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■■■ 本を読んで [2018.3.10] ■■■

地名ミステリー九州版

魚偏の漢字が使われている地名の由来を掘り起こした本らしいので、手にとって目次を見たら、なかなかに面白そうなので読んでみた。

地名探索自体は簡単に検索できるご時世だが、どうしてそんな名前になったかを探るのは容易なことではない。
もっともらしい説明が複数あり、どれが正統かは不明というのが普通。つまり、あてずっぽうの推量レベルにならざるを得ないのである。

それに敢えて挑戦しようと考えた、"無謀な"著作との触れ込み。
確かに、その通りである。反文献主義を貫くというのだから。つまり、現場歩きに徹するという訳。"釣り馬鹿"ならではの仕事である。

そんな企画を思いついたのは「ルアーパラダイス九州」に入れ込んだお方。取材同行写真家兼務だそうな。
従って、場所的にはこんなところ。・・・
 福岡県 北九州市 小倉北区頂吉
 
___ 久留米市 城島町
 
___ 嘉麻市 大隈
 
___ 田川郡 福智町上野
 佐賀県 武雄市 武内町
 
___ 鹿島市
 長崎県 佐世保市 針尾中町
 
___ 五島市 戸岐町
 
___ 松浦市 鷹島町
 熊本県 八代市 鏡町, 坂本, 古麓町
 
___ 上天草市 大矢野町
 
___ 宇土市 住吉町
 宮崎県 児湯郡 川南町


このうち、1/3は、マ、納得いくものだったと。
さらに1/3は、本来の文字の意味から変容しておりナンダカナ状況。
魚に限らず、全国の地名はそんなものではなかろうか。命名時と生活スタイルも自然環境も大きく変貌するのが普通で、地名自体はそのまま活かすにしても、その意味が変わるのは致し方あるまい。それに、一度でも、縁起悪い漢字とされたりすれば、即刻当て字に代えられてしまうし。

その残りだが、魚が神仏扱いされている地名。
倭国は海人の国だから、本来的にはこの手の名称が稀有である筈はないのだが、その伝統を残そうと考える人は少ないのである。
本に登場するのは以下の5種。・・・
 《鰾[ニベ:]…"鰾"=魚体中の浮袋
   →類縁「イシモチ」[2006年8月4日]
   「肥後古記集覧」巻四 "鰾大明神縁起"
 《[エツ:斎魚]…カタクチイワシ類縁種@有明海棲
   →類縁イワシ[2005年9月30日 ]
   →「弘法大師とエツ」@さがの歴史・文化お宝帳
    (C)佐賀市地域文化財データベース
 《鮭》
   →サケ[2006年9月1日]
   →「鮭神社」@(C)嘉麻市観光ポータル
   [参考]東北では鮭を祀っていても、神社名に鮭を冠したりしない。
 《鯖》
   →サバ[2005年11月25日 ]
   →「四国別格霊場 第4番札所 (C)鯖大師本坊」
   [参考]神奈川県には鯖神社がかなりの数存在する。
 《鯰》
   →ナマズ[2008年3月7日]
   →「なまず神社となまず郷 福岡県福津市上西郷」(C)システム工房
   [参考]浜松市天竜区上野に"大なまず神社"あり。

(本) 田代俊一郎:「魚ヘンな旅 水辺のキニナル地名行」つり人社 2018年2月1日
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