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■■■ 「古事記」解釈 [2024.6.1] ■■■
[906] 27
「古事記」の駄洒落について考えてみようという人は、現代人では滅多にいないと思うが、古代は違っていたのでは。上手な冗談を言える能力の有無は極めて重要だった可能性もありそうな気がする。

「古事記」地名由来譚の捉え方はかなり難しそうで、この見方もそうそう外れていないと思うのだが。
📖「古事記」収録地名譚は面白い 📖「古事記」地名譚のメッセージ性 📖歌と地名譚
㊔①須賀 ②楯津 ③血沼海 ④男水門 ⑤宇陀之血原 ⑥佐葦河 ⑦美和 ⑧伊杼美 ⑨屎褌 ⑩鵜河 ⑪波布理曽能 ⑫相津 ⑬和那美水門 ⑭懸木 ⑮堕国 ⑯燒遺 ⑰阿豆麻 ⑱居寤清水 ⑲當藝 ⑳杖衝坂 ㉑三重 ㉒宇美 ㉓血浦 ㉔訶和羅前 ㉕御津前 ;㉖近飛鳥 ㉗遠飛鳥 ㉘金鉏岡 ㉙志米須

常識的には、もともと通用していた地名に、お話を被せただけだろうが、その目的がなんとなく想定されるならわかるものの、まるっきりの駄洒落を収載する意味がどこにあるのだろう、と考えさせられるから。
  明日上幸 故 號其地謂近飛鳥 也
  明日參出 将 拜~宮 故 號其地謂遠飛鳥 也


「萬葉集」巻十六も、この手のセンスの歌(伝説歌 戯笑歌)を一括収載しており、小生の様な素人からすれば、これこそ倭語の特徴ではなかろうか、となる。
語り言葉の言語である以上、文字言語と違って同音異義の区別は極めて難しく、相対会話であっても誤解はしばしば発生していた筈。そこでトゲトゲしてもつまらない訳で、笑って間違いを認め合う習慣が生まれて当たり前。
それを一歩進めれば、駄洒落の世界が開けてくることになろう。

漢字による文字化を進めれば、このセンスを逆撫ですることになってしまう。しかし、それも又楽しからずや、と考えることもできそう。

(漢語とは、文字在りきの言語。
発祥文字は象形か形而上の意味を伝える記号。"意味"上では必ず一意性が保たれる。当然ながら、語り言葉としての"発音"も当該王朝内では原則一意性が要求される。しかし、帝国内に広げれば、強制的に文字はママ通用するものの、"発音"の一意性が保たれる訳ではない。---これでは、倭国で音表記用に漢字を導入しても、"発音"での一意性の保ちようがないから、朝廷が、中華帝国の1王朝指定帝代の発音を選定し、強制的標準化するしかなかろう。と言っても、倭語の音自体が確定している訳ではないから、どう文字表記するかは人それぞれ。とても一筋縄にはいかない。
一方、漢字の意味が一意的であっても、直接移入語以外は、同一の倭語がある筈はなく、必ず混線模様になる訳で、そこをザックリと翻訳してしまうしかない。どうしても多義化することになり、対応する倭語との一対一対応の実現は困難と言わざるをえない。
これでは駄洒落にもなるまい。
しかし、文字化は駄洒落化とたいして変わらぬと言えないこともない。)



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