ○(其父大~者 思已死訖 出立其野) ○「此鳥者 其鳴音甚惡 故 可射殺」・・・射殺其<雉> ○中<天若日子>寢朝床之高胸坂以死 ○(「我子者不死有祁理」「我君者不死坐祁理」「我者愛友故弔來耳 何吾比穢死人」) ○(將殺時 建御名方~白「恐 莫殺・・・) 【参考】 📖本文のプレ道教性[10]「死」の2面性 📖死の概念の変遷 📖プレ道教の不死実現信仰はかなり特異 (C) 2024 RandDManagement.com →HOME |