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【古都散策方法 京都-その2】 哲学の道・吉田山・黒谷を歩く
〜 散歩は京都。洛東はさらなり。 〜
京都散策話の最初は、平安京北東部の山から平安京を眺めて古代の感覚に浸るというものだった。それに引き続く第2回は、散策三昧といこうか。
古都での、精神性を研ぎ澄ますための散歩ということ。
その場合重要なのは、時間を贅沢に使うこと。仕事の都合があるから、空いた時間でタクシーとばして一寸拝観などというのではなく、自然と環境に溶け込むという姿勢で行きたい。全面的に徒歩ということになる。
要するに、ガイドブックや地図を手に持たずに、気の向くまま、時間に縛られず、のんびり歩いて過ごそうという企画。当然ながら、細かな計画は立てないし、効率的に回ろうとの発想は皆無。住人でもないのに、そんな散歩を楽しめるのが京都のよさでもあろう。
従って、落ち着く佇まいのカフェ・茶処での、くつろぎの一時も大切にする必要がある。
そのかわり、仏像やお庭の拝観はできる限り避けることになる。そんな所は、どうせ、人で混み合うだけだし。
と言っても、観光地。そう簡単なことではないが、無理でもない。京都だからこその散歩コースがあるからだ。
前回の山崇拝の話ではないが、東山の山麓には最適な道が揃っているのである。そう言えばご想像がつくと思うが、先ずは、定番の「南禅寺+哲学の道(疎水道)」。なんだ、当たり前の観光コースではないかと言われそうだが、こればかりはいたしかたあるまい。
しかし、それで終わりというのでは、ほとんど散歩にならない。「吉田山」と「黒谷」を付け加え、初めて引き立つのである。哲学の道は、このための前菜のようなものである。と言うのは、疎水沿いとは違い、この両者は“山”だからだ。もちろん、高さからすれば、低い丘に過ぎないが、それは現代の感覚。平安京の時代感覚では、鴨川を越えれば都の外であり、これらは立派な東山。
山での散策を楽しもうということ。ここが肝。
それに、哲学の道とは違い、こちらは観光客は少ない。散歩にはうってつけ。
コースの全体観は地図無しでは説明が難しいので、下に概念図を示した。蹴上駅が出発点。東山山麓を歩き、今出川通で移動し、吉田山と黒谷を散策し、丸太通に出て、神宮丸太駅が終点。ピンクの小さな丸で示したお店が途中のお休み好適地。
尚、東山駅が入っているのは、時間が許せば、古川町商店街もお立ち寄りになったら如何というだけのこと。末尾に簡単にご説明しておいた。
〜 蹴上辺りの散歩は最小限に留めよう。 〜
さて、出発地点の蹴上だが、観光的には「インクライン(川船用ケーブルカー鉄路)跡」とそれに連なる「南禅寺船溜まり」で有名。そして、訪れるべき場所は「無鄰庵(山形有朋の別荘)」とされているようだ。
それはそうかも知れぬが、のんびり散歩したいという意味では、たいして意味のある場所ではなかろう。
無鄰庵にしても、庭の手入れの状況が今一歩の時があったし、騒がしい訪問者がいたりするかも。そうなると興醒め。当たり外れがあるのがわかっているのだから、わざわざ入る必要はなかろう。
→「岡崎疎水界隈の庭とは何か」 (2006.7.11)
そうそう、人によっては、京都に来たのだから、「瓢亭」となるかも。夏なら“朝がゆ”、冬なら昼の“鶉がゆだが、遠慮しておこう。又、庭を見ながらというなら、、湯豆腐料庭「八千代」もあるが、気楽に時間を潰そうという趣旨とは合わないから検討対象外。
尚、早朝散歩なら、都ホテルのコーヒーショップ(レストラン)が7時前から利用できる筈。このホテルに泊らなくなって久しいから間違っているかも知れぬが。
ちなみに、桜の季節だと、インクラインの並木と「日向大神宮」が“凄い”らしい。もっとも、京都は、至るところにお花見所がある稀有な地域。ここまでわざわざ見にくる必要はないのでは。小生は、人込みが嫌いなので、花見時期の京都は避けているので実情はさっぱりわからぬが。ただ、醍醐の桜だけは、交通大渋滞のなか、一度見た行ったことがある。現代の醍醐味はもう結構である。
〜蹴上辺り〜 |
蹴上駅
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[トンネルをくぐる]
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南禅寺塔頭 金地院 前
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■南禅寺 勅使門■
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■南禅寺 三門■ ⇔ 法堂前、水路閣、南禅院前
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南禅寺塔頭 聴松院前・【湯豆腐奥丹】●
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野村美術館・東山高校 前
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永観堂総門 前
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[哲学の道方向へ曲がる] |
それはともかく、蹴上駅から地上に出たら、インクライン下の訳のわからぬ名称の“雄観奇想”トンネルから北側に出れば、散歩の始まりとなる。
トンネルをを抜けると、お寺であった、となる。
塔頭の金地院は鶴亀庭園と東照宮で有名だが、拝観せず素通り。そうすれば、すぐに南禅寺境内に入ってしまう。勅使門と巨大な三門を眺め、真っ直ぐ東に進み、拝観口のある法堂前まで歩こう。そうしたら、ついでといってはなんだが、南の水路閣もくぐって院の前まで行くか。それにしても、寺の中に現役の煉瓦造り水道橋というのもなんだかね。
と言うことで、大きな三門に戻って境内散歩はおしまい。ここは、京都の一大観光スポットだから、どうしても騒がしさから離れられない。雪でも降れば別だが、散策には余り向いていない。
次は、三門から北に向かって境内の小道を進む。突き当たりの道に面しているのが塔頭「聴松院」。ここの「奥丹」が湯豆腐食堂を流行らせたといわれている。おっと、この手のお店をジキドウと読んでは不味いかな。
ここからは道なりに狭い舗装道路を歩くしかない。車も通るので気分悪いが致し方ない。しばらく行けば有名な永観堂だ。お庭が美しいので拝観に訪れる人が多いから、どうせ混んでいる。南禅寺と違って境内は公開されていないから、拝観は又の機会に。
「哲学の道→」の表示で山側に右折しよう。
〜 哲学の道を楽しもう。 〜
〜哲学の道辺り〜 |
「哲学の道(疎水)南端」
|⇔[疎水を渡ればすぐ] ■熊野若王子神社■
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[疎水沿いに北へ歩く。]
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|⇔[橋渡る] 【叶匠壽庵 茶室棟】●
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|⇔[山側へ] ■大豊神社■
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|⇔[大豊神社御旅所側へ降りる]
| 【カフェ TEAHOUSEASSAM】●
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[安楽寺方面へ横道に入る。]
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安楽寺塀
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【京湯豆腐喜さ起】●
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法然院前
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銀閣寺入口
[銀閣寺道を下る。]
↓
「哲学の道(疎水)北端」
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「哲学の道」の“散策”は今やメジャー化しており、様々な人が歩く。お陰で、歩き通す気がない人も増えているらしい。たいした距離でもないのに。
とにかく、大混雑にぶち当たる覚悟はしておく必要がありそうだ。そんな時は、両岸に道がある箇所で疎水の山側を歩くとよい。そして、観光客が大勢入ってくる銀閣寺近くは迂回する。大分手前から山側の道に入るのが手だ。疎水からは離れるが、寺があり、落ち着いた環境で、なかなかの風情。お寺は公開されていないことが多いが、塀の外を歩くだけでも十分楽しめる。
疎水沿いは観光地化しており、お店が多い。飲食店も少なくないから、気に入ったお店で一休みというのも手。
小生の場合は、抹茶の場合は、南端で。
紅茶なら、山側の大豊神社参拝後に、少し先で下りた所にあるお店。
小腹が減っているなら、途中で湯豆腐といったところ。
多分、人によって色々なお勧めがありそうだが、わざわざ調べる気がしないので、これらになっているに過ぎない。
地図を見ればわかるが、距離は短く、途中の見所といえそうな箇所がある訳ではない。しかし、以下の2箇所の立ち寄りはお勧めしておきたい。と言っても、たいして時間は潰れないが。
1つ目は南端すぐの山側の神社。「熊野若王子神社」である。小さなどこにでもありそうな神社だが、梛(ナギ)の木が植わっており本格的な熊野信仰が息づいていることがわかる。
2つ目は大豊神社。途中で、山側に入る。ここは、トーテムのユニークさが見どころ。
まあ、その程度の話。
〜 新興宗教的雰囲気を吉田山で味わおう。 〜
〜吉田山辺り〜 |
[銀閣寺道を下る。]
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「哲学の道(疎水)北端」
↓
白沙村荘前
↓
【レストラン 草じき なかひがし】●
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白川通今出川交差点
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[京大方面へ今出川道を直進する]
↓
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|⇔[京大農学部横]
| 【カフェ 進々堂】●
↓
吉田山 北参道
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|⇔[山頂手前]
| 【カフェ茂庵】●
↓
吉田山公園
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|⇔■吉田神社 斎場所大元宮■
|[南側の鳥居を降りる。]
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宗忠神社北側
↓
吉田山荘前(東伏見宮別邸)
| 【ティーサロン 真古館】●
↓
真如堂門前⇔宗忠神社
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吉田山は京大生には馴染みの場所だろうが、一般人にはなにがなんだかわからない地。
と言うことで、入る前に準備といこう。
銀閣寺からは、“百万遍”に向かって一本道であり、わかり易く、京大手前の森のような場所が吉田山なので迷うことはないが、そこからすぐに入る前に“元祖”カフェで一服をお勧めしたい。知る人ぞ知る、「進々堂」である。当然ながらバックグラウンドミュージックなる低俗な音楽は流れてこないし、重厚なテーブル。余裕を感じるお店である。まあ、早くいえばカルチェラタンを京都にもってこようとした訳である。
洒落たカフェがお好きな人にとっては、これは黴臭さかも。しかし、それが幕開けとしてピッタリくる。
ところで、吉田山を北の今出川通側から上るが、京大生なら西からだろう。古めかしい時計塔を見ていくことになる。オーストラリア・ハンガリア帝国的な権威を誇るような建物を眺めながら、表参道から入山だ。それも又京都。
この山、言うまでもないが「吉田神道」の本山である。素人にはよくわからぬが、卓越した卜占術使いの吉田兼倶が祀られているそうだ。明治維新前までは、絶大な権力を握ったとされるが、その根拠は何なのだろう。神道は経典を欠くのが普通だが、論理的だったということしか思いつかないが。
ただ、この山は古代からの三山信仰を引き継いでいそうだから、重要なものであったのは間違いない。船岡(真北)、双ヶ岡(西北)、吉田山こと神楽岡(東北)である。
ともあれ山頂に向けて参道を登ろう。残念ながら、山頂からの眺めが素晴らしいということはない。ここでのお勧めは「茂庵」か。またまた、一休みとなるが、風格を感じさせる建物であるからよかろう。
この山は思っているより広いので、いろいろ歩いてみるとよいだろう。
そのなかでハイライトは、なんといっても、南の方にある、「斎場所大元宮」。いかにも占い用のような形態の建築だが、八百万神を祀るためらしい。鎮守様イメージとは無縁というより、新興宗教と勘違いしそうな設計だ。“吉田”といえば、吉田兼好しか知らないので、理解できる範疇を越えている。
神社とは、森に囲まれる素朴なお社だけでないことがよくわかる。 いと不可思議。
「茂庵」は山を登ってきた人のほとんどが入りそうな感じがするし、そこでのんびり食事をする人もいそうだ。席が無い可能性もあろう。しばらく待つ位なら、替わりに山を下って「吉田山荘」という手もある。
尚、吉田山の次には、宗忠神社にも立ち寄ろう。吉田神社の稲荷社から一体に繋がっているような感じがするが全く別の神社である。目的は、ここから真如堂を眺めたいからである。この景色はなかなかのもの。日本の寺という感じがするというだけで、それだけといえばそれだけ。
この神社は「黒住教」。残念ながら、小生は、知識ゼロ。江戸時代に生まれたらしいが、新興宗教は全くわからん。
〜 黒谷散策はなかなかのもの。 〜
〜黒谷辺り〜 |
法伝寺(真如堂塔頭)・・・鳥居
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■真如堂(鈴聲山真正極楽寺)本堂・三重塔■
|【茶所(仏間付)】●
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真如堂 西雲院
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黒谷の墓地
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金戒光明寺 文殊塔
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金戒光明寺 池前⇔本殿
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岡崎神社
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丸太町通
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[丸太町通の歩道を西に歩く。]
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平安神宮裏・錦林小学校-税務署
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|⇔[武道センター側入る]
| 【カフェスフレ専門店六盛茶庭】●
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|⇔[聖護院殿西門前]【生蕎麦河道屋養老】●
|⇔【聖護院八ツ橋総本店】●
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東山丸太町交差点・■熊野神社■
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神宮丸太町駅
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真如堂だが、山の名前が鈴聲山と風流。京都では紅葉の名所で、塔頭の法伝寺が桜の名所だという。それもさることながら、このお寺の風景はなかなかのもの。美しい“歴史的建造物”という意味ではなく、普通の“お寺”イメージとしてしっくりくるということ。無粋な表示板や違和感を与える建造物が視線に入ってこないし、人が少ないので、静かなのがことのほか嬉しい。そんなお寺が余りに少なくなったということなのであるが。
西雲院東側に行けば、幕末の騒乱に巻き込まれた会津藩殉難社墓地もある。尊王攘夷派の薩摩・長州・土佐藩の志士達は注目を浴びているし、新撰組も大人気だが、バリバリの佐幕派の会津藩士に関心を示す人は少ないようだ。閑散そのもの。
しかし、行き届いた清掃の後が見られるところを見ると、世間の関心など気にも留めずにしっかりと生き抜いている人達がいることがわかる。
さらに黒谷墓地群から文殊塔方向に行くと、そこは金戒光明寺の域内。浄土宗だから、蓮池がある。阿弥陀様の方角に行くのもよいが、ここは大人しく南に降りていこう。
そこは岡崎神社。由緒によれば、平安遷都の際に四方に建てられた神社の一つだそうである。トーテムは兎らしい。
ということで、丸太町通に出る。
後は、西に真っ直ぐ歩道を歩いて駅に向かうだけ。
折角だから、「河道屋養老」に立ち寄って鰊蕎麦を味わい、お土産にその近くで聖護院八ツ橋購入はどうか。特段のお勧めという訳ではないが、東京と比較して考えると、どちらも標準価格帯品で好感が持てるというだけのこと。
と言う話をすると、それこそが京の経済通念なのだと教えてくれる人がいそうだ。本当かはどうもよくわからないところがあるが。
そうそう忘れてならないのが、交差点の熊野神社。熊野神社は全国津々浦々にあるから、なにも、京都の大きな道の交差点の神社に参拝しなくてもと考える御仁も多かろう。
しかし、哲学の道南端、若王子でも小さな熊野神社を参拝したなら、ここを黙って通りすぎる訳にはいかないのである。聖護院の修験道と関係していると思われ、昔はこの辺り一体が鬱蒼とした森だったと思われる。今では、それが偲ばれるのは楠位のものか。ここで見るべきものは社殿(下鴨神社からの移築らしい。)ではなく御札。
烏の数には思わず唸らされる。本家本元の熊野の御札どころではない。流石、京都だ。
〜 [付録] 時間があれば商店街に立ち寄るもよし。 〜
散策した後は、地元の“市場”の雰囲気を味わうのも一興かも。別に人恋しさという訳ではなく、その土地の人々の生活実感を共有した気分に浸れるからである。
京都には地場の“商店街”が沢山ある。ご多分に漏れず不調のところが多い。しかし、気力は旺盛のようだから、お立ち寄りになったら如何かな。
それでは、どこにすべきかだが、おそらく、錦小路は雑踏だろう。それでも、という人以外は避けた方がよいかも。折角の散歩の気分が台無しになりかねないし。それに、黒谷辺りの気分とは少し違いすぎる。
そうなると、お勧めは、古川町商店街か。東山駅から南に無駆る狭い路地に、ほとんど改装したことがなさそうなお店が詰まっており、惣菜や地場用品が細々と並ぶ。今は、大分寂れてきたようだが、まだまだ底力ありと見た。
実は、観光的には、商店街そのものより、突き当たりの白川に架かる、一人で渡る狭い橋(俗称行者橋)を渡ることに人気が集中しているようである。知恩院黒門(華頂道)へと歩く道筋でもあるし。
ただ、訪れる時は早目に。夕刻になると店仕舞いが始まるそうだから。6時以降に買い物に来る人などいないということか。
個人的には、京の町屋に泊らせて頂き、この商店街でお惣菜や食材を買って持ち帰ると、それを夕食に出して頂けると有難いのだが。旅館の“お任せ”は、お金を出せば美しいものが頂けるというだけで、たいして楽しいものではない。そのため、ホテルと外食になるが、くつろぎ感を失うので面白いものでもない。
錦市場がまだ観光地化していなかった頃、珍しい惣菜類を買い集め、京都駅上のホテルのスイートルームで好きなお酒で大いに楽しんだことがあるが、そんなことが気楽にできるようにならないものか。
もっとも、学生さんならともかく、得体の知れぬ輩など家に入れる気などないぞという文化だと、とても無理かな。
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