トップ頁へ>>> オジサンのための料理講座
←イラスト (C) SweetRoom
2011.2.3
「料理講座」の目次へ>>>

 


日本茶の淹れ方…


 お茶を一服といっても多種多様な形態。
 緑茶、珈琲、紅茶、中国茶、ハーブティー、と今や何でもありの世界。
 ただ、一番の愉しみは文化の香りでは。
   → 「お茶の歴史をふり返る」 [2005.10.19]
   → 「珈琲と茶から見えてくる文化の底流をふり返る」 [2009.10.22]
   → 「紅茶のこれから」 [2005.10.20 ]

 もっとも、頭だけではなく、五感でも楽しみたいもの。


 茶道と日常の茶飲とはかなり乖離した感じがする。RTDのペットボトル飲料から、インスタント、ティーバッグまで、便利なものが全盛であるが、伝統感覚を呼び覚ますにはこうした類のものでは一寸無理だろう。

 なんとなく思ってきたのだが、コーヒーを作るとなると、どういう訳が結構力が入る。明らかに味が変わるからでもある。
   → 「コーヒーを愉しむには」 [2009.9.9]
 それに比べると、茶は手抜きな感じ。なにかやっても、効果が顕著ではないからかも。
 紅茶の場合は、ポットを使うことと、沸騰したての湯を使うこと、ポットとカップを温める位を守れば、まあそれなりに美味しい。ポット1杯、カップ1杯の茶葉の計量も簡単そのもの。
 煎茶になると、慣れているから、もっといい加減なやり方で飲んでいたりする。煎茶道を考えている人は別だが。
 「茶」の解説はいろいろあるが、まあ五十歩百歩というところ。正直なところ、読むと役に立つとも言い難い感じ。コーヒーと違って、入れ方が何巣類かあるという訳でもないし。

 と言うことで、緑茶を美味しく飲むにはどうすべきか考えてみた。

 実は、先日、加賀棒茶を飲んだのだが、これが香ばしくて絶品。続けて、ご近所で類似品を購入したのだが、こちらは今一歩。それなりのお値段だったのに中味が伴わずガッカリさせられたのである。
 それでも、淹れ方を多少工夫すると、多少は良くなる。まずは素材の質ということがよくわかったが、質の良い茶葉なら、淹れ方に真面目に力を入れると、味は格段によくなると言う点も知った。ただ、実行は結構難しい。最適値の幅がどうも狭いようで、茶葉の質でその値も変わるから、そう簡単に学ぶことができないのである。

 紅茶は前述したように、素人でもそれなりの味は出せるから、どうしても緑茶同じようなものと思ってしまうが、残念ながらそうはいかないということ。日本茶は、微妙な心遣いで味が結構変わるのだ。
 そこで、素人の観点で、「煎茶」の注意点をあげておくことにした。ご参考になれば幸。

 (1) "適量"の茶葉を用意する。ここが簡単そうで、意外と難しい。
    -多くても、少なくても、今一歩になる。(紅茶より最適茶葉量の範囲が狭い。)
    -葉の状態によって最適量が大きく違うことも難易度を上げている。
    -テーバッグは紅茶(カップ80-90cc)と同じ2gだが、これをそのまま真似しないこと。
    -使う茶碗は60-75ccが多いが、容量を確認すること。
    -70ccだと、上質な煎茶なら2gが最良。普及品は2.5-3gをお勧めする。
    -ただ、破砕葉が少ない場合で、多い時は数割減らす必要がある。
    -秤を使わないのだから、重量の目安をつけること。これは簡単ではない。
      葉がしっかり巻いている上質煎茶なら小匙一杯弱が2gで大匙が3.5gか。
      普及品だと小匙一杯で2gかそれより少なめ。
      葉の状態が見易い茶匙を使って量を加減するのが望ましい。
    -粉は入れないように。
 (2) 湯は、しばらく"静かに"沸騰させてから使う。(もちろん軟水)
    -水に溶けている気体をすべて飛ばす。
    -少しでもミネラル分を沈降させる。
 (3) 注ぐ湯温は大切である。(どの解説本でも適温80度。)
   温度計など使っていないから、自分で目安を作ること。
    -そのまま注げば、ほぼ100度。
    -茶碗に入れると、90-95度。
    -さらに容器(汲み出し茶碗)に移しかえると、80-90度。
      小さな湯冷まし容器を用意すると便利。(例えば、クリーム入れ)
      移しかえて20秒以上待ち、"75-79度"にするとよい。 (計測値ではない。)
 (4) 急須や茶碗は予め暖める必要は無い。
   ついでながら、急須にも多少は留意しよう。
    -飲む分量に合う容量で茶葉が広がる背低の急須が望ましい。
    -鉄製のストレーナー使用品は避けよう。
    -目詰まりしにくいものがよい。(最後の雫を出せるから)
      拙宅では、口無しの備前風のものを購入した。
 (5) 急須に静かに湯を注ぐ。(茶葉を泳がせない。)
    -蒸らし時間は上質な煎茶なら1分程度。蒸らし時間で味は変化する
      2分も放置すると味のバランス悪く台無し。
      破砕葉、巻きが弱いもの混入品なら数割短く。
      細かいものが入っている時は20秒。芽茶なら30秒位。
      "深蒸し"表示品も短時間にすること。(通常の半分位でよいのが普通。)
      指定時間の記載を見落とさないこと。
      茎茶は最低1分だが、2分以上はよした方がよい。
 (6) 急須から注ぐ時は雫まで完全に出し切る
    -最初と最後で味が違う。雫は濃濃でこれがないと折角の愉しみ半減。
    -数杯分の場合は、回し入れ同質にすること。
    -終わったら、急須を軽く叩いて茶葉を底面に落とす。
    -急須の蓋をあけて放置する。(容器内の湿気を飛ばして室温に戻す。)
 (7) 2回目は、湯温を上げ(90度)、放置時間を半減させること。
    -廉価品の場合は期待すべきでない。
    -こちらの方が美味しいなら、1回目が不適か素晴らしい茶葉のどちらか。

 "煎茶"の場合は、葉の質で大いに左右される訳だが、選定はかなり難しい。日本の各地の生産量から見て鹿児島産が多いのだが、そんな表示をみかけないことでわかるように、産地名はあてにならない世界だから、高級とか、特別といった記載には意味が薄い。実に厄介。
 それなら、お茶専門店がよいかというと、これがピンキリ。ファッショナブルで専門家が選定というふれこみなのに、品物はさっぱりというお店があったし(原因は知らぬが閉店)、なんということもないお店で薦められた静岡産茎茶が絶品だったこともある。その一方で、一緒に購入した一般品は今一歩だったりと。

 そうそう、煎茶といっても、鮨屋用の粉茶が流行ったことがある。これはご存知のように、ストレーナーあるいは笊で湯を通すだけ。湯温は同じが望ましい。好き好きだが、余りお勧めしない。
 芽茶や茎茶といった葉以外のお茶もあるが、これはピンキリだから、購入にあたっては注意が必要である。購入者は固定していそうだから、流行したりすると、キリをつかまされがち。尚、この場合は湯温は高めにして、90度近くてもかまわない。但し、短時間ですぐ出すこと。

 それと、"かぶせ茶"とか、"釜炒"/"ぐり茶"記載のお茶があるが、これも同じように80-90度で短時間で出さないと今いち。使う量は2gではなく、3g以上にしないと軽いというか薄すぎる感じ。特に"釜炒"系は多目にした方がよいのではないか。素人なので、そういうものなのか、売っているものがたまたまそうだったのかはわからぬが。

 ついでながら玉露の場合だが、煎茶の湯量を半分にして、茶量を倍以上にしないと、美味しさは出ないのでは。湯温度は50度。蒸らし2分。湯温が低いので、茶碗は温めておくこと。
 高温の湯を注ぐようなことをしなければ、まず美味しいものが出る。但し、それは新鮮な茶葉の時だけ。家庭保存では急速に味が落ちるので、すぐに飲みきれる分量以上は購入厳禁。特売品はいかに高級品だろうが避けた方が無難。

 加賀棒茶の話をしたから、そこいらも追加。
 このお茶、茎のほうじ茶。要するに、香り重視。この手のお茶は沸騰湯は駄目だが、90度の湯を一気に注ぐのが一番。急須も暖めておくべき。茶葉の量の最適値はよくわからないが、濃いから嬉しいこともないので、煎茶より若干少なめでも十分美味しい。ただ、それは重量での話。茎は煎茶と同じように推定できるが、葉は嵩張るものが多いし、そのレベルも千差万別なので重さ感覚が湧かない。ガサッと勘で入れるしかない。多少多い程度なら、それほど問題ではない。ただ、30秒の蒸しで終わらすこと。長いと香りが落ちるし、味もにごる。従って、急須に湯を入れて放置し、都度茶碗に注ぐような飲み方は疑問。
 2度出せそうな茶葉なら、一回目は10-20秒と短めにして、2度目は沸騰した湯を一気に入れて30秒で飲むのがよかろう。


「料理講座」の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 2011 RandDManagement.com