表紙 目次 | by Ghedoghedo ■■■ 2017年12月8日 ■■■ ヨホイア…間接脚ではないが外殻体節を持つ有爪動物と緩歩動物について取り上げた。熊虫君人気で知られるようになった類である。その祖先格に当たる化石種群の昔鉤虫と、ハルキゲニア類やコリンズ・モンスター類で時に紹介される葉足動物の名前も目を通した訳である。[→] しかし、誰でもが知る昆虫と甲殻類が属し、膨大な種が含まれる節足動物は避けたので、化石種の名前を追ってそこらを扱ってみようと思う。言うまでもないが、分類は千差万別であるしその名称の数は半端ではないから直感(直観とは程遠い。)に基づいたテキトーなものである。感覚的に全体像を探ってみようというだけのこと。 ┌──────珍無腸[→] ┤左右相称 ├─後口動物群 │┌─────毛顎[→] └┤前口動物群 ┼│┼┌───線形, 類線形, 鰓曳, 動吻, 胴甲 ┼│┌┤脱皮/Ecdysozoa ┼│││┌──有爪動物/Onychophora (Velvet worm) ┼││││ ┼││└┤汎節足//Panarthropoda ┼││┼│┌─緩歩動物/Tardigrada (Water bears) ┼││┼└┤Tactopoda ┼││┼┼└─節足動物/Arthropoda ┼││┼┼┼┼┼incl. 舌形 or 舌虫/Pentastoma (Tongue worm) ┼└┤ ┼┼└───顎口, 微顎, 輪形, 鉤頭 ┼┼┼┼┼┼腹毛, 扁形, 菱形, 直泳 ┼┼┼┼┼┼有輪, 軟体, 腕足, 箒虫, 内肛, 外肛, 紐形, 環形 → 「進化と分岐の考え方[続 附録]」(2017.11.24) 素人的には節足動物の整理は厄介である。 絶滅種の一大群はあるし、「脱皮動物」なるジャンルで考えるべきとなり、ものの見方も一変したからである。 もともと、ゴチャゴチャ肢がある化石については、どのように分岐してきたのかのシナリオがナンダカネ状態だったから、その辺りの訳のわからなさもあって、手がつけがたい分野である。その上に、もともと虫屋がことなく愛する領域であり、化石マニアも少なくない筈で、断片的で錯綜した情報が入り乱れているから全体像はますますわかりにくくなるとくる。 しかし、折角だから、強引にというか、いい加減にはしょって眺めてみることにしたい。 先ずは、"古"節足動物だが、日本では、"ハイコウカリス"が必ず登場するようだ。全体を眺めると、モンスターと呼ぶほどの種ではなさそうだが、やけに注目されている。冷静に眺めれば、なんの変哲もない形態だと思うが。 → [図絵]Haikoucaris ercaiensis, a Putative Chelicerate Fossil from Chengjiang@(C)The Virtual Fossil Museum 一方、子供人気からいえば、体躯が大きいこともあり、"シャコ"の親分に見える「アノマノカリス」かも知れぬ。[→] おそらく膨大に発生する三葉虫を食していたのであろう。 奇妙奇天烈と評する人も少なくないのだが、現生の後端剣尾生物たる「兜蟹」にたいした違和感を覚えないのだから、おそらく目を強調した絵になっているため不可思議感が増強されるのだと思う。(例えば、撞木鮫/Hammerhead sharkのように、目が目立つとえらく異様に映る訳で。)「兜蟹」の視覚器官がどうなっているか、姿からはよくわからない訳で。・・・ 頭胸部上部に大型複眼+側眼/内眼(光感知程度) 裏側にも複眼 前方上部に1目 これをすべてわかるように描いたら、おそらく気味が悪いゾ。 小生としては、代表としてヨホイア/Yohoiaをあげたい。 体躯は頭胸部と胴体からなり、胴体は外殻を持つ13節で最後尾の3節を除くと鰭的なものが附属している。無機質骨格でないから、節足動物に該当する訳だが、その特徴である体節に一対の肢があるものの、鰭まで具えている訳で、歩行だけでなく時に遊泳移動も行っていたということか。ただ、器官分化の流れから言えば鰓であろう。 頭胸部からは、ペンチのような4本の爪付き肢が伸びており、無触角。いかにも"鋏角"類/Chelicerata。 その辺りをまとめるとこうなる。・・・ ┼┌──《[化石]-》 ┼│┼┼┼┼○シドネイアSidneyia【バージェス】【澄江】 ┼│┼┼┼┼○リミュラビアLimulavia ┌┤ ││┌─《[化石]光楯Aglaspidida》 │││┼┼┼-Strabopidae │││┼┼┼-Paleomeridae │││┼┼┼○パレオメルスPalaeomerus<542-516Mya> │││┼┼┼-Lemoneitidae │││┼┼┼-Aglaspididae │││┼┼┼○アグラスピスAglaspis<501-490Mya> │││┼┼┼○ベックウィジアBeckwithia<501-488Mya> │││┼┼┼○Australaglaspis[北西タスマニア] │││┼┼┼○Cyclopites[米ウイスコンシン] │││ │└┤純鋏角様 │┼│ │┼├─《[化石]-》 │┼│┼┼┼○チェロニエロンCheloniellon │┼│ │┼│┌【蜘蛛Arachnida】 │┼││◆蠍Scorpiones<シルル紀[443-416Mya]-現生> │┼││◆[化石]割板虫Trigonotarbida<シルル紀-石炭紀> │┼││ [化石](丸割板虫Anthracomarti)<石炭紀-ペルム紀> │┼││◆[化石]コスリイ[英国Coseley]虫Haptopoda<石炭紀> │┼││◆[化石]昔座頭虫Phalangiotarbi<石炭紀> │┼││◆[化石]Uraraneida<デボン紀-ペルム紀> │┼││◆口籠虫[クツコ]虫Hooded tickspider/Ricinulei<石炭紀-現生> │┼││◆壁蝨[ダニ]Tick/Acari<デボン紀-現生> │┼││◆座頭虫Daddy longleg/Opiliones<デボン紀-現生> │┼││◆蟹虫False scorpion/Pseudoscorpiones<デボン紀-現生> │┼││◆日除虫Wind scorpion/Solifugae<石炭紀-現生> │┼││◆蠍擬Whiptailed scorpion/Uropygi oe Thelyphonida<石炭紀-現生> │┼││◆紙縒[コヨリ]虫Microscorpion/Palpigradi<ジュラ紀-現生> │┼││◆腕虫Tailless whipscorpion/Amblypygi<石炭紀-現生> │┼││◆"真正"蜘蛛Spider/Araneae<デボン紀-現生> │┼││┼┼○Heptathela木村蜘蛛類 │┼││◆灸[ヤイト]虫Schizomida<化石種未確定-現生> │┼│├【海蜘蛛】…除外 │┼││◆ │┼││ [化石](海百合宿蜘蛛Palaeoisopoda) │┼││┼┼○Palaeoisopus problematicus<407-397Mya> │┼││ [化石](昔海蜘蛛Palaeopantopoda) │┼││┼┼○Haliestes dasos<425Mya> │┼││ (海蜘蛛 or 皆脚Pantopoda) │┼││ │┼└┤《鋏角Chelicerata》 │┼┼│ │┼┼└【Merostomata】 │┼┼┼◆兜蟹Xiphosura │┼┼┼ {[化石]Synziphosurida} │┼┼┼ {Xiphosurida} │┼┼┼┼[化石]Bellinurina │┼┼┼┼Limulina │┼┼┼┼-[化石]Austrolimulidae │┼┼┼┼-Limulidae │┼┼┼┼┼○[化石]Mesolimulus<150-145Mya> │┼┼┼┼-Palaeolimulidae │┼┼┼┼┼○Lunataspisルナタスピス類 │┼┼┼┼┼┼┼(aurora)…肢が二又ではなく単 │┼┼┼┼┼○Tachypleus カブトガニ類 │┼┼┼┼┼┼┼兜蟹King crab(tridentatus) │┼┼┼┼┼┼┼南兜蟹/Indo-Pacific horseshoe crab(gigas) │┼┼┼┼┼┼┼丸尾兜蟹(rotundicauda) │┼┼┼┼┼○Limulusアメリカカブトガニ類 │┼┼┼┼┼┼┼アメリカ兜蟹Atlantic horseshoe crab(polyphemus) │┼┼┼┼┼┼┼[化石](darwini)<ジュラ紀> │┼┼┼◆[化石]海蠍 or 広翼Eurypterida (Sea scorpion)<467-252Mya> │┼┼┼┼┼○ユーリプテルスEurypterus<432-418Mya> │┼┼┼┼┼○スティロヌルスStylonurus │┼┼┼┼┼○ドリチョップテルスDolichopterus │┼┼┼┼┼○ミクソプテルスMixopterus<426-416Mya> │┼┼┼┼┼○エリオップテルスErieopterus │┼┼┼┼┼○プテリゴートゥスPterygotus │┼┼┼┼┼○クテノップテルスCtenopterus │ ┤アラクノモルファArachnomorpha │ │┌──◆頭部に大棘 24〜26体節 ││┼┼┼┼○マーレラMarrella【バージェス】 ││ │├────○エメラルデラEmeraldella │├────○レティファキスRetifacies【澄江】 ││ └┤[化石]三葉虫形Trilobitomorpha ┼│ ┼│┌─◆草鞋的扁平形状 ┼││┼┼┼○ヘルメティアHelmetia【バージェス】 ┼││┼┼┼○クアマイアKuamaia【澄江】 ┼│├─◆ ┼││┼┼┼○ナラオイアNaraoia【バージェス】【澄江】 ┼│├─◆ ┼││┼┼┼○ザンダレラXandarella ┼││┼┼┼○シンダレラCindarella ┼└┤ ┼┼└─《三葉虫Trilobita》 ┼┼┼┼◆Agnostida ┼┼┼┼┼┼○エオディスカスEodiscus ┼┼┼┼┼┼○アグノストゥスAgnostus ┼┼┼┼┼┼○アカダノグノスツスAcadagnostus ┼┼┼┼◆Redlichiida ┼┼┼┼┼┼○オレネルスOlenellus ┼┼┼┼┼┼○ホルミアHolmia ┼┼┼┼┼┼○アンダルシアナAndalusiana ┼┼┼┼┼┼○レドリキアRedlichia ┼┼┼┼┼┼○ウティンガスピスWutingaspis【澄江】 ┼┼┼┼┼┼○エオレドリキアEoredlichia【澄江】 ┼┼┼┼┼┼○クーニャンギアKuanyangia【澄江】 ┼┼┼┼┼┼○パラドキシデスParadoxides ┼┼┼┼◆Corynexochida ┼┼┼┼┼┼○コリネクソカスCorynexochus ┼┼┼┼┼┼○イラエナスIllaenus ┼┼┼┼┼┼○ティサノペルティスTysanopeltis ┼┼┼┼┼┼○オレノイデスOlenoides【バージェス】 ┼┼┼┼◆Asaphida ┼┼┼┼┼┼○アサフスAsaphus ┼┼┼┼┼┼○オンニアOnnia ┼┼┼┼◆Phacopida ┼┼┼┼┼┼○ケイルルスCheirurus ┼┼┼┼┼┼○カリメネCalymene ┼┼┼┼┼┼○ファコプスPhacops ┼┼┼┼◆Proetida ┼┼┼┼┼┼○プロエトゥスProetus ┼┼┼┼◆Ptychopariida ┼┼┼┼┼┼○プチコパリアPtychoparia ┼┼┼┼┼┼○ユンナノセファルスYunnanocephalus【澄江】 ┼┼┼┼┼┼○エルラシアElrathia ┼┼┼┼┼┼○オレヌスOlenus ┼┼┼┼┼┼○ハルペスHarpes ┼┼┼┼┼┼○トリアルツルスTriarthrus ┼┼┼┼◆Lichida ┼┼┼┼┼┼○リカスLichas ┼┼┼┼┼┼○オドントプレウラOdontopleura ┼┼┼┼┼┼○ダメセラDamesella ┼┼┼┼◆Odontopleurida ┼┼┼┼┼┼○レオナスピスLeonaspis ┼┼┼┼┼┼○オドントプルーラOdontopleura ┼↑アラクノモルファArachnomorpha ┼│ ┼├────[化石]古節足動物 ┼│┼┼┼┼○ハイコウカリスHaikoucaris【澄江】 ┼│┼┼┼┼○フォルティフォルケプスFortiforceps【澄江】 ┼│┼┼┼┼○イソキシスIsoxys【バージェス】【澄江】【シリウスパセット】 ┼│┼┼┼┼○ハベリアHabelia【バージェス】 ┼│ ┌┤節足動物/Arthropod ┤│ ││┌───《多足》Myriapoda │││┼┼┼百足(唇脚)Chilopoda │││┼┼┼馬陸[ヤスデ](倍脚)Diplopoda │││┼┼┼枝鬚虫(少脚)Pauropoda │││┼┼┼子百足(結合)Symphyla │││┼┼┼汎甲殻Pancrustacea │└┤ │┼│┼┼┌[化石] │┼│┼┼│○ウロコディアUrokodia【澄江】 │┼│┼┼│○ワプティアWaptia【バージェス】【澄江】 │┼│┼┼│○カナダスピス<520-5011Mya> │┼│┼┼│○オダライアOdaraia【バージェス】 │┼│┼┼│○チュゾイアTuzoia【バージェス】【澄江】【シリウスパセット】 │┼│┼┼│○プレノカリス<513-501Mya> │┼│┌─┤ │┼││┼└《甲殻》Crustacea…二対触角三対顎 │┼││┼┼貝形虫Ostracoda (Seed shrimp)…二枚貝付微塵子 │┼││┼┼┼ミオドコパ or 筋柄Myodocopa │┼││┼┼┼ポドコパ or 貝微塵子Podocopa │┼││┼┼┼ ・Platycopidaプラティコピダ…オルドビス紀〜現生 │┼││┼┼顎脚Maxillopoda │┼││┼┼┼鞘甲Thecostraca │┼││┼┼┼姫宿蝦Tantulocarida │┼││┼┼┼鰓尾Branchiura │┼││┼┼┼舌形 or 舌虫Pentastomida │┼││┼┼┼鬚蝦Mystacocarida │┼││┼┼┼ 橈脚[カイアシ]Copepoda │┼││┼┼百足蝦Remipedia │┼││┼┼頭[カシラ]蝦Cephalocarida │┼││┼┼軟甲Malacostraca │┼││┼┼┼木葉蝦Phyllocarida │┼││┼┼┼棘蝦Hoplocarida │┼││┼┼┼真軟甲Eumalacostraca │┼││┼┼鰓脚Branchiopoda │┼││┼┼┼サルソストラカSarsostraca │┼││┼┼┼葉脚Phyllopoda │┼│├──[化石]嚢頭Thylacocephala │┼││┼┼┼Concavicarida │┼││┼┼┼Conchyliocarida │┼└┤ │┼┼└──《六脚》Hexapoda…一対触角三対顎 │┼┼┼┼┼内顎Entognatha │┼┼┼┼┼昆虫 or 外顎 Insecta ↓ 《恐蟹》Dinocaridida ┼┼┼◆Radiodonta ┼○オパビニアOpabinia【バージェス】【澄江】 ┼○ケリグマケラKerygmachela【シリウスパセット】 ┼○パンブデルリオンPambdelurion【シリウスパセット】 ┼┼┼◆n.a. ┼- ┼○アンプレクトベルアAmplectobelua【澄江】 ┼○アノマロカリスAnomalocaris【バージェス】【澄江】【シリウスパセット】 ┼○ククメリクルスCucumericrus【澄江】 ┼○ケリグマケラKerygmachela【シリウスパセット】 ┼○パンブデルリオンPambdelurion【シリウスパセット】 ┼○パラペユトイアParapeytoia【澄江】 ┼- ┼○フルディアHurdia【バージェス】 ┼○ラガニアLaggania or Peytoia【バージェス】 ┼- ┼○レアンコイリアLeanchoilia【バージェス】【澄江】 ┼○アラルコメナエウスAlalcomenaeus【バージェス】【澄江】 ┼○ヨホイアYohoia【バージェス】 ┼○ジェンフェンギアJianfengia【澄江】 ┼○サンクタカリスSanctacaris【バージェス】 ┼- ┼○オッカカリスOccacaris【澄江】 ┼○カナダスピスCanadaspis【バージェス】【澄江】 ┼○ペルスピカリスPerspicaris【バージェス】 《-》 ┼┼┼◆n.a. ┼○サロトロケルクスSarotorocercus【バージェス】 ┼○ゴチカリスGoticaris【スウェーデン】…複眼1+対の柄付眼 ┼○バルバンコリナParvancorina<630-542Myaエディアカラ紀>…軟体的擬似三葉虫 ┼┼┼◆n.a. ┼○ブランキオカリスBranchiocaris【バージェス】【澄江】【シリウスパセット】 ┼○アーヴェカスピスAaveqaspis【シリウスパセット】 ┼○バージェシアBurgessia【バージェス】 ┼○Chengjiangocaris ┼○キンダレラCindarella【澄江】 ┼○エメラルデラEmeraldella【バージェス】 ┼○フォルフェクシカリスForfexicaris【澄江】【シリウスパセット】 ┼○フーシアンフイアFuxianhuia【澄江】 ┼○クンミンゲラKunmingella【澄江】 ┼○モラリアMolaria【バージェス】 ┼○サペリオンSaperion【澄江】 ┼○Sarotorocercus【バージェス】 ┼○シノブリウスSinoburius【澄江】 ┼○シャンダレラXandarella【澄江】 ---外群--- ┼○アカントメリディオンAcanthomeridion【澄江】 ┼○Thelxiope【バージェス】 ┼○Carnarvonia 【バージェス】 「動物」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |