表紙 目次 | 2014.5.1 五行的味わいを楽しむ料理…五行の話で、以下のような気候風土的な決めつけを行った。<シンボリックな季節> ■中央■・・・季節の変わり目 ■東方■・・・芽吹きの春 ■南方■・・・豪雨と猛暑の夏 □西方□・・・吹きすさぶ風の秋 ■北方■・・・凍りつく冬 さらに、これらを食文化の基底的なものに、無理やり変換して、押し込んでみた。 <お好みの味> ■中央■・・・糖分リッチ ---「甘」 ■東方■・・・醗酵の酢味や旨み命 ---「酸」 ■南方■・・・アルカロイド系苦味愛好 ---「苦」 □西方□・・・刺激希求 ---「辛」 ■北方■・・・塩蔵品好み ---「鹹」 → 新五行思想 2014.4.21] 折角だから、このセンスで料理を楽しんでみたい。 一挙に世界を味わい尽くすということである。 それは、決して、邪道ではない。日本人好みの幕の内弁当的な喜びに通じていそうだから。 それに、もともと、「日本の独自性」とは、「なんでも雑種化」なのは明らか。時々は、原種のセンスに触れることで感性を磨くのもわるくなかろう。 もっとも、これは五行の「色」を意識した訳ではない。カラーコースは以前作ったことがある。・・・8つものコースがつくれるのである。 → アメリカ料理の思想を取り入れてみる [2008.6.25] ■RED■ ■Yellow■ ■Pink■ ■Green■ ■Purple■ □White□ ■Black■ ■Brown■ 和で考えるなら、黒と白位が適切なだと思われるが。 → 黒料理と白料理で一息 [2011.1.13] これらは、奇をてらった訳ではなく、料理はあくまでも、全体像の企画から始まることを言いたかっただけのこと。知的センスを磨くには、悪くない取組みということで記載してみたのである。 今回はこれとは違い、食の本質に迫ろうという意気込み。大袈裟過ぎるか。 素材は、鶏胸肉としたい。肉のなかでは、実に安価だからということで選択した訳ではない。味のセンスを「調理」という観点から見る上で、独特の脂分があったり、繊維等の食感を強く感じさせるものだと、素材そのものの味わいの方が強くなってしまうから。お嫌いな方は、白身魚の切り身を選ぶことになるが、生鱈あたりが無難である。それも苦手なら、冷凍カジキ鮪か。 まあ、ブロイラー系の鶏は癖が無いから、それが一番である。ついでに、以下も参照しておくとよいかも。 → 鶏胸肉料理の検討方法例 [2009.8.26] ━━━■東方■━━━ この風土の基本は米飯+魚醤だと思う。 日本は、穀醤一色になってしまったが、ここは是非とも原点たる魚醤味でいこう。先日、恵比寿のワインのお店を覗いたら、Colatura di alici di Cetaraが売られており、商品のご説明まで頂いた位だから、東京だとその気になればなんでもありそう。なんとも凄い国である。と言うことで、お好きなもので。 【魚醤】 秋田:しょっつる, 新潟:しょっからいわし, 能登:いしる, 香川:いかなご醤油, タイ:nam pla, ベトナム:nuoc mam, フィリピン:patis, カンボジア:tuk trey, ラオス:nam paa, インドネシア:kecap ikan, マレーシア:budu, ミャンマー:ngan-pya-ye, 澳門:魚露, 福州:[魚奇]露 とはいえ、高価なものは勿体無いから、常識的にはナンプラーだろう。これに米のアルコールを加えて、鶏胸肉を冷蔵庫で半日漬け込むだけ。他の味はつけない。もっとも、ナンプラー味にすると、パクチー位は使いたいところ。そうなると、ニンニクも、となりかねないからそれは避けよう。どうしてもということなら、万能葱程度にしておこう。もちろん、調理は単純極まる。グリルで焼くだけ。 ━━━□西方□━━━ 刺激を好む体質とは、南アジアから西アジアにかけての大陸的感覚に根差している感じがする。 漫画的には西遊記的イメージ。そうなると、タンドリーチキン擬きがよかろう。鶏胸肉に胡椒をふって、塩とカレーパウダーを混ぜたプレインヨーグルトに半日漬け込む。グリル調理だ。 ━━━■南方■━━━ 南の鳥料理なら、鶏というよりは、蝙蝠か。しかし、そんな料理に似せるのは無理が過ぎる。 ということで、ココナッツミルクを用いるのはどうか。芋主食地域の定番的素材でもあるし。最近は、ブリックパックの少量品があるので、使い易いこともあるし。ただ、少し煮ないと味がつかないので面倒な点はある。 生姜すりおろしと、カルダモンの種を潰して、ココナッツミルクに入れた液体のなかで鶏胸肉を少々温めてからグリルすることになる。あくまでも味付けなので、煮込んだりしないこと。 ━━━■北方■━━━ トナカイ肉を丸ごと岩塩茹でというのが一番合っていそうだが、その手の料理を鶏肉で真似るのは難しい。 ホークで鶏胸肉を十分刺してから岩塩を擦り込み、オリーブオイルに半日漬け込んでから、グリルとしよう。薄切りにすると、結構、つまみになる。 ━━━■中央■━━━ 鶏胸肉に包丁で切り込みを入れ、さらにホークで刺したものを、麦味噌と蜂蜜を混ぜたなかに漬け込む。冷蔵庫で一日おいてからグリル。 ━━━■おまけ■━━━ ついでに、雑種的な「倭」の文化の発展形である和食も作っておこう。(「東方」色濃厚と見れなくもないが。) これは簡単である。醤油、日本酒、味醂の等量液に大蒜と生姜を適当に入れ、鶏胸肉を半日漬け込んでグリル。 おわかりだと思うが、すべてグリル。冷蔵庫で半日漬けておいたものを取り出し、一時に料理ができるということ。実に簡単そのもの。 大振りの肉を5枚も並べて食べ尽くすことは、常識的には無理。従って、ご自分の食事量に合わせた大きさにしておく必要があるのは、言うまでもない。 (参考) 石毛直道:アジアの魚醤 国立民族学博物館研究報告11巻 1号 「料理講座」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2014 RandDManagement.com |