表紙 目次 | ■ 分類の考え方 2014.9.27 ■ 非ウナギ系eelを眺めて 折角、ウナギ族を整理してみたので、似た名称がついている魚を調べてみることにした。 → 「鰻の位置付け」 [2014.9.26] <いかにもEel> 熱帯系の泥地好みの淡水魚は、体型は葉状透明幼生類の鰻によく似ているが、それとは無縁。 タウナギは食用だが、トゲウナギはもっぱらペット。稲作民に仲良き魚として扱われ、生き抜いてきた魚と言えよう。一見、特殊な魚に映るが、それは間違いだろう。 スピードを誇る最新型魚類と、その進出タイプが勢力を誇るっている現代直前の棲み分け型と見ればよいだけ。ブラブラ遊泳のフグ型、砂地ガサゴソのカレイ型、と肩を並べる訳で、泥地潜りのタウナギ型ということにだろうか。そのような整理がされている図鑑は見かけないが。 ●無胸鰭&無尻鰭 空気呼吸可能 @熱帯〜亜熱帯淡水 田鰻/Swamp eel or rice eel ・・・沖縄ではトーンナジャー[田ではなく唐] 清朝時代の移入種[鱔魚] ●各鰭分離 @アジア/アフリカ淡水 棘鰻/Spiny eel 但し、外形は上記と似たり寄ったりに見えても、全く異なる類が存在する。 ●胸&尻鰭のみ 空気呼吸必要 @南アメリカ-アマゾン/オリノコ川 電気鰻/Electric eel 図鑑によれば、電気鰻は、鯉や鯰の一群に組み込まれている。と言うか、淡水領域の典型タイプという分類でしかなさそう。解説には、特別な聴覚器(浮袋に連結するウェーバー器官)を持つ類とされている。しかし、どうも腑に落ちぬ。 濁った水中で動くのを得意としている淡水魚という分類ならわかるが。そうとも言えないように映るから。 餌に早目に気付くとともに、危険を察知する仕掛けはどの生物にもあるから、その特殊性を大分類に当て嵌めるのはしっくりこない。電気鰻を見ればわかるが、知覚手段より、防御用の警報発信手段の方がより本質的な感じがするからでもある。(電気鰻では餌獲り手段兼用らしいが。)従って、鯉や鯰にも、なにか特別な方策があるのではなかろうか。素人感覚で間違っているかも知れぬが。 ともあれ、名称としては、「電気縄鯰」としたいところ。それにしては、探るための重要器官である髭が無いように見えるが、実際はどうなのだろうか。 <無尾鰭扁平体の底棲深海魚> 鰻はもともと深海から汽水域へと進出したのではなく、全く逆なのが一大特徴だと思う。それなら、深海棲の鰻が淡水域並の一大勢力を形成してもよさそうに思うが、そうではないのは、寒い海だからか。鱈の世界で、その近縁の無尾鰭か紐尾型の深海底族が強固な地盤を形成して当然な気がする。シタビラメ的な扁平な体つきも多そうだが、底地に潜ったり、穴に隠れる必要がある地形では鰻体型にならざるを得まい。 大きく見ると、鼠顔の底鱈、鼬顔のBrotula、髭がある淡水棲鱈に似たCusk-eelの3タイプとして認識されていそう。 ●無尾鰭(紐状),無腹鰭&発達尻鰭 発効器 底鱈/Rattail・・・練物 槍髭/Spearnose grenadier・・・鞭状尾 ●無尾鰭(尖状),背尻鰭帯状一体 多髭 鼬魚(通称:黒髭)/Brotula・・・@熱帯/亜熱帯系 西鼬魚/Bearded brotula 海泥鰌/Loach brotula 潮鼬魚(通称:赤髭)/Whitespotted brotula ●偽鼬魚/False brotula ●背尻尾鰭一体,糸状腹鰭 阿代/Cusk-eel・・・練物 黄泉阿代/Galathea cusk-eel Kingklip(旧通称:甘鯛 グジのアマダイではない.)/Pink cusk-eel 底坊主/Pudgy cusk-eel 鎧鼬魚(通称:髭鱈)/Armoured cusk-eel 底奥目魚/Blind cusk-eel ●無尾鰭(尖状),無腹鰭 無鱗 @偶棲 隠魚/Pearlfish <多少似ている感じもする底魚> ●ゲンゲ系/Eelpout@北洋 ノロノロしていて下の下というのでノロゲンゲが発祥とnihonjitenに記載されているが本当かネ。何故にそれが玄華となるのだろう。白身の深海魚だから、身が適度に締まっていれば料理の仕方はいかようにも。ということで、高級感を醸し出す名称にしたということか。尚、丹後ではグビと呼ばれるようだ。ヌルヌルを落とさず調理して食すらしい。 裸玄華・・・無鱗 浮袋欠落 (食用4種) 白玄華/Jelly eelpout 寒天玄華/Soft eelpout 野呂玄華/Porous-head eelpout 田中玄華(狐鱈)/Tanaka eelpout 蛇玄華/Wolf eelpout 鎧細長玄華/Chevron scutepout ●ガジ系/Blenny ガジは何を意味する名称か想像がつかない。 田植我侍・・・練物 羽我侍/Quillfish 鰻我侍/Snake blenny 長柄/Long shanny 眉我侍/Saddled eelpout 仙人我侍/Carpet eel-blenny ●ギンポ系/Gunnel・・・天麩羅 立派な名前だが、体色が銀色というにすぎまい。英語なら、Silver trailとしたいところだが、そんな名称の魚もありそうだから無理だろう。お宝としたのは、江戸前天麩羅でのお遊びと見た。骨を取るのがいかにも面倒な魚だが、活魚に近いと身が締まっており確かに美味。と言うことは、もともとは銀棒と呼んでいたに違いない。 錦銀宝/Crescent gunnel 大難銀宝/Ribbed gunnel 鼠銀宝/Longsnout prickleback 坊主銀宝/Prowfish 総(房)銀宝/Fringed blenny [→] ●オオカミウオ系 狼魚/Wolf-fish・・・フライ →] <似ていないと思うが、似ていると感じる方も> このタイプは、現代的な速泳魚が、海底に近い場所で余り泳がずに生きていくようになった種族ではないか。いわば、モラトリアム的退化族。鰻に似ているのはハゼの一種だが、ハゼ的な魚は色々だが、御愛嬌種族が多い。 ●GOBY/ハゼ系 ハゼはハゼ以外のなにものでもないと見てしまうのは、見慣れているからか。それなら、ハゼを説明せよと言われると、結構、困難なのだが。 藁素坊/Eel goby (or worm goby)・・・眼は退化 赤魚/Red eel goby (メヌケの赤魚ではない.) 蚯蚓鯊/Flathead goby 川穴子/Spined Sleeper・・・無吸盤 鈍甲(貪魚)/Dark sleeper (チゴダラやエゾイソアイナメではない.) ●ナマズ系 権瑞/Japanese eel catfish 「ごんずい玉」はあるし、ストライプは目立つから、どうして鰻のように見えるのか、感覚的にわからぬ。 ●二叉尾鰭の細身魚 玉筋魚[イカナゴ]/Sand eel or Sand lance 稚魚が小女子こと、コオナゴ。 以下はなんだかわからぬ。 ●姥魚/Clingfish <全く似ていないが、長棒状系> 流石に、銀色に輝きながら立ち泳ぎする太刀魚を、鰻に似た体型と言う人はいないようだ。しかし、獲れた姿が棒状な魚は、似ている訳ではなくても、表現の用語が無いので、鰻体型と呼んだりする。しかし、端が口や尾の形状とそぐわないので、棒状との表現は避けるようで、矢・槍・楊枝・笛といった形にするか、体の柔軟性を認めて、縄・紐、を用いるようだ。棲む場所も違いすぎるから、流石に、鰻とは言いかねるということか。 ●矢柄/Cornet fish or flute mouth ●槍粘/Spear dragonet ●楊枝魚/Pipe fish <縄状 多鰭魚と泥棲肺魚> 肺兼用浮袋保有であり、幼魚には体の外側に奇妙な枝のような鰓が出ており、脱魚系の生物らしさ紛々。これを鰻と呼んではこまる。 ●ポリプテルス/Ropefish ●網目鰻/Reedfish・・・無腹鰭 ●南アメリカ肺魚/South American lungfish <独特な蛇様> ●真鱛/Lizard fish or snake fish・・・砂泥底棲 蛇は水際を好む種が多いから、蛇が海に進出しているのは当然のこと。しかし、鰻系を海蛇と呼ぶのは、どうかと思う。かつては、食の観点から、獲れる場所の違いから、海蛇と陸蛇という見方は自然だったろうが、その手の食に魅力が失われると、混乱だけが残ってしまう。爬虫類だけを海蛇として、ウナギ類は蛇鰻と改名して欲しいもの。 <真の蛇[非魚]> ■爬虫類コブラ系海蛇類---"有鱗" イラブー[永良部海蛇]/Erabu black-banded sea krait [→] (エアブナ鰻とも) (C) 2014 RandDManagement.com |