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2006.1.10 |
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焼き物の町おこしを考える [1]…ちょうど1年前、陶芸の話を繰り返したら、焼き物が趣味ですかと聞かれたことを思い出した。その時は面倒なので、曖昧に答えたように記憶しているが、言うまでもなく、別に趣味が高じて記載した訳ではない。これからの産業構築には絶好の話題だと思ったからである。 → 「古伊万里から学ぶ 」 (2005年1月7日) → 「有田の競争相手から学ぶ 」 (2005年1月11日) 陶磁器ほど、地場産業として全国津々浦々まで広がっているものはないような気がする。 よく廃れずに続いてきたものである。 もっとも、大きな変化が始まっているのだが。 → 「陶器王国風前の灯火 」 (2004年2月11日) それにしても、ずっと続いてきたのは、何らかの理由がある筈だ。その理由を考えれば、産業として発展する余地は十分あると思う。 しかし、そうなっているだろうか。 → 「陶器産業振興策の問題点 」 (2005年9月7日) おそらく、お客様をよくわかっていない地域が多い。 考えようともしていないのではなかろうか。 陶芸創作を趣味としている人がどの位いるのかデータを集めたことはないが、おそらく110万人程度だと思う。 と言っても、確かな根拠がある訳ではない。 日本では、よく見かける「工作」型趣味は、大雑把に90万人程度であることが多いから、というだけのこと。陶芸創作人口は増えているようだから、2割ほど増やした。 当たらずしも遠からずの値と考えているが、自信がある訳ではない。 もっとも、非工業用窯は約30万台弱普及しているとの炉メーカーの発言を信じれば、この数字もそうは間違っていないと思う。1台当たり平均使用者を3〜4人とすれば、同じような数字になるからだ。 この程度の人口にもかかわらず、ホビー陶芸産業振興は極めて盛んである。 不思議である。全国で、110万人を取り合うつもりなのだろうか。それで商売が成り立つとは思えないが。 今や、どこへ行っても、体験工房、習得教室、創作窯を見かける。これに加えて、陶芸美術館、陶芸会館、陶芸ギャラリーが開設されている町が多い。観光の目玉にしようとの目論みらしい。 たいていは、地場の陶器製造業を核にして、「焼きもののまち○○」、「陶器のふるさと○○」、「○○陶芸の里」を目指しているようだ。キャッチフレーズとポスターは素敵だが、陶器の品揃えを増やしただけとしか思えない土産屋も見かけたりする。 地元発展の機会を生かそうと努力する気持ちはわからないでもないが、訪れる方から見れば、何処へ行っても、「素晴らしい自然の下で陶芸を楽しもう」との宣伝文句を聞かされ、正直のところうんざりである。 よく言えば、手作りの町おこし運動なのだろうが、おそらく、行政は次のような発想で動いていると思う。 「体験」の“場”を作ることで、創作活動を支援。 「展示」の“場”を作ることで、発表活動を支援。 「研修」の“場”を作ることで、情報交流を支援。 創作、発表、情報交流で、文化の核ができ、それが産業発展につながる。 どう見ても、施設建築費用とイベント費用捻出の実現を目指した施策にすぎない。 外部の人間が見れば、陶芸が流行っているからウチも遅れずに、という安直な動きに映る。 現実をもっとよく見る必要があろう。 対象人口は僅か110万人程度しかないのだから、他と同じような振興策を行ったところで、食べていける筈がなかろう。 振興策が成功したように見えたとしたら、それは一過性のものと考えるべきだ。本格的愛好者を集める魅力があるなら別だが、そうでなければ、集まって来るのは110万人以外の人達がほとんどである。 要するに、陶芸の町イメージでの“お試し陶芸”イベントが当たったにすぎない。 実際、陶器作りの歴史を誇れる地域でも、「やきもの」販売が不振だったりする。 そのような地域で、陶器を呼び物にした観光業を振興すれば、この不振を打開できるものだろうか。 おそらく、イベントを挙行すれば、もの珍しさ効果で、その当日は間違いなく人は集まる。しかし、そのうち閑古鳥の可能性は高いと思う。 「創作、発表、情報交流で、文化の核ができる」という薄っぺらい考え方では、何の役にもたたないのである。 魅力は薄れているとはいえ、歴史的な「文化の核」があるにもかかわらず、鳴かず飛ばずの不振な地域もあることを噛みしめるべきだろう。 要するに、産業振興したいなら、先ずは、どんな文化があるのかの理解から出発すべきなのだ。その上で、その文化の華を咲かせる施策はどのようなものが望ましいかを考えることになる。これこそが知恵の働かしどころである。 実態は、これとは、逆の歩みだ。 目立つハコモノとイベントで新しい文化を作ろうと考える人が実権を握っているということだろう。 歴史から学ぶの目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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