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■■■ 本を読んで [2015.4.2] ■■■

一瞥中国面点文化本

気候[湿乾]、社会、民族、等の文化の違いが南と北では相当に違う。麺文化を考える場合は、その観点は極めて重要である。
小生は以下のように、中国の麺文化を見た訳だが。
  --- 中国の料理文化圏「中華麺の粋」 ---
  (1)[2014.6.15] (2)[2014.6.16] (3)[2014.6.17] (4)[2014.6.18] (5)[2014.6.19]

例えば、「南船北馬」的なキャッチー表現にすればこんな風にも描けよう。  「中国の料理文化圏」[2014.5.24]
 <文化的南北差異>
 ---気候的条件---
  南稲 v.s. 北麦
  南粒 v.s. 北粉
 ---麺革命勃発後---
  南細 v.s. 北粗
  南薄 v.s. 北厚
  南干 v.s. 北生
  南点 v.s. 北麺
 ---飯一世風靡後---
  南糯 v.s. 北粳
  南甜 v.s. 北咸
 ---基層の肉文化---
  南猪 v.s. 北牛
  南鶏 v.s. 北鴨
  南脂 v.s. 北 (脂は本来は西)


大陸の麺を眺めると、その歴史が見えてきたりする訳だ。漢人は被征服民族だった時代がほとんどだが、それを通じて広大な大陸を全面的に漢族化した四千年とも言えよう。
それこそが、中華思想の根幹。ただ思想に哲学がある訳ではなく、漢字表記コミュニケーションと食文化であり、後者の基層は「麺食+ご飯食」。ご飯は文化的差違が見えにくいが、麺には紆余曲折の大陸史が刻み込まれていると言えよう。

ステレオタイプになりがちだが、様々な文化の相互依存と干渉で豊かな食が生まれ、それを類型化して現在のポジションを確認するのは知的遊戯としてはなかなかのものである。
と言うことで、「中国面点文化」なる本を眺めてみたが、以下のような視点で少数民族系も検討しているとのこと。この辺りが一般的なスタンスなのだろう。
 <飲食文化格局形成的因素>
  地理環境和气候物産的差異
  生活方式与食物種類的不同
  特定条件与烹調方法的影響
  歴史背景与経済類型的促成
  宗教信仰和風俗習慣的不同
 <不同民族飲食文化的双向交流>
  国内戦乱与都府遷移而引起民衆的遷徙
  貿易的発展加快民族之間的流動
  帝王将相的接納与“和親”政策的施行
  少数民族与漢族飲食文化交流的不断深入


この手の本の面白さは、類型パターン化をしてくれるお蔭で、なんとなく様子がわかること。例えば、地域の特色が以下のように描かれるのである。・・・
--- 中国麺点的主要風味流派 ---
  【京】北食萃的
  【蘇】南味并挙的
  【広】兼容并蓄的
  【晋】面食之郷的
  【秦】西北風格的
  【川】西南天府的
  【鄂】江漢平原的
  【中原】輻射四方的
  【台】一衣帯水的
  【東北】白山K水的

小生的には、鉄砲で政権が生まれる国だし、非国軍である解放軍の旧軍区で考えてしまうが。
  瀋陽軍区(非漢民族圏)・・・東北料理
  北京軍区(非漢民族多し)・・・
  蘭州軍区・・・[東北料理包含]
  済南軍区・・・[京菜包含]
  広州軍区・・・
  四川軍区・・・
  蘭州軍区(非漢民族圏)・・・西北料理
  武漢/湖北 旧軍区・・・
  福州/福建 旧軍区・・・
  首脳出身地・・・
  天津(北京軍区)・・・津菜
  上海(蘭州軍区)・・・


これを「面点」文化として眺めることになるが、その範囲は飯・粥、麺、点心ということになる。以下のような料理がその範疇である。この分類観だけでも結構中国の食文化がわかってくるような気になってくるから不思議。・・・
  飯的演進与名品・・・淳熬+淳母,雕胡飯,青精飯,碎金飯与金飯
  粥的演進与名品・・・蓮子粥,茯苓粥,神仙粥,木耳粥,八粥
  古代特色面条・・・冷淘面,槐叶面,湯,五香面
  古代特色・・・梅花湯餅,蓮花餅,頂皮餅 蒸酥餅
  古代特色餃子・・・水晶角儿,列角儿,酥皮角儿,蜜透角儿
  古代特色・・・柿,松,蒸茯苓,蒸
  古代特色・・・水團,煮砂團,卜湯團,水粉湯團,神仙果
  古代特色包子・・・天花包子,米粉菜包,灌湯肉包
  古代特色・・・捲煎餅,油烙卷三制,蒸卷三制,油煎卷
  饅頭・・・剪花饅頭,黄雀饅頭,山饅頭
  焼賣、麻花、薄脆、花
ちなみに、民国時期的名点代表としては9品あがっている。できれば、すべて食してみたいものである。(王興記飩,桂發祥麻花,黄橋焼餅,高橋松餅,五芳齋粽子,糯米鷄,ョ湯圓,面,熱干面)

上記はわかっているような気もするが、その感覚が理解できている訳ではない。
現代の華でも、どのように考えるべきか、全体像がつかめているとは言い難い。例えば、こんな具合に見ることができるらしい。・・・
---餡心---
【咸-生菜餡】素菜,,素三
【咸-熟菜餡】雪菜香干,什錦素菜,雪笋
【咸-生肉餡】猪肉,百花,牛肉
【咸-熟肉餡】叉焼,蟹黄,牛肉
【咸-生菜肉餡】白葉生肉,火腿,魚肉韮菜
【咸-熟菜肉餡】小葉肉,梅干葉肉,肉春巻
【甜-泥茸】豆沙,棗泥,蓮茸,芋茸
【甜-果仁蜜餞】百果,五仁,果子
【甜-糖】麻仁,水晶,白糖
【甜-菜疏】翡翠,冬茸
【甜-蛋乳】黄,椰


それに、"節相襲沿用的年節麺点"でさえ、ほとんどわかっていないし。実際に、並べられると、断片的な知識しか持っていないことに今更ながら気付かされる。・・・
  春節[正月]:餃子
   大年:年(意味的には日本の鏡餅に相当)
    上元[正月十五]:元宵
  立春・・・春餅   寒食[清明節の前]・・・寒具
  端午・・・粽子   夏至・・・冷面   七夕・・・巧果
  中秋・・・月餅   重陽・・・花
  冬至・・・飩   ()八[12月8日]・・・食粥


古代の"麺点早期的谷物原料"になると、どんな食生活か皆目わからない訳で。
 1 キビ/黍稷 アワ/粟
 2 稲
 3 麦
 4 大豆/菽
 コーリャン or モロコシ(唐黍)/高梁、麻、マコモ(真菰)米/雕胡


材料だけでなく、料理分類や調理技術についても、必ずしもわかっている訳ではない。・・・
 <粒食制品> 飯、粥
 <粉食麺点>
  餌・・・蒸制的
  ・・・谷物炒成的干粮
  餐・・・餅
  食・・・米餅
  食・・・肉丁米粉油煎餅
  ・・・子的油炸食品
  蜜餌
  倀

と言うことで、それなりに、勉強させて頂いた。
ただ、それで?と言われるとこともなし。

ついでながら、食譜(飲食書籍)についてだが、食事シーンとしては、官府大家的食事の「紅楼梦」と市井民間的食事の「金瓶梅」が双璧らしい。まあ、そうだろうという感じ。しかし、菜単という点では、小生は「随園食単」以外は全く知らず。そのうち挑戦してみることにするか。・・・
●古代・・・「閑情偶寄」「食憲鴻秘」「随園食単」「調鼎集」「素食説略」
●医学与飲食的結合和発展・・・
 「食療本草」:椒姜末飩 枸杞麺糊羹
 「山家清供」:通神餅 玉延索餅
 「飲膳正要」:春盤麺 桃仁粥
 「寿親養老新書」:山芋麺 冬瓜抜刀(飩)
●「易牙遺意」「宋氏養生部」「飲饌服食箋」


(本) 邵万:「中国面点文化」 南大学出版社 2014年

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