→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.5.16] ■■■ [692] 「古事記」仮名宇列音 久具 せっかくだから、ココで、宇音の見方を、じっくりと書いておこうか。8母音について見終わったことでもあるし、<i⇒о><u⇒о><h⇒鼻濁音>という、いかにも素人臭い話📖(転換音)もしてしまったから。 ・・・・・ 「分析思考でなく概念思考で」(俯瞰できる、質の高い分析なかりせば、概念思考は不可能なので、念のため申し副えておこう。)というスローガンを根底に置いている当サイトの思想からすれば、素人臭い話はそれはそれで良し、となる。・・・<i甲><i乙>と、<i統合>の3タイプあってこその倭語らしさ、と考えざるを得ないからだ。 そして、その概念思考でいけば、倭祖語⇒現代日本語の母音変遷トンデモ論が自然に生まれて来る。太安万侶なら考えそうな、"言葉ありき"倭神話の世界である。・・・ 神は最初に母音<a (阿)>を生み出された。 善き音と大いに満足された。 ところが、1つではもの足りぬということで、 対偶言葉の母音として<ゥ〜 (宇)>を創られた。 満足したものの、音は3つでなければと考えて、 さらに特別な母音<イ>を追加した。 これで必要十分なお話なので、この3音が祖母音としてもよいが、もう1音あって、初めて社会的言語の態をなしたと考えるのも悪くない。 その音こそ<オ>である。 (話語重視文化が深そうな、先島諸語・琉球語圏住民の日本語発声慣習に原型構造を見て取れる。 尚、「古事記」に言葉創出譚が無いのは、太安万侶が官僚としての矜持を保っていることの証でもある。文字化文明の系譜には属していないことに気付いていたことがわかる。) この馬鹿話を理解するには、以下の母音図(倭語用簡略図と国際標準図)を持ち出す必要がある。 __i___u ___e_о ____a 見ての通り、この概念図は上記の神話を支える構造になっていない。つまり、反面教師として眺めることで、初めて倭語の本質が見えて来ることになる。 この図が必要となるのは、英語を習えばすぐわかる。アルファベット表記言語は、実に怠慢そのもので、母音が20あるとの指摘がなされても、対応表記文字をつくらなかったのである。しかし、それでは文明社会と見なせないから、この様な図をつくって各母音を定義づけるしかない。(表音文字記号の誕生)小生に言わせれば、いかにも<ギリシア>文明の末裔らしさ芬々。 変遷からすれば、フェニキア文字(母音表記せず)⇒ギリシア文字(余剰文字を母音に転用)⇒中間文字⇒ローマ文字⇒アルファベット化(無理矢理文字当て嵌め)ということになるからだ。 アルファベットは音表記文字とみなしながら、現実の主要使用語彙についてはほとんど音表記になっておらず、なかでも母音は文字から読めないという、時代遅れ容認の代物。 しかも、印欧系の各言語には耳でわかる母音の違いがあり、ほぼ共通のアルファベット表記であっても、文字から音がわからないとなれば、補助的に母音の表音文字を作るしかないのは当たり前。・・・お分かりになると思うが、倭語〜日本語は、この様な図は全く必要としていない。そもそも、文字無し言語であり、文字にできるだけ音を当て嵌めるという困難な作業を通じて、何世代目かへと進歩してきた文字表記言語とは性情が違っていて当然。 しかも、<ゥ〜 (宇)>音は、おそらく、この図で定義できる様な発生音ではない。言語族が根本的に違うので、音の発声方法による差異化とそれを聴力で同定する能力も自ずと異なることになる。従って、倭語〜日本語は、別途、母音図を作らざるを得ないが、話者人口が少ない孤立語族なので特段の必要性も感じないから、ママ来ただけのこと。 現代日本語を考えれば感じると思うが、アとウは多数母音の1つという手の音ではない。両者は唇形も舌の位置も、恣意的に対偶的にしているとしか思えまい。その様な母音がアルファべット語族のどれかの母音として特定できる確率は極めて低いと思う。もっとも、それではこまるから、一番近い音に決めざるを得ないが。 と言うことで、上記の口腔概念図に多少倣えば、以下の様になろう。 始終会堂で音を聞かされ、それを家で復唱する一枚板の言語社会と違って、倭の社会は雑炊型。中間音排除というか、わかり易い音の構成になっている。・・・ __イ___宇___ ___e__|__オ ______| ______阿__オ この仕組みを基底にしているところに、異なる言語が入ってくれば、変更を余儀なくされて当然。 もともと<阿⇔宇>であり、<宇>とは異質な特別音<イ>が加わり、そこに<イ⇔オ>的に<阿>の類縁として<オ>が加わったのであるから、<i⇒о>とか<u⇒о>的な流れが生まれておかしくない。従って、最初に<オ>の2音化が生まれたに違いない。 そうなれば、<阿><イ>間でも音の動きが生まれておかしくなく、その手の音の語彙が入ってくれば、<イ>も2音化しよう。ただ、オの様な積極性を欠くと思われる。 <ィa>音が生まれて6音あれば、安定してもおかしくないが、口腔空間上からは<e>が空いており、他の語族では必ず埋まっているから、その様な語彙が入ってくればすぐに利用が始まることになろう。すでに、母音追加に抵抗感がないから、1〜2種埋まることになる。都合8母音である。ただ、この様な流れを想定するなら実用的には6母音に近かったのではなかろうか。その後<オ>は混淆し1音化で5母音化。・・・ __イ___宇___ ___e__|__オウに近い音 ______|___ ______阿__オアに近い音 結局、現代は<アイウエオ>の5母音で、外来語が多いものの、すべてこの5音での読み替え発音で対応しており(e.g. 全く通じない日本語英語)変化しないように見えるかも知れないが、上図では言語空間が余っており、上記の流れから言えば、外来語の<ウ新>が入って来るとの予想がつく。 ・・・・・ ⑮ク(久の初画)く(〃) [萬]久…久 @呉音 久 [呉音]ク [漢音]キウ [訓]ひさしい わ きゅ 玖(=九) [呉音]ク [漢音]キウ [訓]き ひさ たま 国 1例のみ(此者吉野 来 1例のみ(今其可 奥 1例のみ( 九 [@割注-漢数字]九字 句 [@序-漢文] ⑯グ [萬]具…具 @呉音 具 [呉音]グ [漢音]ク [訓]そな-える そな-わる つぶさ-に とも そろ-い つま 来 1例のみ( (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |