→INDEX

■■■ 「古事記」解釈 [2022.1.2] ■■■
[歌鑑賞91]日下辺の此方の山と
【天皇】皇后との結婚
久佐加辨能くさかへの  許知能夜麻登こちのやまと 多多美許母たたみこも 幣具理能夜麻能へくりのやまの 許知碁知能こちごちの 夜麻能賀比爾やまのかひに 多知邪加由流たちさかゆる 波毘呂久麻加斯はひろくまかし 母登爾波もとには 伊久美陀氣淤斐いくみたけをひ 須惠幣爾波すゑへには 多斯美陀氣淤斐たしみたけをひ 伊久美陀氣いくみたけ 伊久美波泥受いくみはねず 多斯美陀氣たしみたけ 多斯爾波韋泥受たしにはゐねず 能知母久美泥牟のちもくみねむ 曾能淤母比豆麻そのをもひづま 阿波禮あはれ
⑲(5-6)-(5-7)-(5-6)-(6-7)-(4-7)-(5-7)-(5-6)-(5-7)-7-7-3

    是以 還上坐於宮之時
    行立 其山之坂上
    歌曰

日下辺の  日下辺の
此方の山と  この山と
畳薦  (真菰の敷物を畳み重ねたような地である)
平群の山の  平群(@生駒)の山の
此方ごちの  あちらこちら
山の峡に  山の狭間に
立ち栄ゆる  立ち繁茂している
葉広熊樫  広葉の熊樫
本には  (その木の)根本の方には
い組み竹生ひ   "い組み(絡みあって密集)竹"が生え
末方には  (その木の)枝の先の方には
た繁竹生ひ  "た繁み(繁茂)竹"が生えている
い組み竹  その"い組み竹"(の様に)
い組み宿ず  部屋に宿って共に寝ることはできず
た繁竹  その"た繁み竹"(の様に)
確には率宿ず  確かに 連れて宿って 共に寝ることはできず(に宮に帰るが)
後も組み宿む  (しかしながら)後で宿って共寝することにしよう
其の思ひ妻  (吾が)心から恋している妻よ
憐れ  なんと言ったらよいか

天皇は、日下の直越の道を通る際、 「山の上に登りて国の内を望めば」と河内を臨んだが、目にしたのは天皇の御舎とほぼ同じ堅魚を上げた舎屋を作れる志幾の大県主の家。立腹したものの白犬を献上されたこともあり赦す。
 📖白犬の魅力には勝てず
そして、この歌は、その白犬を使った妻問いの帰りの御製。
今度は「其の山の坂の上に行き立ちて」河内を臨む。
再度の国見ということになろう。

そこは、栄えた地であったようで、この国見さえできれば、すでに婚約した娘子を娶ることになっているから、この地の統治儀式がつつがなく完了したことになる。
日下部と平群の山の間に生える葉広熊樫とは、この一帯の繁栄の象徴と思われる。
ついに長年の懸案だった地域を押さえたのである。

一方、<竹>だが、特別な想いがあるのだろうか。 📖竹具は海人が伝えたのだろうか 📖かぐや姫ビジネスの元ネタ

小生の感覚からすると、音遊びの作歌という気にさせられる。
    〜には いくみ たけ をひ
    〜には たしみ たけ をひ
  いくみたけ いくみ は  ねず
  たしみたけ たしに は ゐねず


 (C) 2023 RandDManagement.com  →HOME